
永住許可申請について
就労・在留期間の制限がない「永住者」ビザの取得を目指す方へ
行政書士法人塩永事務所
永住者とは?
永住者とは、**出入国管理及び難民認定法(入管法)**に基づく在留資格の一つで、日本での活動や在留期間に制限がない資格です。永住許可を取得すると、在留期間の更新が不要となり、就労や転職、起業など自由に行えます。
また、社会的信用が向上し、住宅ローン審査などでも有利になるため、日本で安定した生活を築くうえで非常に重要なステップです。
※永住許可の取得は、在留資格の単なる変更ではなく、**「永住許可申請」**という独立した手続きが必要です。
永住者の具体的なメリット
在留上のメリット
- 在留期間の更新手続きが不要
- 活動制限がなく、どのような職業にも就ける
- 起業・独立が自由にできる
- みなし再入国許可の利用が可能(1年以内の出国であれば再入国許可不要)
社会生活上のメリット
- 住宅ローンの審査が通りやすい
- クレジットカードの発行が容易
- 雇用主にとって長期雇用の安心材料
- 家族の呼び寄せが容易
永住許可申請と帰化申請の違い
項目 | 永住許可申請 | 帰化申請 |
---|---|---|
目的 | 在留資格を「永住者」に変更 | 日本国籍の取得 |
申請窓口 | 出入国在留管理庁 | 法務局 |
申請単位 | 個人単位 | 原則、家族単位 |
国籍 | 取得なし | あり |
申請の柔軟性 | 家族の中で条件を満たさない者がいても個別申請可能 | 家族全員が条件を満たす必要がある |
パスポート | 本国のパスポートを使用 | 日本のパスポートを取得 |
選挙権 | なし | あり |
審査期間 | 4か月~1年程度 | 8か月~1年程度 |
例えば、家族の一部が永住要件を満たしていない場合や、将来的に帰化を希望しているがまずは永住ビザで安定した滞在を確保したい場合は、本人が永住許可を取得し、配偶者や子どもは「永住者の配偶者等」などの在留資格に変更する方法が有効です。
永住許可申請の基本要件
永住許可申請には、原則として以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
① 素行が善良であること
犯罪歴・違反歴について
- 日本国内外で犯罪歴や重大な違反歴がないこと
- 軽微な交通違反があっても頻度が多い場合は審査に影響する可能性あり
- 不法就労や虚偽申請などの不正行為がないこと
- 職場や家庭でのトラブルがなく、社会的に望ましい生活態度を維持していること
具体的な判断基準
- 道路交通法違反:軽微な違反でも年間3回以上は要注意
- 刑事罰:罰金刑以上の前科がある場合は相当期間の経過が必要
- 民事事件:債務不履行や民事訴訟の当事者となった場合も審査対象
- 家庭内暴力:DV等の前歴がある場合は大きなマイナス要因
② 独立した生計を営むに足りる資産または技能を有すること
経済的要件の詳細
- 生活保護など公的扶助に依存せず、安定した収入があること
- 会社員、自営業、経営者などの就労による収入が基準
- 扶養されている場合は扶養者の収入や資産も審査対象
- 収入の目安は原則として年収300万円以上(扶養家族がいる場合は追加で約70万円/人)
- 納税・年金・保険料の適正な納付履歴が重要
収入基準の詳細
- 単身者:年収300万円以上
- 夫婦のみ:年収400万円以上
- 夫婦+子1人:年収500万円以上
- 夫婦+子2人:年収600万円以上
資産の考慮
- 預貯金残高:年収の半分程度以上が望ましい
- 不動産所有:安定性の証明として有利
- 負債状況:住宅ローン等の健全な負債は問題なし
③ 永住が日本の利益に資すると認められること
在留期間要件
- 原則として、10年以上継続して日本に在留(うち5年以上は就労資格または居住資格)
- 現在の在留資格で3年または5年の在留期間を有していること
- 公的義務(納税、年金・保険料の納付、法令遵守)を適正に履行していること
- 罰金刑や懲役刑を受けていないこと
- 公衆衛生上、日本社会に悪影響を及ぼす恐れがないこと
継続在留の注意点
- 3か月以上の連続出国は継続在留に影響する可能性
- 年間の出国日数が合計で半年を超える場合は要注意
- 出国理由が明確であることが重要
高度人材ポイント制による特例
高度人材ポイント制とは
学歴、職歴、年収、年齢などをポイント化し、70点以上の場合に各種優遇措置を受けられる制度です。
