
外部監査人への就任と業務内容
~育成就労制度・技能実習制度における法的義務と実務~
1. 外部監査人設置の法的義務
監理団体(育成就労制度・技能実習制度を運営する団体)は、法律上、以下のいずれかの措置を講じることが義務付けられています。
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外部役員の設置
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外部監査の実施(外部監査人の選任)
これは、団体運営に外部の視点を導入し、中立性・透明性を確保するために設けられた制度です。
2. 育成就労制度における外部監査人の必置義務
令和6年施行の「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(以下「育成就労法」)第25条では、監理団体が許可を受けるための条件のひとつとして、外部監査人の設置が明記されています。
育成就労法 第25条(抜粋)
「監事その他法人の業務を監査する者による監査のほか、監理型育成就労実施者と密接な関係を有しない者であって、公正かつ適正に監査を行える知識又は経験を有する者を、役員の職務執行の監査を行わせるための措置を講じていること。」
この条文により、育成就労制度では外部監査人の設置が必須となります。
技能実習制度と異なり、「外部役員か外部監査人か」の選択ではなく、外部監査人を置かなければ許可が下りません。
3. 技能実習制度における規定との違い
技能実習法(旧制度)では、監理団体は以下のいずれかを選択できました。
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外部役員を置く
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外部監査人を置く
技能実習法 第25条第5号(抜粋)
「役員構成の中立性の確保」又は「外部監査人による職務執行監査の実施」のいずれかの措置を講じること。
育成就労制度ではこれが改正され、必ず外部監査人を置くことが求められます。
4. 外部監査人の資格要件
外部監査人は、以下の条件を満たす必要があります。
4-1. 基本要件
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法人・個人どちらでも可
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過去3年以内に外部監査人講習を修了していること
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監査業務を公正・適正に遂行できる知識や経験(例:公的資格、労務管理経験)
4-2. 外部性確保のための欠格条件
以下に該当する者は外部監査人になれません(例示)。
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実習実施者や監理団体の現役・過去5年以内の役職員
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実習実施者・監理団体の役職員の配偶者や二親等以内の親族
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監理団体の構成員やその役職員
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他の監理団体や外国送出機関の役職員(現役・過去5年以内)
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技能実習に関して不正行為歴のある者 など
実務では、資格証明や経歴書の提出などにより、外部性・能力を証明する必要があります。
5. 外部監査人の職務内容(法定)
外部監査人は、監理団体における監査業務の適正性を確認し、その結果を文書化して報告します。
5-1. 定期監査
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3か月に1回以上:各事業所の監査業務遂行状況、帳簿書類の整備状況などを確認
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確認結果を監査報告書として監理団体に提出
5-2. 同行監査
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年1回以上:監理団体が行う実習実施者への定期監査に同行
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現場での監査の適正性を確認し、結果を報告
6. 弊事務所の外部監査業務
行政書士法人塩永事務所では、以下の方針で外部監査人業務を行っています。
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3か月に1度の定期訪問:監理責任者・責任役員との面談、帳簿・資料確認
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年1回の同行監査:実習実施者訪問、技能実習生面談、現場確認
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監査報告書の作成・提出
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法令遵守の立場から、違反行為や制度の抜け穴を助長するような助言は一切行いません
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行政書士として、入管手続き代行・制度移行(特定技能等)の助言も可能
※外部監査人としての独立性を保持するため、監理団体の役員には就任いたしません。
7. 報酬・契約条件
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月額報酬:33,000円(税込)
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別途実費:訪問時の交通費等
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契約期間:1年間(申し出がなければ自動更新)
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支払方法:毎月請求書発行・銀行振込
8. ご依頼の流れ
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事前予約(対面またはZoom面談可)
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面談にて業務内容・条件を説明
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双方合意の上、契約締結
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外部監査人業務の開始
ご依頼にあたっては、必ず面談を行い、業務範囲・契約条件を確認させていただきます。