🛬短期滞在ビザ（観光ビザ）完全ガイド

日本入国の条件・必要書類・申請手続きのすべて 監修：行政書士法人塩永事務所

はじめに

日本への短期訪問を希望する外国人が最も多く利用する在留資格が「短期滞在ビザ（観光ビザ）」です。観光・商用・親族訪問など多様な目的に対応しており、最大90日間の滞在が認められます。

本ガイドでは、申請取次行政書士が実務の視点から、制度の概要、申請方法、必要書類、審査のポイント、拒否事例への対策、そして最新制度動向までを網羅的に解説します。

①短期滞在ビザとは？

短期滞在ビザ（Short-Term Stay Visa）は、外国人が日本に一時的に滞在するための在留資格であり、出入国管理及び難民認定法別表第一の三に規定されています。

滞在可能期間

• 15日以内
• 30日以内
• 90日以内（最長）

主な滞在目的と活動内容

制限事項

• 報酬を得る活動（就労）は禁止
• 原則として在留期間の延長不可
• 他の在留資格への変更も原則不可

②ビザ免除制度の対象国と条件

日本は現在、68の国・地域とビザ免除協定を締結しています。該当国の国民は、一定条件を満たせばビザ申請なしで入国可能です。

主なビザ免除国・地域

• アジア：韓国、台湾、香港、マカオ、シンガポール、マレーシア、タイ、ブルネイ
• 欧州：EU加盟国、英国、スイス、ノルウェー、アイスランド
• 北米：アメリカ、カナダ
• オセアニア：オーストラリア、ニュージーランド
• 中南米：メキシコ、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ など

ビザ申請が必要な主な国

中国、インド、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、スリランカ、パキスタン など

免除適用条件

• 滞在目的が観光・商用・親族訪問であること
• 滞在期間が90日以内であること
• 復路の航空券を所持していること
• 滞在費を十分に支弁できる資金を有していること

③申請方法と手続きの流れ

申請場所と管轄

• 原則：申請者の居住国にある日本大使館・総領事館
• 一部の国では指定代理機関（VFS Global、BLS International等）を通じて申請
• 管轄は申請者の居住地域によって異なる

申請から入国までのステップ

④目的別 必要書類一覧

共通書類（全申請者）

• 有効なパスポート（6ヶ月以上推奨）
• 査証申請書（外務省指定様式）
• 写真（4.5×3.5cm、背景白）
• 往復航空券予約確認書
• 滞在予定表（訪問地・日程・宿泊先など）

観光目的

• 銀行残高証明書
• 在職証明書または収入証明書
• 宿泊証明書（ホテル予約または滞在先証明）
• 詳細な旅行計画書

商用目的

日本側が準備する書類

• 招聘理由書
• 滞在予定表
• 会社登記簿謄本、会社概要書、決算書

申請人側が準備する書類

• 在職証明書
• 勤務先会社の概要書またはパンフレット

親族・知人訪問

日本側（招聘人）が準備

• 招聘理由書
• 身元保証書
• 住民票、在留カード、課税証明書など

申請人側が準備

• 親族関係証明書（戸籍謄本など）
• 経費支弁資料（残高証明書など）

⑤審査のポイントと不許可対策

主な審査項目

• 滞在目的の真正性
• 経済的基盤（滞在費用の支弁能力）
• 帰国意思の有無
• 招聘人の信頼性
• 過去の入出国履歴

よくある不許可理由と対策

⑥滞在中の注意点

• 就労は禁止（報酬を得る活動・アルバイト等も不可）
• 滞在期間を超える滞在（オーバーステイ）は厳重処罰対象
• 90日以内に必ず出国すること
• 入国審査時に滞在予定表・資金証明の提示を求められる場合あり

⑦特殊ケース：数次ビザ・延長・資格変更

数次査証（マルチビザ）

• 有効期間：1年・3年・5年
• 1回の滞在は90日以内
• 経済力や渡航実績により発給

延長申請（例外的）

• 病気・災害等のやむを得ない事由のみ
• 地方出入国在留管理官署で申請
• 延長は30〜90日以内

他資格への変更（限定的）

• 「定住者」または「特定活動」など特別事情に限り認められる