
行政書士法人塩永事務所が解説!外国人のための日本での会社設立完全ガイド:手続きからビザ取得まで
日本でのビジネス展開をお考えの外国人投資家の皆様、または既に日本にお住まいで起業を目指す皆様へ。日本は安定した経済環境と巨大な市場、そしてアジアのハブとしての地理的優位性から、魅力的なビジネス拠点となっています。しかし、外国人が日本で会社を設立し、円滑に事業をスタートさせるためには、日本独自の法規制や行政手続きを理解しておく必要があります。
行政書士法人塩永事務所は、これまで多くの外国人の方々の日本での会社設立をサポートしてまいりました。この記事では、日本で会社を設立する際の手順、必要となるビザの種類、そして押さえておくべきポイントについて、実務経験に基づいた具体的な情報を提供いたします。
1. 日本で会社設立するメリットと外国人特有の課題
日本での会社設立のメリット
- 安定した経済基盤: 世界第3位の経済大国であり、安定した法制度とビジネス環境が整っています。
- 巨大な国内市場: 1億人を超える人口を抱え、多様な消費者のニーズに応える市場があります。
- アジアへのゲートウェイ: アジア諸国へのアクセスが容易で、ビジネス展開の拠点として最適です。
- 高度な技術力と人材: 世界トップクラスの技術力を持つ企業が多く、優秀な人材も豊富です。
- 信頼性の高いビジネス環境: 法的な枠組みが整備されており、透明性の高い取引が期待できます。
外国人特有の課題
- 言語の壁: 日本語での手続きが基本となるため、通訳や翻訳のサポートが必要となる場合があります。
- 文化の違い: 日本独自の商習慣やビジネスエチケットを理解することが重要です。
- 在留資格(ビザ)の取得: 会社設立後、事業活動を行うためには適切な在留資格が必要です。
- 手続きの複雑さ: 日本の法務・税務・労務に関する知識が必要となります。
2. 会社設立のステップバイステップ
外国人の方が日本で会社を設立する際の手続きは、主に以下のステップで進みます。
ステップ1:会社設立前の準備
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事業計画の策定:
- どのような事業を行うのか、具体的なビジネスモデル、市場分析、競合分析、収益予測などを明確にします。これは、後の「経営・管理」ビザ申請時にも非常に重要となります。
- オフィスや店舗の選定もこの段階で行います。
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会社形態の選択:
- 一般的には「株式会社」または「合同会社」のいずれかを選択します。
- 株式会社: 資金調達がしやすく、社会的信用が高い傾向がありますが、設立費用や運営コストが高めです。
- 合同会社: 設立費用や運営コストを抑えられ、意思決定の自由度が高いですが、社会的信用は株式会社に比べ低い場合があります。
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会社概要の決定:
- 商号(会社名)の決定: 同一住所に同一商号がないか確認します。
- 本店所在地(会社の住所)の決定: 賃貸契約済みのオフィスなどを設定します。
- 事業目的の決定: 行う事業内容を具体的に定款に記載します。将来行う可能性のある事業も記載しておくと、後々の変更手続きが不要になります。
- 資本金の決定: 法律上、資本金は1円以上で設立可能ですが、「経営・管理」ビザ取得の要件として原則500万円以上が必要です。
- 役員の決定: 代表取締役、取締役、監査役など。外国人も役員になることができます。日本に住所を持つ役員が少なくとも1名いることが望ましいです。
- 事業年度の決定: 通常は1年間で設定します。
ステップ2:会社設立手続き(法務局への登記)
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定款(ていかん)の作成:
- 会社の基本的なルールを定めたもので、会社の商号、所在地、事業目的、資本金、役員構成などを記載します。
- 株式会社の場合は、公証役場で公証人の認証を受ける必要があります(合同会社は不要)。
- 外国語で作成する場合は、日本語訳を添付する必要があります。
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資本金の払い込み:
- 会社の銀行口座(発起人代表個人の口座でも可)に資本金を払い込み、その証明書(通帳のコピーなど)を取得します。外国から送金する場合は、送金元・送金先、金額が明確に分かる資料を準備します。
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設立登記申請書類の作成:
- 会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の作成に必要な書類(登記申請書、定款、役員の就任承諾書、印鑑証明書など)を作成します。
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法務局への登記申請:
- 本店所在地を管轄する法務局へ上記書類を提出します。
- 申請が受理され、不備がなければ数日~2週間程度で登記が完了し、会社が正式に設立されます。
ステップ3:会社設立後の手続き(税務署、年金事務所などへの届出)
会社設立後、以下の手続きが必要です。
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税務署への届出:
- 法人設立届出書
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(従業員が10名未満の場合) など
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都道府県・市区町村への届出:
- 法人設立届出書
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年金事務所への届出:
- 新規適用届(健康保険・厚生年金保険)
- 被保険者資格取得届(役員・従業員) など
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労働基準監督署への届出:
- 労働保険関係成立届(従業員を雇用する場合) など
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ハローワークへの届出:
- 雇用保険適用事業所設置届(従業員を雇用する場合) など
これらの手続きは、設立後速やかに行う必要があります。
3. 外国人が日本で会社を設立・経営するためのビザ(在留資格)
外国人が日本で会社を設立し、事業活動を行うためには、原則として「経営・管理」の在留資格(ビザ)を取得する必要があります。
「経営・管理」ビザの主な要件
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事業所の確保:
