
日本版DBS(日本版こども性暴力防止法)の認定手続きについて
日本版DBS(こども性暴力防止法)では、教育・保育等の民間事業者が自ら、または事業運営者と共同で「認定」を受けるための制度が設けられています。この認定制度は、事業者が児童対象性暴力等に関する犯罪事実の確認を適切に行っていることを担保し、利用者や保護者の信頼を確保することを目的としています。
今後、詳細は政令・内閣府令・ガイドライン・マニュアル等により整備される予定ですが、本記事では、現時点で想定されている手続きの全体像と実務上の留意点を整理します。
認定手続きの全体像
認定申請(単独認定または共同認定)は、こども家庭庁による審査を経て行われます。主な手続きの柱は以下のとおりです。
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認定申請の流れ
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申請書の記載事項と添付書類
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標準処理期間
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手数料
申請手続きと標準処理期間
申請は、原則として e-Gov(電子申請サービス) を通じて行います。
認定の流れは以下のとおりです。
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事業者が単独認定申請または共同認定申請を提出
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こども家庭庁による審査(必要に応じて補正指示)
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補正対応後、再確認
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認定または不認定の通知
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必要に応じて手数料納付
標準処理期間は 1〜2か月程度 とされています。ただし、補正や追加資料の提出にかかる時間は含まれません。
申請書記載事項と添付書類
申請書には、以下のような情報を記載することが求められます。
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事業者の氏名・住所、(法人の場合)代表者の氏名
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事業の概要と事業区分の明示
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事業所の名称および所在地
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対象業務従事者の職務内容と人数
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GビズID等、事業者を識別できる情報
添付書類の主な例は次のとおりです。
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事業や従事者の業務を示す資料
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認定基準適合性を証する書類
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児童対象性暴力等対処規程(マニュアル)
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犯罪事実確認に関する誓約書
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法人定款・登記事項証明書・住民票
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情報管理規程、役員略歴の資料
共同認定の場合には、事業運営者側の情報も併せて提出が必要となります。
提出方法
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原則としてオンライン申請(e-Gov)。
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共同認定の場合は、双方の確認と合意を経て届け出ることが必須。
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認定は「事業単位」で行われるため、複数の事業所を持つ場合でも同一事業であれば一括申請が可能。
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パンフレットやウェブサイトなど既存資料を添付書類として利用することも認められています。
手数料
認定申請には 1事業あたり約3万円(予定) の手数料が必要です。
ただし、以下の場合は手数料が不要となる見込みです。
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国・自治体が単独で申請する場合
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国・自治体と民間事業者による共同認定申請の場合
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事業開始前に委託や指定管理の準備行為を経て共同認定に至る場合
一方で、民間教育・保育等事業者が単独で申請する場合には、国や自治体の委託事業であっても手数料は必要です。
認定等の公表
こども家庭庁は、以下の場合に認定情報を公表します。
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認定付与時
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認定内容の変更届提出時
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犯罪事実確認に関する届出時
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認定事業廃止届提出時
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認定取消時
公表される内容には、事業者名・所在地・代表者名・事業概要・認定年月日・フランチャイズの有無等が含まれます。
認定マークの表示
認定事業者は、事業の広報や物品に「認定マーク」を表示できます。
使用例は以下のとおりです。
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制服その他の事業用物品
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パンフレット、ウェブサイト、広告媒体
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契約書、名刺、電子メール
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事務所看板や受付表示
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求人広告
ただし、未認定事業との混同を避けるよう注意が必要です。特にフランチャイズ方式で事業を展開する場合、加盟者が認定を受けていない場合には認定マークを使用できません。また、名刺への表示は対象従事者に限定され、退職時には回収が義務付けられることが予定されています。
まとめ
日本版DBS(こども性暴力防止法)による認定制度は、事業者が児童対象性暴力に関する事前確認を実効的に行うことを制度的に担保するものです。
これは利用者・保護者からの信頼獲得に直結するため、教育・保育等事業者にとって重要な制度対応となります。
手続きの流れや必要書類、費用負担、公表制度、認定マークの使用に関する要件を事前に把握し、円滑な認定取得のための準備を進めておくことが望まれます。