永住許可申請での優遇措置
80点以上の場合
- 引き続き1年以上日本に在留していること
70点以上80点未満の場合
- 引き続き3年以上日本に在留していること
ポイント計算の主要項目
学歴(最高30点)
- 博士号(日本または外国の大学院):30点
- 修士号(日本または外国の大学院):20点
- 学士号(日本または外国の大学):10点
- 複数学位の場合は最高点数のみ適用
職歴(最高25点)
- 10年以上:25点
- 7年以上10年未満:20点
- 5年以上7年未満:15点
- 3年以上5年未満:10点
年収(最高50点)
- 1,000万円以上:50点
- 800万円以上1,000万円未満:40点
- 600万円以上800万円未満:30点
- 400万円以上600万円未満:20点
- 300万円以上400万円未満:10点
年齢(最高15点)
- 29歳以下:15点
- 30歳以上34歳以下:10点
- 35歳以上39歳以下:5点
- 40歳以上:0点
永住許可申請の特例的な短縮要件
以下のケースでは、在留期間の要件が短縮されます。
特例対象者 | 在留期間要件の短縮内容 |
---|---|
日本人・永住者・特別永住者の配偶者 | 婚姻後3年以上かつ日本国内に1年以上継続して在留 |
日本人・永住者・特別永住者の実子または特別養子 | 日本国内で1年以上継続して在留 |
「定住者」の在留資格を持つ者 | 5年以上継続して日本に在留 |
難民認定を受けた者 | 難民認定後5年以上継続して日本に在留 |
日本への貢献が認められる者(外交・経済・文化等) | 5年以上継続して在留し、個別審査で要件緩和の対象になる場合あり |
配偶者の特例要件の詳細
実体のある婚姻関係
- 同居していることが原則
- 別居している場合は正当な理由が必要
- 婚姻生活の継続性を証明する資料が必要
必要な証明書類
- 戸籍謄本(日本人配偶者の場合)
- 婚姻証明書(外国人配偶者の場合)
- 住民票(世帯全員記載)
- 婚姻生活の実態を証明する資料
必要書類一覧
基本書類
- 永住許可申請書
- 申請書(日本語で記入)
- 申請人の写真(4cm×3cm、3か月以内撮影)
- 申請人の身分関係書類
- 在留カード(原本提示、写し提出)
- パスポート(原本提示、写し提出)
- 住民票(世帯全員記載、3か月以内発行)
素行関係書類
- 犯罪歴関係
- 本国の犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)
- 警察証明書(必要に応じて)
- 納税関係書類
- 課税(所得)証明書(過去5年分)
- 納税証明書(過去5年分)
- 源泉徴収票(過去5年分)
- 社会保険関係書類
- 国民健康保険料納付証明書
- 国民年金保険料納付証明書
- 厚生年金保険料納付証明書
経済要件関係書類
- 収入関係書類
- 在職証明書
- 雇用契約書
- 給与明細書(直近3か月分)
- 預貯金残高証明書
- 資産関係書類
- 不動産登記簿謄本(所有している場合)
- 賃貸借契約書
- 固定資産税納税通知書
在留歴関係書類
- 在留状況書類
- 出入国記録開示請求書による記録
- 在留カード交付・更新歴
- 過去の在留資格証明書類
家族関係書類
- 配偶者関係書類
- 戸籍謄本または婚姻証明書
- 配偶者の在留カード
- 配偶者の収入証明書
- 子関係書類
- 出生証明書
- 子の在留カード
- 在学証明書
高度人材関係書類
- 学歴関係書類
- 卒業証明書
- 学位証明書
- 成績証明書
- 職歴関係書類
- 職歴証明書
- 辞令・人事発令書
- 昇進・昇格証明書
よくある誤解と注意点
重要な誤解
- 永住許可は申請すれば必ず許可されるわけではありません。 法務大臣の裁量による審査があり、不許可となる場合もあります。
- 税金や年金の未納・遅延は審査で大きくマイナス評価されます。 直近5年程度の納税・社会保険料納付履歴を必ず確認してください。
- 在留期間が1年しかない場合は、まず3年または5年の在留期間への更新を目指すことが望ましいです。
- 身元保証人の用意が求められる場合があります。
特に注意すべき点
納税関係
- 住民税の滞納は1円でも審査に影響
- 分割納付中でも滞納扱いとなる場合あり
- 扶養控除の適用に誤りがある場合は修正申告が必要
社会保険関係
- 国民年金の未納期間がある場合は後納手続きが必要
