【行政書士監修】フィリピン人との国際結婚|手続き・費用・注意点を完全ガイド
美しい自然とホスピタリティあふれる国民性で知られるフィリピン。親日的で温厚な方が多く、フィリピン人の方と国際結婚をされる日本人は少なくありません。
しかし、フィリピン人との国際結婚を成立させ、日本で共に暮らすためには、両国での法的な手続きと、その後の「配偶者ビザ」の取得という、二つの大きなハードルを越える必要があります。特に、国際結婚の手続きは必要書類が多く、審査も複雑なため、「何から始めれば良いのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フィリピン人との国際結婚をお考えの方へ向けて、具体的な手続きの方法を「日本で先に手続きする場合」と「フィリピンで先に手続きする場合」の2パターンに分けて、詳しく解説します。
手続きをスムーズに進めるための注意点や、最も重要な「配偶者ビザ」の取得についても網羅していますので、ぜひご一読ください。
フィリピン人との国際結婚手続き:まず知っておくべきこと
フィリピンの婚姻要件
フィリピンの法律では、結婚可能な年齢は18歳からと定められています。ただし、年齢によって親の関与が必要となる点が日本と大きく異なります。
- 18歳~20歳の方: 両親の**「同意書(Affidavit of Consent)」**が必要
- 21歳~25歳の方: 両親の**「承諾書(Affidavit of Advice)」**が必要
これらの書類は、後述する「婚姻要件具備証明書」を在日フィリピン大使館で取得する際に必須となります。
また、フィリピンは国民の多くがカトリック教徒であるという背景から、法律上**「離婚」が認められていません。** このように、結婚に対する考え方や法律が日本とは異なることを理解しておくことが、円満な国際結婚の第一歩となります。
国際結婚の手続きは2つの方式がある
フィリピン人との国際結婚を法的に有効なものにするには、日本とフィリピン両国での手続きが必要です。これは、後の「配偶者ビザ」を申請する大前提となります。手続きは、どちらの国で先に行うかによって、以下の2つの方式に分けられます。
- 日本先行方式: 日本の市区町村役場で先に婚姻届を提出する方法
- フィリピン先行方式: フィリピンで先に結婚手続きを行う方法
お二人の状況(フィリピン人パートナーが日本にいるか、フィリピンにいるか等)によって、どちらの方式が適しているかが異なります。一般的に、フィリピン人パートナーがすでに日本に在留している場合は、日本先行方式の方がスムーズに進むケースが多いです。
【日本先行方式】日本で先に結婚手続きを進める場合
フィリピン人パートナーが留学生や就労者として日本に在留している場合に適した方法です。
手続きの流れ
- 在日フィリピン大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得
- 日本の市区町村役場へ「婚姻届」を提出
- 在日フィリピン大使館へ「婚姻の報告的届出」を行う
- 出入国在留管理局で「配偶者ビザ」を申請
手続きにかかる期間と費用
- 期間: フィリピン人パートナーが持つ在留資格によります。中長期の在留資格をお持ちの場合は比較的スムーズですが、短期滞在ビザの場合は「婚姻要件具備証明書」が発行されず、法務局への照会に1~3ヶ月を要することがあります。
- 費用:
- ご自身で手続する場合: 各種証明書の発行手数料、交通費、配偶者ビザへの変更申請手数料(収入印紙4,000円)などの実費。
- 行政書士に依頼する場合: 10万円~15万円程度が目安です。複雑な手続きを代行し、不許可リスクを低減します。
必要書類(主なもの)
1. 在日フィリピン大使館での「婚姻要件具備証明書」申請
2. 日本の市区町村役場への婚姻届提出
3. 在日フィリピン大使館への婚姻報告
- 婚姻事項が記載された日本の戸籍謄本
- 婚姻届受理証明書
- お二人のパスポートのコピー など
※必要書類は個人の状況や提出先の役所によって異なります。手続きを始める前に、必ず管轄のフィリピン大使館・総領事館、および日本の市区町村役場にご確認ください。
【フィリピン先行方式】フィリピンで先に結婚手続きを進める場合
