
産業廃棄物収集運搬許可申請完全ガイド
行政書士法人塩永事務所
はじめに
産業廃棄物収集運搬業への参入をお考えの事業者の皆様へ。産業廃棄物収集運搬許可の取得は、適正な廃棄物処理を確保するため厳格な要件が設けられていますが、適切な準備と正確な申請により確実に許可を取得することが可能です。
当事務所では、数多くの産業廃棄物収集運搬許可申請をサポートしてきた豊富な経験をもとに、皆様の許可取得を全力でサポートいたします。
産業廃棄物収集運搬許可とは
産業廃棄物の定義
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類の廃棄物をいいます。
燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず、鉱さい、がれき類、動物のふん尿、動物の死体、ばいじん、上記の産業廃棄物を処分するために処理したもの(13号廃棄物)
収集運搬許可の必要性
産業廃棄物の収集運搬を業として行う場合、廃棄物処理法により都道府県知事(政令市長)の許可が必要です。無許可で収集運搬を行った場合、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)が科せられます。
許可の要件
1. 事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものであること
施設要件
運搬車両・運搬容器
- 産業廃棄物が飛散・流出・悪臭が漏れるおそれのないもの
- 収集運搬する産業廃棄物の種類に応じた適切な構造
- 車両の積載量が適正であること
駐車場
- 運搬車両を適切に駐車できる場所を確保
- 自己所有または適法な使用権原があること
人的要件
技術管理者の設置
- 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会の修了者
- 事業場ごとに1名以上配置
- 常勤である必要はないが、技術管理業務を確実に行える体制
2. 申請者が欠格要件に該当しないこと
個人事業者の場合の欠格要件
- 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等に該当する者
- その他法定の欠格要件に該当する者
法人の場合の欠格要件
- 役員等が上記個人の欠格要件に該当する者
- 暴力団員等がその事業活動を支配する法人
3. 事業の実施に関し生活環境の保全上支障を生ずるおそれがないこと
事業計画の適正性
- 取り扱う産業廃棄物の種類・量が適正
- 収集運搬の方法が適切
- 処分先が確保されている
許可申請に必要な書類
基本書類
1. 産業廃棄物収集運搬業許可申請書
- 申請者の基本情報
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 事業の内容
2. 事業計画の概要
- 取り扱う産業廃棄物の種類及び量
- 収集運搬の区域
- 運搬方法
- 積替え・保管の有無
申請者に関する書類
個人事業者の場合
- 住民票の写し
- 登記されていないことの証明書
- 成年後見登記制度における登記事項証明書
- 納税証明書
法人の場合
- 定款又は寄附行為
- 登記事項証明書
- 役員等の住民票の写し
- 役員等の登記されていないことの証明書
- 株主名簿又は出資者名簿
- 法人税納税証明書
事業用施設に関する書類
運搬車両関係
- 自動車検査証の写し
- 車両の写真(前面・後面・側面・荷台部分)
- 運搬容器等の写真・仕様書
駐車場関係
- 土地・建物の登記事項証明書
- 賃貸借契約書(賃借の場合)
- 駐車場の位置図・配置図
- 駐車場の写真
人的要件に関する書類
技術管理者関係
- 技術管理者証の写し
- 雇用契約書又は委託契約書
- 技術管理者の履歴書
その他の書類
財政基盤関係
- 貸借対照表・損益計算書(法人の場合)
- 資産に関する調書(個人の場合)
- 金融機関の残高証明書
事業実施体制関係
- 組織図・業務分担表
- 緊急時の連絡体制図
- 帳簿の記載例
申請手続きの流れ
1. 事前準備(2~3ヶ月)
要件の確認
- 許可要件の詳細確認
- 必要書類のリスト作成
- スケジュールの策定
講習会の受講
- 技術管理者講習会の申込み
- 受講・修了証取得
施設の準備
- 運搬車両の購入・リース
- 駐車場の確保
- 運搬容器等の準備
2. 書類作成・収集(1~2ヶ月)
申請書類の作成
- 申請書の記載
- 事業計画書の作成
- 添付書類の収集
書類の精査
- 記載内容の確認
- 添付書類の整合性確認
- 不備の修正
3. 申請書提出
提出先
- 都道府県庁(政令市の場合は市役所)の廃棄物担当課
- 収集運搬を行う区域を管轄する自治体
提出方法
- 窓口持参(原則)
- 郵送(自治体により異なる)
手数料
- 新規許可:81,000円
- 更新許可:73,000円
- 変更許可:71,000円
4. 審査(60~90日)
書面審査
- 提出書類の内容確認
- 法令要件との適合性確認
実地調査
- 駐車場の現地確認
- 運搬車両の確認