- 国民健康保険料の滞納は大きなマイナス要因
- 厚生年金への加入が義務付けられている場合の未加入は問題
交通違反関係
- 軽微な違反でも頻度が多い場合は影響
- 無免許運転、酒気帯び運転等は致命的
- 違反金の未納も審査対象
永住許可申請の手続きの流れ
1. 永住要件の事前チェック
- 申請資格や必要書類の確認
- 収入や納税状況の整理
- 在留歴の正確な把握
- 問題点の洗い出しと対策検討
2. 必要書類の収集と作成
- 本国書類の取得(犯罪経歴証明書等)
- 日本国内書類の収集
- 申請書類の作成
- 外国語書類の翻訳
3. 申請書類の提出
- 住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請
- 受付番号の取得
- 審査期間の確認
4. 審査・面接・調査
- 書類審査(4~6か月)
- 必要に応じて面接
- 自宅訪問調査(稀に実施)
- 勤務先への照会(場合により)
5. 許可・不許可の通知
- 許可の場合:永住者の在留資格が付与
- 不許可の場合:理由説明と再申請のアドバイス
審査期間と手数料
審査期間
- 標準的な審査期間:4か月~6か月
- 複雑な案件:6か月~1年
- 追加資料提出の場合:さらに延長の可能性
手数料
- 申請手数料:8,000円(収入印紙)
- 在留カード交付手数料:無料
不許可となる主な理由
1. 素行要件の不充足
- 税金・社会保険料の滞納
- 交通違反の多発
- 刑事罰の前科
- 民事事件での問題
2. 経済要件の不充足
- 収入が不安定
- 生活保護受給歴
- 預貯金不足
- 負債過多
3. 在留歴の問題
- 在留期間の不足
- 長期間の海外渡航
- 過去の在留資格違反
- 不法就労歴
4. 書類の不備
- 必要書類の不足
- 記載内容の矛盾
- 翻訳の不備
- 古い書類の使用
申請成功のためのポイント
事前準備の重要性
- 要件充足状況の詳細チェック
- 問題点の早期発見・対策
- 必要書類の計画的収集
- 申請時期の適切な選択
書類作成のポイント
- 正確で詳細な記載
- 一貫性のある内容
- 適切な翻訳
- 最新の書類使用
継続的な準備
- 完全な納税履行
- 社会保険料の適切な納付
- 安定した収入の確保
- 良好な在留状況の維持
行政書士法人塩永事務所の永住許可申請サポート
熊本県内で多数の永住許可申請を支援してきた当事務所では、以下のサービスを提供しています。
提供サービス
- 永住許可要件の無料診断
- 必要書類の案内と収集代行
- 申請書類の作成・翻訳対応
- 出入国在留管理庁への申請取次(申請取次資格を有する行政書士が対応)
- 不許可時の理由分析と再申請サポート
当事務所の強み
- 豊富な実績:熊本県内での多数の許可実績
- 専門知識:入管法に精通した行政書士が対応
- 個別対応:一人ひとりの状況に応じたオーダーメイドサポート
- 継続サポート:申請から許可まで責任を持って対応
事務所情報・ご相談方法
事務所概要
- 所在地:熊本市中央区水前寺1-9-6(JR新水前寺駅徒歩3分圏内)
- 電話番号:096-385-9002
- メール:info@shionagaoffice.jp
- 営業時間:平日9:00~18:00(土曜・祝日も相談可・要予約)
相談方法
- 初回相談:無料(永住申請可否の事前診断を実施)
- 面談相談:事務所にて詳細相談
- 電話相談:お忙しい方向けの電話での相談
- メール相談:24時間受付
アクセス
- JR新水前寺駅から徒歩3分
- 熊本市電水前寺駅から徒歩5分
- 駐車場完備(お車でのご来訪も可能)
まとめ
永住許可の取得は、日本での生活の安定と将来的な選択肢拡大に欠かせない重要な手続きです。
しかし、要件が厳格で審査も複雑なため、確実な申請には専門家のサポートが不可欠です。
特に以下の点が重要です:
- 10年ルールまたは特例要件の正確な理解
- 納税・社会保険料納付状況の完全な整備
- 安定した経済基盤の構築
- 適切な書類準備と一貫性のある申請
熊本で永住許可申請をお考えの方は、入管業務に精通した行政書士法人塩永事務所へぜひご相談ください。
親切・丁寧に、ひとりひとりの事情に応じた最適なサポートを提供いたします。
日本での永住を目指す皆様の夢の実現をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。