
帰化申請とは
【帰化申請・行政書士法人塩永事務所】
帰化申請とは、外国人(日本国民でない者)が日本の国籍を取得するために、法務大臣に対して行う申請です(国籍法第4条)。法務大臣の許可を得ることで、日本国籍を取得できます。
帰化許可の要件と基準
帰化の要件や基準は、国籍法第5条などに具体的に定められており、法務大臣の裁量によって許可・不許可が判断されます。
帰化の一般条件(国籍法第5条)
法務大臣が帰化を許可するためには、申請者が原則として以下の要件をすべて満たしている必要があります。ただし、日本人と特別な関係にある者などについては、要件の一部が緩和されます(国籍法第6条、第7条、第8条)。
- 住所条件: 引き続き5年以上日本に住所を有すること。
- 能力条件: 20歳以上で、かつ本国法によって行為能力を有すること。(ただし、未成年でも父母と共に申請する場合などは緩和されます。)
- 素行条件: 素行が善良であること。
- 犯罪歴、非行歴、交通違反の有無や程度、納税状況、年金・健康保険の納付状況などが総合的に判断されます。
- 生計条件: 自己または生計を一にする配偶者、その他の親族の資産や技能によって生計を営むことができること。
- 安定した生活を送るための経済基盤があるかが審査されます。
- 重国籍防止条件: 国籍を有しない、または日本の国籍取得によってそれまでの国籍を失うべきこと。
- 憲法遵守条件: 日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したりする団体を結成し、またはこれに加入したことがないこと。
- 日本語能力: 小学校低学年程度の日本語の読み書き・会話能力を有すること(国籍法には明記されていませんが、実質的な要件とされます)。
許可・不許可の判断
帰化の許可は法務大臣の自由裁量に委ねられています。たとえ日本で生まれ永続的に生活していても、日本国籍でなければ申請手続きが必要です。
申請に際しては、来日(または出生)から現在までの在留状況(生活状況)、現在の生計・就労・素行要件等を立証する書類を添付し、将来にわたっても安定して日本で生活を営んでいけることを示します。
- 不許可となる主な事由: 税金の滞納、年金・保険料の未納、重大な犯罪歴や交通違反歴、虚偽の申請などが挙げられます。
- 不許可事由がある場合、申請が受理されないか、審査で不許可となります。通常は、不許可事由が解消されてから一定期間が経過した後に再申請を行うことになります。
- 申請後に長期の出国など、生活状況に大きな変化がある場合も注意が必要です。
血統主義の改正について
- 父母両系血統主義: 国籍法の改正により、現在では出生時に父または母のいずれか一方が日本国民であれば日本国籍を取得できる「父母両系血統主義」が採用されています(国籍法第2条)。
- 届出による国籍取得(国籍法第3条): 平成20年の国籍法改正により、非嫡出子で、出生後に日本人父から認知された子が一定の条件を満たす場合、法務大臣への届出によって国籍を取得できるようになりました。
帰化申請の手続きの流れ(一般的な例)
帰化申請は、申請者の住所地を管轄する法務局・地方法務局の国籍課に申請者本人が出頭して行います。
- 事前相談・書類の入手: 申請者の状況(国籍、家族構成、在留資格など)を法務局に伝え、必要な書類の案内を受けます。
- 書類収集・作成: 案内された膨大な量の公的書類を収集し、申請書、履歴書、生計の概要などの書類を自ら作成します。
- 法務局への申請: 申請者本人が法務局に出頭し、書類を提出します(形式的なチェックを受けます)。
- 審査: 法務局による書類審査、在勤先や居住地への訪問調査、申請者および生計を共にする親族との面接などが行われます。審査期間は1年程度かかるのが一般的です。
- 法務大臣の許可・告示: 審査を経て法務大臣が許可を決定した場合、官報に告示されます。
- 国籍取得・届出: 法務局で帰化者の身分証明書を受け取り、住所地の市区町村役場に帰化の届出を行います。
帰化申請の主な必要書類
必要書類は申請者の国籍、職業、家族構成、在留資格などによって大きく異なります。法務局から案内を受ける書類は非常に多岐にわたりますが、主な基本書類は以下の通りです。
| 分類 | 主な書類例 | 備考 |
| 申請・作成書類 | 帰化許可申請書、親族の概要を記載した書類、履歴書、帰化の動機書、生計の概要を記載した書類、自宅・勤務先・事業所付近の略図、宣誓書など | 申請者本人が手書きで作成するものが大半です。 |
| 身分関係書類 | 本国の出生証明書・婚姻証明書・親族関係証明書、日本の戸籍(除籍)謄本(親族が日本人の場合)、日本の役場への各種届出記載事項証明書など | 申請者の国籍によって本国で取得する書類が異なります。外国語の書類には翻訳文が必要です。 |
| 居住歴・在留資格 | 住民票の写し(世帯全員)、在留カード(特別永住者証明書)の写し、出入国記録など | |
| 生計・収入関係 | 在勤及び給与証明書、源泉徴収票、預貯金残高証明書、確定申告書・決算報告書の写し(自営業・会社経営者の場合)、不動産登記事項証明書など | |
| 納税・社会保険 | 住民税の納税証明書・課税証明書、所得税の納税証明書、事業税・消費税・法人税の納税証明書(該当者)、公的年金保険料の納付証明書(ねんきん定期便など) | 生計を一にする親族全員分の提出を求められることがあります。 |
| その他 | 最終学歴の卒業証明書・在学証明書、運転記録証明書、技能・資格を証する書面、スナップ写真など |
帰化許可の費用
- 法務局への手数料: 帰化申請自体に法務局への手数料はかかりません。
- 実費: 添付書類(公的証明書、本国書類)の取得にかかる実費、翻訳料金、郵送費などがかかります。申請者の状況によりますが、日本国内で取得する証明書で数千円程度、本国書類や翻訳費用は別途必要になります。
帰化申請は行政書士法人塩永事務所におまかせください。