- 事業実施体制の確認
補正指示
- 不備書類の補正
- 追加書類の提出
5. 許可・不許可の決定
許可の場合
- 許可証の交付
- 許可条件の確認
- 事業開始準備
不許可の場合
- 不許可理由の確認
- 改善措置の検討
- 再申請の検討
許可取得後の義務
1. 帳簿の作成・保存
記載事項
- 受託年月日
- 排出事業者の氏名・住所
- 産業廃棄物の種類・数量
- 運搬先の住所・氏名
- 受託料金
保存期間:5年間
2. マニフェストの確認・保存
確認事項
- 排出事業者からの適正な交付
- 記載内容の確認
- 処分業者への適正な引渡し
保存期間:5年間
3. 許可証の携帯・掲示
携帯義務
- 収集運搬時の許可証携帯
- 求められた場合の提示
掲示義務
- 事業場における許可証の掲示
4. 変更届出・許可
変更届出事項
- 氏名・名称・住所の変更
- 役員の変更
- 技術管理者の変更
変更許可事項
- 取り扱う産業廃棄物の種類の追加
- 積替え・保管の追加
5. 更新申請
更新時期:許可有効期間満了の3ヶ月前から 有効期間:5年間(優良認定事業者は7年間)
許可取得のポイント
1. 技術管理者の確保
重要性
- 許可要件の中核をなす要素
- 適正な事業実施の責任者
対策
- 早期の講習会受講申込み
- 適切な人材の確保
- 継続的な教育・研修
2. 適切な運搬車両・容器の選定
選定基準
- 取り扱う産業廃棄物の性状に応じた構造
- 飛散・流出・悪臭防止対策
- 法令基準への適合
注意点
- 汎用性の高い車両・容器の選択
- 将来の事業拡大を見据えた選定
- メンテナンス体制の確保
3. 財政基盤の充実
審査のポイント
- 継続的な事業実施能力
- 適正処理に必要な資金力
- 財務状況の健全性
対策
- 適切な資本金の設定
- 安定した収益基盤の確保
- 財務諸表の適正な作成
よくある申請時の問題と対策
1. 駐車場の確保
よくある問題
- 適切な駐車場が見つからない
- 使用権原の証明が困難
- 近隣住民の反対
対策
- 早期の駐車場確保
- 適法な使用権原の取得
- 近隣住民への丁寧な説明
2. 技術管理者講習会の受講
よくある問題
- 講習会の申込み時期を逃す
- 受講資格の確認不足
- 修了試験の不合格
対策
- 年間スケジュールの早期確認
- 受講資格の事前確認
- 十分な事前学習
3. 書類の不備
よくある問題
- 記載内容の不整合
- 添付書類の不足
- 様式の間違い
対策
- 専門家によるチェック
- 最新様式の使用
- 提出前の入念な確認
許可後の事業運営のポイント
1. 法令遵守体制の構築
重要な法令
- 廃棄物処理法
- 道路交通法
- 道路法
- 労働安全衛生法
体制整備
- 定期的な法令研修
- 作業手順書の作成
- 緊急時対応マニュアル
2. 適正処理の確保
処分業者の選定
- 許可業者であることの確認
- 処理能力・実績の確認
- 現地確認の実施
処理委託契約
- 適正な契約書の作成
- 処理料金の適正性確認
- 定期的な契約見直し
3. 顧客開拓・営業活動
ターゲット業界
- 製造業
- 建設業
- 医療機関
- 商業施設
営業戦略
- 地域密着型営業
- 専門性のアピール
- 適正価格での提供
当事務所のサポート内容
1. 許可要件診断
お客様の事業計画を詳しく分析し、許可要件を満たすための具体的なアドバイスを行います。
2. 申請書類作成代行
複雑な申請書類の作成を専門家が代行し、不備のない書類を作成します。
3. 許可取得後のサポート
帳簿作成指導、変更手続き、更新申請まで継続的にサポートします。
4. 法令遵守体制構築支援
適正な事業運営のための法令遵守体制構築をサポートします。
よくあるご質問
Q1:許可取得までにどのくらいの期間がかかりますか?
A1:申請準備から許可取得まで通常4~6ヶ月程度かかります。技術管理者講習会の受講時期により前後する場合があります。
Q2:他の都道府県でも収集運搬を行う場合はどうすればよいですか?
A2:収集運搬を行う各都道府県でそれぞれ許可を取得する必要があります。
Q3:許可取得後、すぐに事業を開始できますか?
A3:許可証交付後、直ちに事業開始可能です。ただし、顧客との契約、マニフェストの準備等が必要です。
Q4:個人事業主でも許可を取得できますか?
A4:はい、可能です。ただし、法人と同様の要件を満たす必要があります。
Q5:許可の有効期間はどのくらいですか?
A5:5年間です。ただし、優良認定を受けた事業者は7年間となります。
まとめ
産業廃棄物収集運搬許可の取得は、適正な廃棄物処理事業を行うための重要な第一歩です。許可要件は厳格ですが、適切な準備と正確な申請により確実に許可を取得することが可能です。
当事務所では、豊富な経験と専門知識をもとに、皆様の許可取得と適正な事業運営を全力でサポートいたします。産業廃棄物収集運搬業への参入をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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