熊本県における一般貨物自動車運送事業許可申請完全ガイド

概要

熊本県で運送業を開始するには、貨物自動車運送事業法に基づく一般貨物自動車運送事業許可の取得が法的に義務付けられています。行政書士法人塩永事務所では、同許可申請に関する専門的なサポートサービスを提供し、熊本県内の事業者様の円滑な許可取得をサポートしております。

一般貨物自動車運送事業許可の法的位置づけ

許可制度の概要

根拠法令: 貨物自動車運送事業法第3条
許可権者: 九州運輸局長
許可の性質: 法定許可（許可なく事業を行うことは違法行為）

事業区分

一般貨物自動車運送事業
- 不特定多数の荷主の貨物を運送する事業
- 最も一般的な運送業許可
特定貨物自動車運送事業
- 特定の荷主の貨物のみを運送する事業
- 許可ではく届出制

許可取得のための法定要件

1. 営業所に関する要件

使用権原: 自己所有または3年以上の賃貸借契約
規模: 適切な事務室および休憩・睡眠施設を有すること
立地: 農地法、都市計画法、建築基準法等に適合すること
施設: 事業計画を的確に遂行するに足る規模を有すること

2. 事業用自動車に関する要件

車両数: 営業所ごとに5台以上（霊柩運送業等例外あり）
車両の大きさ: 計画する事業に適切な大きさであること
使用権原: 使用権原を有することの裏付けがあること

3. 車庫に関する要件

位置: 営業所に併設または営業所から2km以内（政令市等は5km以内）
規模: 計画車両数すべてを収容できる規模
使用権原: 自己所有または3年以上の賃貸借契約
法令適合: 建築基準法、都市計画法、消防法等に適合

4. 休憩・睡眠施設に関する要件

位置: 営業所または車庫に併設、または近接した適切な位置
規模: 乗務員が有効に利用することができる適切な規模
構造・設備: 乗務員が睡眠を取ることができる適切な施設

5. 管理運営体制に関する要件

事業主・役員要件

一般貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有すること
社会保険等加入義務者は適切に加入していること
貨物自動車運送事業法等の違反により処分を受けた者でないこと

運行管理者要件

事業用自動車5台以上29台以下：運行管理者1名以上
30台以上：30台ごとに1名追加
運行管理者資格者証を有する者

整備管理者要件

自動車整備士3級以上の資格または実務経験2年以上
整備管理者選任前研修の受講

運転者要件

日雇い、2ヶ月以内の期間雇用、試用期間中の者でないこと
適切な運転免許を取得後2年を経過していること
運転者に対する指導監督体制が確立されていること

6. 資金計画に関する要件

所要資金: 車両費、建物費、機械器具及び什器備品費、土地費、運転資金（6ヶ月分）
自己資金: 所要資金の1/2以上かつ事業開始当初に要する資金の100%以上
資金調達: 十分な裏付けがあること

申請手続きの流れ

1. 事前準備段階（1-2ヶ月）

事業計画の策定
営業所・車庫・車両の確保
運行管理者・整備管理者の確保
資金計画の作成

2. 申請書類作成段階（2-4週間）

許可申請書（様式第1号）の作成
事業計画書の詳細作成
添付書類一式の準備

3. 申請段階

九州運輸局への申請書提出
申請手数料の納付

4. 審査段階（標準処理期間：3-4ヶ月）

書面審査
法令試験（事業主または役員1名が受験）
必要に応じて現地確認

5. 許可後手続き（許可から1年以内）

登録免許税の納付
運輸開始前の確認届出
運輸開始届の提出

主要申請書類一覧

基本申請書類

一般貨物自動車運送事業経営許可申請書
事業計画書
事業用自動車の運行管理等の体制書面
資金計画書及び事業収支見積書

申請者関係書類

定款または寄附行為及び登記事項証明書（法人）
戸籍抄本（個人）
役員名簿及び履歴書
株主名簿または出資者名簿

施設関係書類

営業所、車庫、休憩睡眠施設の案内図、見取図、平面図
使用権原を証する書面（売買契約書、賃貸借契約書等）
都市計画法等関係法令の確認書面

車両関係書類

車検証の写し
売買契約書またはリース契約書の写し

財務関係書類

貸借対照表、損益計算書（法人・直近1期分）
確定申告書の写し（個人・直近1年分）
残高証明書

法令試験について

実施概要

受験者: 申請者が個人の場合は本人、法人の場合は常勤役員1名
実施時期: 原則として申請受付月の翌月
試験時間: 50分
出題形式: 30問（○×式および語句選択式）
合格基準: 24問以上正解（80%以上）

出題範囲

貨物自動車運送事業法
貨物自動車運送事業法施行規則
貨物自動車運送事業輸送安全規則
自動車事故報告規則
道路運送法
道路運送車両法
道路交通法
労働基準法
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
労働安全衛生法
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
下請代金支払遅延等防止法

許可取得後の義務

運輸開始前の手続き

運輸開始前の確認届出: 許可後1年以内
運行管理者・整備管理者の選任届: 運輸開始前
運賃料金設定届: 運輸開始前

運輸開始後の義務

運輸開始届: 運輸開始後30日以内
事業報告書: 毎年4月30日まで
事業実績報告書: 毎年7月10日まで
各種変更届: 変更後30日以内

行政書士法人塩永事務所のサポート内容

1. 事前コンサルティング

許可要件適合性の診断
事業計画策定支援
施設・車両選定アドバイス

2. 申請書類作成代行

全申請書類の作成
添付書類の収集支援
事業計画書の詳細作成

3. 申請手続き代行

九州運輸局への申請代行
審査期間中の行政対応
補正・追加資料対応

5. 許可後手続きサポート

運輸開始前確認届出
運輸開始届提出
継続的なコンプライアンス支援

よくあるご質問

Q1: 許可取得にはどの程度の期間が必要ですか？

A: 申請準備から許可取得まで通常6-8ヶ月程度を要します。九州運輸局での標準処理期間は3-4ヶ月ですが、事前準備に十分な時間をかけることが重要です。

Q2: 法令試験に不合格となった場合はどうなりますか？

A: 再試験の機会が与えられます。ただし、2回不合格となった場合は申請が却下されるため、十分な準備が必要です。

Q3: 個人事業主でも許可を取得できますか？

A: 可能です。ただし、法人と比較して資金調達や信用面で課題となることがあるため、事前の十分な準備が必要です。

Q4: 許可取得後すぐに営業を開始できますか？

A: いいえ。許可取得後も運輸開始前の確認届出等の手続きが必要であり、これらの手続き完了後に営業開始となります。

まとめ

一般貨物自動車運送事業許可の取得は、複雑な法的要件と詳細な審査を伴う手続きです。行政書士法人塩永事務所では、豊富な経験と専門知識に基づき、熊本県内の事業者様の円滑な許可取得をトータルサポートいたします。

運送業参入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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