
日本版DBS(こども性暴力防止法)における認定手続きの概要
行政書士法人塩永事務所|熊本
令和7年4月に施行予定の「日本版DBS(こども性暴力防止法)」では、民間の教育・保育等事業者が、事業運営者とともに認定を受けるための制度が導入されます。本制度は、こども家庭庁による審査を経て、事業者が児童対象性暴力等への対処体制を整備していることを確認するものです。
本記事では、認定申請の流れ、必要書類、手数料、公表制度など、実務に必要なポイントを整理して解説いたします。
1. 認定制度の全体像
認定および共同認定は、こども家庭庁による審査を経て実施されます。制度の詳細は、政令・内閣府令・ガイドライン・マニュアル等により順次整備される予定です。
主な審査項目:
- 申請書の記載事項および添付書類
- 標準処理期間
- 手数料の有無
- 認定後の公表手続き
2. 申請手続きと標準処理期間
申請は、電子申請サービス「e-Gov」を通じて行います。申請の流れは以下のとおりです。
申請から認定までの流れ:
- 認定申請または共同認定申請の提出
- こども家庭庁による審査(必要に応じて補正指示)
- 補正内容の確認
- 認定または不認定の通知
- 必要に応じて手数料の納付
標準処理期間は1~2か月程度とされますが、補正対応や追加書類の提出に要する期間は含まれません。
3. 申請書の記載事項と添付書類
申請書に記載すべき主な事項:
- 事業者の氏名・住所、法人の場合は代表者氏名
- 事業の概要および該当事業区分
- 事業所の名称・所在地
- 対象従事者の業務内容
- 従事者数、GビズID等の情報
主な添付書類:
- 業務内容を示す資料
- 認定基準適合を証する書類
- 児童対象性暴力等対処規程
- 犯罪事実確認に関する誓約書
- 法人定款・登記事項証明書・住民票
- 情報管理規程・役員略歴等
※共同認定の場合は、事業運営者に関する情報も必要です。
4. 提出方法と申請単位
申請は原則としてオンラインで行います。共同認定の場合は、事業者と事業運営者が内容を確認・合意のうえで申請します。
- 認定申請は「事業単位」で実施
- 同一事業であれば複数事業所をまとめて申請可能
- パンフレットやウェブサイト等の既存資料も活用可能
5. 手数料について
認定申請には、1事業あたり約3万円の手数料が発生する見込みです。
手数料が不要となるケース:
- 国または自治体が単独で申請する場合
- 国・自治体と事業運営者による共同認定申請
- 委託準備行為を経て共同認定を行う場合
※民間事業者が単独で申請する場合は、委託を受けていても手数料が必要です。
6. 認定情報の公表
こども家庭庁は、以下の事由が発生した際に認定情報を公表します。
- 認定の実施
- 公表事項の変更届の提出
- 犯罪事実確認の完了届の提出
- 認定事業の廃止届の提出
- 認定の取消し
公表内容: 事業者名、所在地、代表者名、事業概要、認定年月日、フランチャイズの有無など
7. 認定マークの表示について
認定事業者は、広告や物品等に認定マークを表示することが可能です。
表示可能な例:
- 制服などの事業用物品
- パンフレット・ウェブサイト・広告媒体
- 契約書・名刺・電子メール
- 看板・受付表示・求人広告
※未認定事業との混同を避けるため、明確な区別が必要です。名刺は対象従事者のみが使用可能であり、退職時には回収が求められます。
まとめ
日本版DBS制度は、児童対象性暴力等への対処体制を整備し、保護者や利用者の信頼を確保するための重要な仕組みです。認定申請にあたっては、制度の趣旨を正しく理解し、必要書類の整備や手続きの準備を着実に進めることが求められます。
行政書士法人塩永事務所では、認定申請に関する書類作成・手続き支援をはじめ、制度導入に向けたコンサルティングも承っております。制度に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
📞 096-385-9002 📧 info@shionagaoffice.jp