日本人がフィリピンへ渡航して手続きを行う方法です。フィリピン国内での手続きに時間がかかるため、ある程度の滞在日数、あるいは複数回の渡航が必要になることを念頭に置く必要があります。
手続きの流れ
- 在フィリピン日本国大使館・総領事館で「婚姻要件具備証明書」を取得
- フィリピンの市役所で「マリッジライセンス(婚姻許可証)」を申請・取得
- 申請後、10日間公示されます。
- 結婚セミナーの受講
- 挙式を行う
- 許可証の有効期間(120日)内に行う必要があります。
- フィリピン統計局(PSA)に婚姻を登録し、「婚姻証明書」を取得
- 日本の市区町村役場または在フィリピン日本国大使館へ婚姻届を提出
- フィリピンでの婚姻成立後、3ヶ月以内に届け出る義務があります。
手続きにかかる期間と費用
- 期間: マリッジライセンスの公示に10日間、その後の婚姻証明書の登録・発行に2~3ヶ月程度かかることが一般的です。
- 費用:
- ご自身で手続する場合: 渡航費、滞在費に加え、各種証明書の発行手数料がかかります。
- 行政書士に依頼する場合: 日本・フィリピン両国での手続きをサポートする場合、費用は状況により異なりますので、個別にお問い合わせください。
必要書類(主なもの)
- 日本人側: 戸籍謄本、パスポートなど
- フィリピン人側: 出生証明書(PSA発行)、独身証明書(CENOMAR)、洗礼証明書など
最重要関門:「配偶者ビザ」の取得について
両国での婚姻手続きが完了しても、それだけでは日本で夫婦として暮らすことはできません。フィリピン人配偶者が日本で生活するためには、**「日本人の配偶者等」(通称:配偶者ビザ)**という在留資格を取得する必要があります。
この配偶者ビザの審査が、国際結婚における最も難易度の高い手続きと言っても過言ではありません。
配偶者ビザの審査で重要となる4つの要件
- 法律上の婚姻が有効に成立していること: 日本・フィリピン両国での手続きが完了していることが大前提です。
- 婚姻の信憑性(実体を伴った結婚であること): 偽装結婚ではないことを、交際の経緯や夫婦の交流状況を示す客観的な資料で証明する必要があります。
- 安定した生計を営める経済的基盤があること: 日本で夫婦が安定した生活を送れるだけの収入や資産があることを、課税証明書や預金通帳のコピーなどで示します。日本人側の扶養能力が問われます。
- 過去の在留状況が良好であること: フィリピン人配偶者にオーバーステイや犯罪歴などがないことも審査の対象となります。
配偶者ビザ取得における注意点
- 偽装結婚の疑いによる不許可: 残念ながらフィリピン人との国際結婚では偽装結婚が後を絶たず、入国管理局の審査は非常に慎重に行われます。交際期間が極端に短い、年齢差が大きい、出会いの経緯が不透明といったケースでは、特に厳しく審査され、不許可となる可能性が高まります。
- 関係性を証明する資料の重要性: 審査官に真実の結婚であることを理解してもらうため、お二人の交際履歴がわかる写真(結婚式の写真、お互いの家族との写真など)、SNSやメールのやり取りの履歴などを、できる限り多く提出することが許可のポイントです。
- 書類の翻訳: フィリピンの公的書類は、すべて日本語の翻訳文を添付する必要があります。
国際結婚手続きは専門家である行政書士にご相談ください
ここまでご覧いただいたように、フィリピン人との国際結婚と配偶者ビザの取得は、非常に複雑で時間と労力を要する手続きです。ご自身で進めようとした結果、書類の不備や説明不足で不許可になってしまうケースも少なくありません。
一度不許可になると、再申請のハードルはさらに上がってしまいます。
行政書士法人塩永事務所では、国際結婚・配偶者ビザ専門の行政書士が、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、最適な手続きをご提案いたします。複雑な書類作成から入国管理局への申請、そして万が一の不許可の場合の対応まで、お二人が日本で幸せな生活をスタートできるよう、責任を持ってサポートいたします。
初回のご相談は無料です。少しでもご不安な点がございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
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