
行政書士法人塩永事務所が解説|死後事務委任契約のしくみと活用方法
1. 死後事務委任契約とは
「死後事務委任契約」とは、お客様(委任者)が、行政書士法人塩永事務所(受任者)に対してご自身の死後に必要となる各種事務手続を委任する契約です。
この契約をあらかじめ結んでおくことで、万一の際にご家族やご友人へ過大な負担をかけず、かつお客様ご自身の希望を確実に実現することが可能になります。
近年、単身者やお子様のいないご夫婦を中心に需要が高まっている仕組みです。
2. 遺言書との違い
「死後のことは遺言書に書いておけばよい」とお考えの方も多いかもしれません。
しかし、遺言書の法的効力が及ぶ範囲は主に「遺産の分配」に限られています。
例えば、
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葬儀の方法を指定する
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遺骨を散骨してほしいと希望する
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公共サービスや契約の解約を依頼する
といった事項は、遺言書に記載しても法的拘束力を持ちません。
そこで必要となるのが死後事務委任契約です。
この契約によって、遺産分配以外の死後の実務(葬儀・埋葬・各種解約・精算等)を、委任した受任者が代行できるようになります。
⚠️ 注意点として、死後事務委任契約では遺産分割に関する取り決めはできません。したがって、遺言書と死後事務委任契約はセットで活用することが基本です。
3. 死後事務委任契約で対応可能な手続き
行政書士法人塩永事務所では、お客様のご希望に応じて以下のような死後事務を受託いたします。
※報酬は後払い制で、すべての手続完了後に精算いたします。
主な業務内容と報酬の目安
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死亡直後の緊急対応(病院・施設への駆け付け、葬儀社手配、死亡届提出、火葬許可取得、居室内整理など)……150,000円
※旅行先や出張先での死亡時:国内+50,000円、海外+200,000円 -
葬儀・火葬の手配(喪主代行)……100,000円
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埋葬・散骨の手続き/墓じまい(改葬手続き含む)……100,000円〜
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各種資格証明書(運転免許証・マイナンバーカード等)の返納……10,000円/件
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勤務先での退職手続き……50,000円
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入院費・施設利用料の清算……20,000円
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不動産賃貸借契約の解約・明渡しまでの管理……50,000円(駐車場等は20,000円/件)
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住居内の遺品整理・デジタル機器データ消去……50,000円
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公共料金・通信・クレジット契約等の解約・精算……20,000円/契約
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税金(住民税・固定資産税等)の納税手続き……20,000円/税目
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サブスクリプション契約の解約……10,000円/件
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関係者への死亡通知・郵便停止依頼……1,000円/件
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ペットの里親探し・施設引渡し……1,000円/件
4. 遺言執行業務
死後事務の完了後、遺言書に基づき遺産分配・寄付等を実行する「遺言執行」も承ります。
報酬基準(遺産総額に応じて算定)
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1,000万円以下:一律30万円
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1,000万〜3,000万円以下:15万円+1.5%
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3,000万〜5,000万円以下:21万円+1.3%
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5,000万〜1億円以下:31万円+1.1%
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1億〜3億円以下:66万円+0.75%
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3億円超:126万円+0.55%
※遺産総額は、死後事務費用を差し引いた金額を基準とします。
5. 費用の目安(シミュレーション例)
50代男性(療養中・年収400万円)のケースでは、
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葬儀(直葬)、散骨、住居整理、契約解約、税金納付等を含め
総額250〜300万円程度が一般的です。
契約時に概算見積りを提示し、死亡後に実際の手続き件数に応じて精算いたします。
⚠️ 郵便法の規定により、亡くなった方宛の郵便物は転送できません。
そのため、重要書類の受領のために一定期間、賃貸契約を継続する必要が生じる点にご留意ください。
6. 死後事務委任契約の意義
死後事務委任契約は、単なる手続き代行ではありません。
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ご家族・知人の精神的・経済的負担を軽減できる
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ご自身の希望(葬儀・供養・ペットの行き先など)を確実に実現できる
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遺言書と組み合わせることで、死後の不安をほぼ網羅的に解消できる
という大きなメリットがあります。
行政書士法人塩永事務所では、法的な正確性と実務対応力を備えた専門家として、お客様の大切な「もしも」に備えるお手伝いをいたします。