
無店舗型性風俗特殊営業の届出手続き徹底解説
行政書士法人塩永事務所
「無店舗型性風俗特殊営業」という言葉を聞き、その具体的な営業内容や、果たしてどのような法規制が適用されるのか、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。特に、店舗を持たない形態であるため、通常の店舗型風俗営業とは異なる手続きが必要なのではないか、とお考えになる方もいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、無店舗型性風俗特殊営業は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風営法」という。)第2条第6項第3号に規定される「性風俗特殊営業」に該当し、営業を開始する前に公安委員会への届出が義務付けられています。この「届出」は、一般的に「許可」という言葉で認識されることもありますが、法律上は「届出」という形式をとります。
行政書士法人塩永事務所では、この複雑な届出手続きをスムーズに進め、適法な営業開始をサポートしております。今回は、無店舗型性風俗特殊営業の届出手続きについて、その詳細を解説いたします。
無店舗型性風俗特殊営業とは?再確認
無店舗型性風俗特殊営業とは、店舗を設けずに営む性風俗特殊営業を指します。具体的には、以下のような業態が代表例です。
- デリバリーヘルス(派遣型ヘルス): 従業員が顧客の指定する場所(ホテル、自宅など)に出向いてサービスを提供する形態。電話やインターネットを通じて予約を受け付けるのが一般的です。
- 出張型マッサージ・エステ: 性的なサービスを伴う場合で、従業員が顧客の元へ出向いて施術を行う形態。
これらの営業は、店舗を持たないからといって無制限にできるわけではなく、風営法に基づく厳格な規制の対象となります。
無店舗型性風俗特殊営業の届出手続きの流れ
無店舗型性風俗特殊営業を開始する際の届出手続きは、主に以下のステップで進みます。
ステップ1:営業所の選定と準備
無店舗型とはいえ、事業を運営するための拠点が必要です。これが「営業所」となります。具体的には、電話予約の受付、従業員の待機、備品の保管、帳簿書類の管理などを行う場所を指します。
- 営業所の所在地: 都道府県公安委員会への届出は、この営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して行います。
- 用途地域の確認: 営業所が所在する地域の都市計画法上の用途地域が、風俗営業等に適しているかを確認する必要があります。住居専用地域など、届出ができない地域もあります。
- 物件の賃貸契約: 営業所として使用する物件の賃貸契約は、法人名義または個人事業主名義で行い、事業用として使用できる契約内容であるかを確認します。
ステップ2:必要書類の収集・作成
届出には、非常に多くの書類が必要です。これらの書類は、申請者(法人または個人)、営業所、従業員に関する情報を詳細に証明するためのものです。
【主な必要書類の例】
- 届出書: 所定の様式に必要事項を記入します。
- 営業所の所在地を管轄する公安委員会指定の書類
- 申請者(個人事業主の場合)の書類:
- 住民票の写し
- 身分証明書(本籍地の市区町村が発行)
- 成年被後見人、被保佐人、破産者でないことを証明する登記事項証明書
- 誓約書
- 申請者(法人の場合)の書類:
- 定款の写し
- 履歴事項全部証明書(法人登記簿謄本)
- 役員全員の住民票の写し、身分証明書、成年被後見人等でないことの登記事項証明書、誓約書
- 役員名簿
- 営業所の書類:
- 賃貸借契約書の写し(使用承諾書)
- 営業所の平面図、求積図、立面図(待機場所、受付場所、備品庫などを明示)
- 用途地域の確認書類
- 管理者の書類:
- 住民票の写し
- 身分証明書
- 成年被後見人等でないことの登記事項証明書
- 誓約書
- 管理者選任届出書
- その他:
- 使用する車両がある場合は、その車両に関する情報
- 広告方法に関する書類
- 従業員名簿(従業員の採用後)
- 料金表
- (公安委員会が別途要求する書類)
これらの書類の中には、区役所や法務局などで取得するもの、専門家が作成するものなど、多岐にわたります。特に平面図などは専門知識が必要となる場合が多いです。
ステップ3:届出書類の提出
必要書類が全て揃ったら、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課へ届出書類を提出します。
- 事前相談: 提出前に、管轄の警察署に事前相談を行うことを強くお勧めします。地域や担当者によって解釈が異なる場合があり、事前に確認することでスムーズな手続きが期待できます。
- 手数料: 届出には所定の手数料が必要です。
- 審査期間: 届出が受理されてから実際に営業を開始できるようになるまでには、一定の審査期間(通常、数週間~数ヶ月)を要します。この期間は営業を開始できません。
ステップ4:現地調査
届出後、警察官による営業所の現地調査が行われます。図面通りの設備が整っているか、周辺環境に配慮されているかなどが確認されます。
ステップ5:届出済証の交付
審査の結果、要件を満たしていると判断されれば、公安委員会から「届出済証」が交付されます。これにより、晴れて無店舗型性風俗特殊営業を開始することが可能になります。
無店舗型性風俗特殊営業における注意点
- 未成年者の利用禁止: 18歳未満の者に対するサービス提供や、従業員として雇用することは厳しく禁止されています。
- 広告・宣伝の規制: 公衆の目に触れる場所でのわいせつな内容の広告や、過度な宣伝活動は禁止されています。インターネット上での表現にも注意が必要です。
- 善良な風俗環境の保持: 周辺住民や地域社会の健全な風俗環境を阻害しないよう、細心の注意を払う必要があります。
- 料金の明示: サービス内容と料金を明確に提示し、不当な請求を行わないことが求められます。
- 帳簿の備付け: 営業に関する帳簿を適切に備え付け、必要に応じて提示できるようにしておく必要があります。
行政書士に依頼するメリット
無店舗型性風風俗特殊営業の届出手続きは、非常に専門的かつ煩雑です。書類の不備や、法令解釈の誤りがあると、審査が滞ったり、最悪の場合は届出が不受理となる可能性もあります。
行政書士法人塩永事務所では、以下の点で事業者様を強力にサポートいたします。
- 的確なアドバイス: お客様の事業内容に応じた最適な届出方法や、法規制に関する的確なアドバイスを提供します。
- 書類作成の代行: 複雑な届出書類の作成から、添付書類の収集までを代行し、お客様の負担を軽減します。
- 警察署との折衝: 事前相談や書類提出時の警察署とのやり取りを代行し、スムーズな手続きを支援します。
- 開業後のサポート: 届出後の変更届や、法改正への対応など、開業後も継続的なサポートが可能です。
無店舗型性風俗特殊営業の開始をご検討されている方、または既存の営業で届出に関する不安をお持ちの方は、ぜひ一度、行政書士法人塩永事務所にご相談ください。専門知識を持った行政書士が、貴社の適法かつ円滑な事業運営を全力でサポートいたします。