
【2025年最新版】短期滞在ビザ(観光ビザ)完全ガイド
日本入国の条件・必要書類・申請手続きの全て
― 行政書士法人塩永事務所(熊本)監修 ―
はじめに
日本への短期的な渡航を希望する外国人が最も多く利用する在留資格が「短期滞在(Temporary Visitor)」です。
このビザは観光、商用、親族訪問などの目的に応じて発給され、最長90日間の滞在が可能です。
本記事では、行政書士の実務経験に基づき、短期滞在ビザの制度概要・申請書類・審査の留意点・不許可対策まで、最新の外務省・入管運用に沿って詳しく解説します。
1. 短期滞在ビザとは
短期滞在ビザは、「出入国管理及び難民認定法」別表第一の三に規定される在留資格で、報酬を伴わない一時的な活動を目的とする外国人に発給されます。
■ 滞在可能期間
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15日以内
-
30日以内
-
90日以内
※在留期間は審査結果により決定されます。
■ 主な滞在目的と内容
| 区分 | 主な活動内容 |
|---|---|
| 観光 | 日本各地の観光、文化体験、自然探訪など |
| 商用 | 商談、会議出席、契約締結、展示会参加(報酬を伴わない範囲) |
| 親族・知人訪問 | 日本在住の家族・知人との面会 |
| 学術・文化交流 | 学会発表、講演、研究発表など |
| 芸術・スポーツ | 展覧会出展、競技大会出場、公演など |
| 研修・視察 | 工場・施設視察、技術研修(無報酬) |
| その他 | 医療受診、冠婚葬祭への参列など |
■ 制限事項
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就労活動(報酬を得る行為)は禁止
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在留期間の延長は原則不可
-
他の在留資格への変更は原則不可
2. ビザ免除制度の対象国と条件
日本は現在、68の国・地域とビザ免除協定を締結しています。
これらの国・地域の国民は、所定の条件を満たせば短期滞在ビザを取得せずに入国可能です。
■ 主なビザ免除国・地域
アジア:韓国、台湾、香港、マカオ、シンガポール、マレーシア、タイ、ブルネイ
欧州:EU加盟国全28カ国、英国、スイス、ノルウェー、アイスランド
北米:アメリカ、カナダ
オセアニア:オーストラリア、ニュージーランド
中南米:メキシコ、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ など
■ ビザ申請が必要な主な国
中国、フィリピン、ベトナム、インド、インドネシア、ミャンマー、ネパール、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン 等
■ 免除の適用条件
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滞在目的が観光・商用・親族訪問であること
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滞在期間が90日以内であること
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有効な旅券を保持していること
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復路航空券を所持していること
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滞在費を十分に支弁できる資金を有していること
3. 短期滞在ビザの申請方法
3-1. 申請先
原則として、申請者の居住国を管轄する日本大使館または総領事館に申請します。
一部の国では、**指定代理機関(VFS Global、BLS Internationalなど)**を通じて受付が行われています。
3-2. 申請から入国までの流れ
| 段階 | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ① 事前準備 | 滞在目的・日程の整理、必要書類の確認 | 渡航の1〜2ヶ月前 |
| ② 書類準備 | 招聘状・滞在予定表・経費資料などを作成 | 2〜4週間前 |
| ③ 申請 | 大使館・総領事館に提出(面接が行われる場合あり) | ― |
| ④ 審査 | 外務省・在外公館による審査(5〜10営業日程度) | 約1〜2週間 |
| ⑤ 査証発給 | パスポートに査証が貼付される | ― |
| ⑥ 入国 | 日本の空港で入国審査を受け、短期滞在資格で入国 | ― |
※短期滞在ビザでは在留カードは交付されません。
4. 目的別 必要書類一覧
■ 共通書類
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有効なパスポート(残存有効期間6ヶ月以上が望ましい)
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査証申請書(外務省指定様式)
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写真(4.5×3.5cm、背景白)
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往復航空券予約確認書
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滞在予定表(訪問地・宿泊先・日程等)
■ 観光目的の場合
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銀行残高証明書
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在職証明書または所得証明書
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宿泊証明(ホテル予約または滞在先証明)
-
詳細な旅行計画書
■ 商用目的の場合
日本側(招聘人)が準備)
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招聘理由書
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滞在予定表
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会社登記簿謄本、会社概要書、決算書等
申請人側が準備
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在職証明書
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勤務先会社の概要書またはパンフレット
■ 親族・知人訪問の場合
日本側(招聘人)が準備)
-
招聘理由書
-
身元保証書
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住民票、在留カード写し、課税証明書など
申請人側が準備
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親族関係証明書(戸籍謄本・出生証明書など)
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経費支弁資料(残高証明書等)
5. 審査のポイントと不許可対策
■ 主な審査項目
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滞在目的の正当性
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経済的基盤(滞在費の支弁能力)
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帰国意思の有無
-
招聘人・保証人の信頼性
-
過去の入出国・在留履歴
■ よくある不許可理由と対策
| 不許可理由 | 主な対策 |
|---|---|
| 滞在目的が不明確 | 滞在予定表・招聘理由書を詳細に記載し、目的の一貫性を明示 |
| 経済能力の不足 | 残高証明・収入証明を強化 |
| 帰国意思が疑われる | 本国での職業・家族構成・不動産所有を証明 |
| 招聘人の信頼性不足 | 在留状況・収入証明・課税証明等を添付 |
| 書類の不整合・不備 | 専門家による事前確認で補正・統一を行う |
6. 滞在中の注意事項
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報酬を伴う活動(就労・アルバイト等)は禁止
-
滞在期間の超過(オーバーステイ)は入管法違反となり、強制退去処分の対象
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入国審査時に滞在予定表や資金証明の提示を求められることがある
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90日以内に必ず出国すること
7. 特殊ケース:数次ビザ・延長・資格変更
■ 数次査証(マルチビザ)
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有効期間:1年・3年・5年
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1回の滞在は最長90日
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経済力・渡航実績・招聘目的により発給
■ 延長申請(例外的)
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病気や災害等のやむを得ない理由に限り、地方出入国在留管理局で申請可能
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延長期間は30〜90日以内
■ 在留資格変更(限定的)
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特別な事情がある場合に限り、「特定活動」や「定住者」等へ変更が認められることがあります。
8. 査証申請拒否後の対応
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不許可通知書を受領後、その理由を分析
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書類の補正・説明資料の追加
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状況変更後に再申請(目安:前回申請から6ヶ月後)
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再申請時は、専門家による審査理由分析と再構成が有効
9. 最新の制度動向(2025年時点)
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電子査証(e-Visa)制度の対象国拡大
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オンライン申請システムによる審査迅速化
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一部国での必要書類簡素化・数次ビザ発給緩和
まとめ
短期滞在ビザは、観光・商用・親族訪問など、外国人が日本に一時的に滞在する際の基本的な在留資格です。
審査では特に、滞在目的の正確性・経済的裏付け・帰国意思の確実性が重視されます。
不許可を防ぐためには、
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目的に即した正確な書類作成
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一貫性のある説明内容
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招聘人・保証人との緊密な連携
が重要です。
ビザ申請の専門サポートなら
行政書士法人塩永事務所では、中国・ベトナム・フィリピンなど査証審査が厳しい国の申請実績も多数ございます。
状況に応じた書類作成とリスク分析を行い、円滑な入国をサポートいたします。
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