- 日本国内に事業を行うための明確な事業所(オフィス、店舗など)を確保していること。自宅兼事務所は認められない場合があります。
- 賃貸借契約書などの客観的な資料で証明できる必要があります。
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事業規模:
- 事業を安定的に継続して行うための基盤があること。具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 投資金額: 日本国内で営まれる事業に500万円以上の投資を行っていること。
- 常勤職員: 日本に居住する常勤の職員(役員を除く)を2人以上雇用していること。
- 事業を安定的に継続して行うための基盤があること。具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。
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事業の適法性・安定性・継続性:
- 事業が日本で適法に行われるものであり、事業計画が実現可能で、かつ継続性があること。
- 綿密な事業計画書が審査のポイントとなります。
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申請人の経験・能力:
- 申請人が事業の経営または管理に実質的に従事する者であること。
- 会社経営や事業管理に関する経験(3年以上が目安)、または関連する分野での高い専門知識・技術があることが求められます。
- 海外での経営経験や関連する職務経験を証明する書類(職務経歴書、在職証明書など)が重要です。
「経営・管理」ビザ申請の流れ
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在留資格認定証明書交付申請(海外在住者の場合):
- 海外に在住している方が「経営・管理」ビザを取得して入国する場合、まず日本の出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
- 必要書類:申請書、パスポート、写真、履歴書、最終学歴証明書、職務経歴書、事業計画書、会社登記簿謄本、賃貸借契約書、資本金の出所を証明する書類など多数。
- 審査期間は数週間から数ヶ月かかる場合があります。
- 認定証明書が交付されたら、本国の日本大使館・領事館でビザ申請を行い、入国します。
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在留資格変更許可申請(日本在住者の場合):
- 既に日本に他の在留資格(例:留学、技術・人文知識・国際業務など)で滞在している方が会社を設立し、経営に専念する場合、出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行います。
- 必要書類は上記と同様ですが、現在の在留カードやパスポートも提出します。
- 許可が下りるまで、現在の在留資格の活動範囲を超えないように注意が必要です。
ビザ申請における重要ポイント
- 事業計画書の具体性: 会社の事業内容、市場分析、競合分析、販売戦略、資金計画、人員計画、収益予測などを詳細かつ具体的に記述する必要があります。実現可能性が高いと判断される計画が求められます。
- 資本金の出所証明: 資本金がどのように用意されたのか(自身の貯蓄、親族からの贈与など)を明確に証明できる資料が必要です。
- 専門家への相談: 「経営・管理」ビザの申請は、準備書類が多く、要件も複雑です。専門家である行政書士に相談することで、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。
4. 行政書士法人塩永事務所のサポート体制
行政書士法人塩永事務所では、外国人の皆様が日本でスムーズに会社設立し、事業をスタートできるよう、以下のサポートを提供しております。
- 会社設立に関するコンサルティング: 会社形態の選択、事業目的の決定、役員構成など、設立前の疑問点に丁寧にお答えします。
- 定款作成・認証代行: 会社設立に不可欠な定款の作成から、公証役場での認証手続きまで代行いたします。
- 設立登記書類作成支援: 提携司法書士が法務局への登記申請に必要な各種書類の作成をサポートいたします。
- 「経営・管理」ビザ申請代行: 複雑な「経営・管理」ビザの申請書類作成、事業計画書の作成支援、出入国在留管理局への申請手続きを全面的にサポートいたします。
- 設立後の各種届出支援: 提携士業が税務署、年金事務所、労働基準監督署などへの届出についてアドバイスいたします。
- 提携専門家のご紹介: 税理士、司法書士、社会保険労務士など、必要に応じて各種専門家をご紹介し、ワンストップでサポートできる体制を整えています。
5. よくあるご質問 (FAQ)
Q1. 日本語が話せなくても会社設立できますか? A1. はい、可能です。当事務所では英語対応が可能なスタッフが在籍しており、通訳を介しての対応も可能です。書類作成も日本語で行いますが、ご説明は英語で行うことができます。
Q2. 資本金500万円は必須ですか? A2. 「経営・管理」ビザの要件としては、原則500万円以上の投資が必要とされています。ただし、日本に居住する常勤職員を2名以上雇用する場合など、例外もあります。具体的なケースについてはご相談ください。
Q3. オフィスを借りる前にビザは申請できますか? A3. 原則として、具体的な事業所(オフィスなど)の確保が「経営・管理」ビザの要件となります。賃貸借契約書などの提出が求められるため、事前にオフィスを確保しておく必要があります。
Q4. 会社設立からビザ取得まで、どれくらいの期間がかかりますか? A4. 準備期間を含めると、会社設立自体は1ヶ月程度、その後の「経営・管理」ビザの申請は、書類の準備状況や出入国在留管理局の混雑状況にもよりますが、通常1ヶ月~4ヶ月程度かかることが多いです。全体では2ヶ月~6ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。
Q5. 会社設立費用はどのくらいかかりますか? A5. 会社設立にかかる法定費用(登録免許税、定款認証手数料など)は、株式会社で約30万円、合同会社で約15万円程度です。これに加えて、専門家への報酬、オフィス賃料などがかかります。
おわりに
日本での会社設立と「経営・管理」ビザの取得は、外国人の方にとって決して容易な道のりではありません。しかし、適切な知識と準備、そして専門家のサポートがあれば、その実現は可能です。
行政書士法人塩永事務所は、外国人のお客様が安心して日本でビジネスを立ち上げ、成功できるよう、全力でサポートさせていただきます。ご不明な点がございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
行政書士法人塩永事務所 [事務所の連絡先情報:電話番号096-385-9002, info@shionagaofffice.jp