
遺産分割・財産名義変更と生前贈与・遺言書作成の完全ガイド
行政書士法人塩永事務所
相続は人生における重要な出来事の一つです。適切な準備と手続きを行うことで、ご家族の負担を軽減し、円滑な財産承継を実現できます。本記事では、遺産分割・財産名義変更、生前贈与・遺言書作成について詳しく解説いたします。
遺産分割について
遺産分割とは
遺産分割とは、被相続人(故人)が残した財産を相続人間で分配する手続きです。相続が開始されると、遺産は相続人全員の共有財産となり、具体的な分割方法を決定する必要があります。
遺産分割の方法
協議分割 相続人全員が話し合いによって分割方法を決定する最も一般的な方法です。全員の合意が必要であり、合意内容を遺産分割協議書として書面化します。
調停分割 協議がまとまらない場合、家庭裁判所の調停手続きを利用します。調停委員が仲介役となり、話し合いを進めます。
審判分割 調停でも合意に至らない場合、家庭裁判所が法定相続分に基づいて分割方法を決定します。
遺産分割協議書の重要性
遺産分割協議書は相続手続きにおいて極めて重要な書類です。不動産の名義変更、預貯金の解約、株式の名義変更など、あらゆる相続手続きで必要となります。
記載すべき内容
- 被相続人の氏名、本籍、最後の住所、死亡年月日
- 相続人全員の氏名、住所、続柄
- 各財産の詳細な記載
- 各相続人が取得する財産の明確な記載
- 作成年月日
- 相続人全員の署名・押印(実印)
財産名義変更の手続き
不動産の名義変更(相続登記)
必要書類
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産の固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書
手続きの流れ 法務局への登記申請を行います。令和6年4月1日から相続登記が義務化されており、相続開始から3年以内に手続きを完了する必要があります。
預貯金の名義変更
必要書類
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 通帳・キャッシュカード
各金融機関によって必要書類が異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。
株式・投資信託の名義変更
証券会社や信託銀行での手続きが必要です。上場株式の場合は証券保管振替機構(ほふり)での手続きも必要となる場合があります。
生前贈与について
生前贈与のメリット
相続税対策 生前に財産を贈与することで、将来の相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できます。
確実な財産承継 生前に財産を移転することで、確実に希望する人に財産を引き継ぐことができます。
家族間のコミュニケーション促進 贈与を通じて家族間で財産について話し合う機会が生まれます。
贈与税の基礎控除と特例制度
暦年贈与 1年間に110万円までの贈与については贈与税がかかりません(基礎控除)。
相続時精算課税制度 60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与について、2,500万円まで贈与税を課税せず、相続時に相続財産に加算して相続税を計算する制度です。
住宅取得等資金贈与の特例 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度があります。
教育資金一括贈与の特例 30歳未満の子・孫への教育資金として1,500万円まで非課税で贈与できる制度です。
生前贈与の注意点
贈与契約書の作成 贈与の事実を明確にするため、贈与契約書を作成することが重要です。
定期贈与の回避 毎年同額を贈与する約束をした場合、定期贈与とみなされ、初年度に全額に対して贈与税が課税される可能性があります。
名義預金の問題 形式的に名義を変更しても、実質的な所有者が変わっていない場合は贈与として認められません。
遺言書作成について
遺言書の種類
自筆証書遺言 遺言者が全文、日付、氏名を自筆で記載し、押印する遺言書です。費用がかからず手軽に作成できますが、方式不備のリスクがあります。
公正証書遺言 公証人が作成する遺言書で、最も確実性の高い方式です。公証役場で作成し、原本は公証役場で保管されます。
秘密証書遺言 遺言の内容を秘密にしながら、遺言書の存在を明確にする方式ですが、実務上はあまり利用されていません。
遺言書作成のメリット
円滑な相続手続き 遺言書があることで、相続人間での話し合いが不要となり、迅速な相続手続きが可能です。
遺言者の意思の実現 特定の相続人に多くの財産を残したい、相続人以外の人に財産を残したいなど、遺言者の意思を実現できます。
相続争いの防止 明確な遺言書があることで、相続人間の争いを防止できます。
遺言書作成時の注意点
遺留分への配慮 法定相続人には遺留分(最低限保障される相続分)があるため、これを侵害しない内容にすることが望ましいです。
遺言執行者の指定 遺言の内容を確実に実行するため、遺言執行者を指定することをお勧めします。
定期的な見直し 家族構成の変化や財産状況の変化に応じて、遺言書を見直すことが重要です。
専門家に相談するメリット
複雑な手続きのサポート
相続手続きは複雑で多岐にわたります。行政書士などの専門家に依頼することで、確実かつ効率的に手続きを進めることができます。
税務面でのアドバイス
相続税や贈与税の計算は複雑で、特例制度の適用可否の判断も難しいものです。税理士との連携により、適切な税務対策をご提案いたします。
トラブルの予防
専門知識に基づいた適切な書類作成により、将来のトラブルを予防できます。
まとめ
相続は避けて通れない人生の出来事です。事前の準備と適切な手続きにより、ご家族の負担を軽減し、円滑な財産承継を実現できます。
行政書士法人塩永事務所では、豊富な経験と専門知識を活かし、お客様一人ひとりの状況に応じた最適なサポートを提供いたします。相続に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ 遺産分割、財産名義変更、生前贈与、遺言書作成に関するご相談は、行政書士法人塩永事務所までお気軽にご連絡ください。初回相談は無料で承っております。