
【熊本の建設業許可業者様へ】事業年度終了届の完全ガイド:重要ポイントと確実な提出方法
建設業許可を取得されている事業者様は、建設業法第11条に基づき、毎年、事業年度終了後4か月以内に「事業年度終了届出書(変更届出書)」を許可行政庁に提出することが法的に義務付けられています。
この届出は、決算期ごとに変動する財務状況・工事実績・技術者配置状況などの重要な経営情報を監督官庁に報告し、建設業許可の適正な維持管理を図るための基幹的な手続きです。
1. 提出期限と基本ルール
法人の場合
- 提出期限:各事業年度終了日から4か月以内
- 例:3月決算法人の場合 → 翌年7月末まで
- 例:12月決算法人の場合 → 翌年4月末まで
個人事業主の場合
- 事業年度:1月1日~12月31日(固定)
- 提出期限:毎年4月末日まで(年度にかかわらず統一)
実務上の注意点
決算報告書の完成から事業年度終了届の作成・提出までに要する期間を考慮すると、実質的な作業期間は約2か月程度となります。税務申告業務と並行して進める必要があるため、早期の準備開始が不可欠です。
2. 提出を怠った場合の深刻なリスクと法的影響
許可更新時の致命的な問題
事業年度終了届を継続的に提出していない場合、5年後の許可更新申請時に重大な支障が生じます。更新申請では、直近5期分の事業年度終了届(副本)の全てを添付書類として提示することが法定要件となっているため、1年でも欠けている場合は更新申請が受理されません。
法的責任と行政処分
- 建設業法第28条第1項第2号に基づく**監督処分(指示処分)**の対象
- 重大な場合は営業停止処分や許可取消処分に発展する可能性
- 虚偽記載や故意の未提出は6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金(建設業法第55条)
3. 提出に必要な書類の詳細解説
(1)変更届出書(表紙)
事業年度終了届の基本情報を記載する法定様式。許可番号、事業者名、代表者名、事業年度などの基本情報を正確に記入します。
(2)工事経歴書
許可を受けた建設業種ごとに、当該事業年度中に施工した工事について以下の項目を詳細に記載:
必須記載項目
- 注文者名(発注者の正式名称)
- 工事名称(契約書記載の正式工事名)
- 工事場所(所在地を具体的に記載)
- 元請・下請の別
- 工事着手年月日・完成年月日
- 配置技術者名(主任技術者・監理技術者の氏名)
- 工事契約金額
記載範囲の判断基準
- 経営事項審査を受審する場合:完成工事高上位10件以上の記載が必要
- 経営事項審査を受審しない場合:代表的な工事の記載で可(通常3~5件程度)
(3)直前3年の各事業年度における工事施工金額
許可業種別に、過去3期分の完成工事高を集計して記載します。
- 許可を受けた業種に該当しない工事は「その他の建設工事」に分類
- 金額は税抜き価格で記載
- 前払金等は控除した実際の施工金額を計上
(4)財務諸表(建設業法準拠様式)
重要な注意事項
一般的な決算報告書をそのまま流用することは法的に認められていません。建設業法施行規則第18条に定められた建設業特有の勘定科目体系に基づき、建設業簿記の原則に従って作成する必要があります。
法人が提出すべき財務諸表
- 貸借対照表(建設業法準拠様式)
- 損益計算書(建設業法準拠様式)
- 完成工事原価報告書
- 株主資本等変動計算書
- 注記表
個人事業主が提出すべき財務諸表
- 貸借対照表(建設業法準拠様式)
- 損益計算書(建設業法準拠様式)
建設業特有の勘定科目例
- 完成工事高・完成工事原価
- 未成工事受入金・未成工事支出金
- 工事未収入金・工事未払金
- 兼業事業売上高・兼業事業売上原価
(5)納税証明書
**許可の種類(知事許可・大臣許可)および事業形態(法人・個人)**により、必要な納税証明書が異なります。
熊本県知事許可の場合
- 個人事業主:個人事業税の納税証明書(熊本県税事務所で取得)
- 法人:法人事業税の納税証明書(熊本県税事務所で取得)
国土交通大臣許可の場合
- 個人事業主:申告所得税の納税証明書(その1)(管轄税務署で取得)
- 法人:法人税の納税証明書(その1)(管轄税務署で取得)
納税証明書取得時の注意点
- 取得時期:事業年度終了日以後のもの
- 有効期限:発行から3か月以内
- 未納がある場合:完納後に取得することが必要
4. 提出先と提出方法
熊本県知事許可の場合
- 提出先:熊本県土木部建設政策課建設業係
- 所在地:〒862-8570 熊本市中央区水前寺6丁目18番1号
- 提出方法:持参または郵送(書留郵便推奨)
国土交通大臣許可の場合
- 提出先:国土交通省九州地方整備局建政部建設産業課
- 所在地:〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2丁目10番7号
- 提出方法:持参または郵送(書留郵便推奨)
5. よくある提出上の誤りと対策
財務諸表関連
- 一般会計準則での作成(建設業簿記様式への変換が必要)
- 勘定科目の誤分類
- 注記表の記載漏れ
工事経歴書関連
- 配置技術者名の記載漏れ
- 元請・下請区分の誤記載
- 工事金額の税込・税抜混在
納税証明書関連
- 取得する証明書の種類間違い
- 有効期限切れ
- 未納税額がある状態での取得
6. 行政書士法人塩永事務所の専門サポートサービス
当事務所では、熊本県内の建設業許可業者様を対象として、事業年度終了届の作成から提出までを包括的にサポートいたします。
具体的なサービス内容
財務諸表作成支援
- 建設業法準拠様式への完全対応
- 建設業簿記による勘定科目の適正分類
- 注記表・完成工事原価報告書の専門的作成
工事経歴書作成支援
- 許可業種との整合性確認
- 配置技術者情報の正確な記載
- 経営事項審査受審の有無に応じた最適な記載方法
行政手続きサポート
- 納税証明書取得の代行・指導
- 提出スケジュールの管理・調整
- 行政庁との事前協議・確認
継続的な許可管理
- 5年間の届出状況管理
- 許可更新時期の事前通知
- 変更届出の必要性判断・提出支援
サポート体制の特徴
- 豊富な実績:熊本県内建設業者様への年間100件以上の届出支援
- 迅速対応:提出期限を確実に遵守するスケジュール管理
- 専門知識:建設業法・建設業簿記の深い理解に基づく正確な書類作成
- 継続サポート:年1回の定期業務として長期的な関係構築
まとめ
事業年度終了届は、建設業許可の維持において最も重要な法定義務の一つです。 毎年継続的に、かつ法令に完全準拠した正確な様式で提出することが、建設業経営の安定性確保と法的リスクの回避に直結します。
複雑な建設業簿記様式や専門的な記載要領について不安をお感じの建設業者様は、建設業許可業務に特化した豊富な実績と専門知識を持つ行政書士法人塩永事務所に安心してお任せください。
熊本県内の建設業許可関連手続きのすべてについて、プロフェッショナルとして責任を持ってサポートいたします。