
【行政書士が解説】ポーカールーム開業の流れと風営法許可のポイント
公開日: 2025年6月11日
はじめに
近年、知的ゲームとしての「テキサスホールデムポーカー」の人気が世界的に高まっています。日本でもアミューズメントとしてポーカーを楽しむ文化が急速に広がり、仲間と集えるポーカールームの開業を検討される方が増えています。
しかし、ポーカールームの開業には「賭博」とみなされないための厳格な法的ルールと、「風俗営業法(風営法)」に基づく許可手続きが必要です。これらを疎かにすると、開業できないばかりか、刑事罰の対象となる重大なリスクを伴います。
私たち行政書士法人塩永事務所は、熊本を拠点に、風営法が関わる営業許可申請を数多く手掛けてまいりました。本記事では、安心してポーカールームを開業・運営いただくために、法的な注意点から具体的な手続きの流れまで、専門家の視点で徹底的に解説いたします。
1. 最重要ポイント:賭博罪(刑法185条)との境界線
ポーカールームの開業を考える上で、絶対に越えてはならない一線が「賭博罪」です。日本の法律では、金銭や有価証券などを賭けて勝敗を争う行為は固く禁じられています。適法なポーカールームは、あくまで「遊技(ゲーム)」を提供するアミューズメント施設でなければなりません。
賭博とみなされないためには、以下の**「3つのNO」**を徹底することが絶対条件です。
- 賭けない(金銭を賭けない) ゲームの参加料(施設利用料)はOKですが、それをチップに換算し、勝者が総取りするような「トーナメントのバイイン」形式は賭博にあたります。
- 換金しない(チップを現金に換えない) ゲームで獲得したチップを現金や商品券などに交換する行為は、直接的な賭博行為です。
- 景品提供は厳格なルールで ゲームの成績に応じて景品(プライズ)を提供すること自体は可能ですが、その方法には風営法による厳しい規制があります。高額な景品や、換金性の高い物品の提供は認められません。
これらのルールを破れば、経営者だけでなく、客も賭博罪で摘発される可能性があります。クリーンで健全な運営こそが、ビジネスを長く続けるための生命線です。
2. 開業に必要な許可は「風営法5号営業」
賭博との一線を画した上で、ポーカールーム(アミューズメントカジノ)を開業するには、原則として風俗営業適正化法(風営法)第2条第1項第5号に規定される営業許可(通称:風営法5号営業)が必要です。これは、パチンコ店やゲームセンターと同じ区分の許可となります。
この許可を得るためには、以下の3つの要件を全てクリアしなければなりません。
(1)人的要件
申請者や法人の役員、店舗の管理者などが、以下の欠格事由に該当しないこと。
- 破産者で復権を得ない者
- 1年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられ、又は特定の罪(風営法違反、刑法、売春防止法など)で1年未満の懲役に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者 など
(2)場所的要件
店舗を設置できる場所には厳しい制限があります。
- 用途地域: 「住居専用地域」や「住居地域」では原則として営業できません。「商業地域」や「近隣商業地域」などが主な候補地となります。
- 保護対象施設からの距離制限: 店舗の敷地が、学校、図書館、病院、保育所などの「保護対象施設」から一定の距離(地域や用途地域により異なる。例:商業地域で50m以上)離れている必要があります。
(3)構造的要件
店舗の構造や設備が、法律で定められた基準を満たしていること。
- 客室の内部が、外部から見通すことを妨げない構造であること(個室の原則禁止)。
- 善良の風俗を害するような装飾、写真、設備などがないこと。
- 客室の床面積が、一定の基準(例:1客室5㎡以上)を満たしていること。
- 店内の照度が10ルクス以下とならないこと。 など
3. ポーカールーム開業までの具体的な流れ
風営法の許可申請は、準備から許可取得まで数か月を要する複雑なプロセスです。
【STEP 1】事業計画の策定・専門家への相談 どのようなコンセプトの店舗にするか、資金計画などを固めます。この段階で、必ず私たちのような風営法に詳しい行政書士にご相談ください。後のステップで致命的な失敗をしないための重要な第一歩です。
【STEP 2】物件探しと事前調査 事業計画に基づき、物件を探します。 【重要!】 気に入った物件が見つかっても、絶対にすぐ契約してはいけません。 その場所で本当に許可が取れるのか、場所的要件を満たしているかを、行政書士が役所や警察署で入念に調査します。この調査を経ずに契約し、後で許可が取れないことが発覚するケースが後を絶ちません。
【STEP 3】店舗の内装工事・設備準備 物件の契約後、構造的要件を満たすように内装工事を行います。工事の設計段階から行政書士が関与し、図面と現場に齟齬がないようチェックします。
【STEP 4】申請書類の作成・収集 風営法の申請には、専門的な図面(平面図、求積図、音響設備図、照明設備図など)を含む、膨大な書類が必要です。住民票や身分証明書、建物の登記簿謄本などを収集し、申請書や営業方法を記載した書類などを作成します。
【STEP 5】管轄警察署への申請 全ての書類が揃ったら、店舗の所在地を管轄する警察署の生活安全課へ申請します。
【STEP 6】実査(現地調査) 申請から約1か月後、警察署の担当者と風俗環境浄化協会の担当者が店舗を訪れ、申請図面通りに内装工事が完了しているか、構造要件を満たしているかを厳しくチェックします。
【STEP 7】許可証の交付 実査で問題がなければ、許可証が交付されます。警察署への申請から許可証交付までの標準処理期間は約55日です。
【STEP 8】営業開始 許可証を受け取った後、晴れて営業を開始できます。
4. 深夜0時以降も営業したい場合は?
風営法5号営業は、原則として深夜0時(地域によっては深夜1時)までの営業しか認められていません。
もし深夜0時以降も営業を行いたい場合は、風営法許可ではなく、**「深夜における酒類提供飲食店営業」**の届出を行うという選択肢があります。
ただし、この届出で営業する場合、「遊技の結果に応じて賞品を提供すること」が一切できなくなります。 あくまで飲食店として、お酒や食事の提供がメインとなり、ポーカーはその傍らで楽しむ「サービス」という位置づけになります。
どちらの形態がご自身のビジネスモデルに適しているか、慎重な判断が必要です。
5. 行政書士法人塩永事務所に依頼するメリット
ポーカールームの開業は、法的リスクと複雑な手続きが伴います。専門家である私たちにご依頼いただくことで、お客様は安心して事業の本質に集中できます。
- 確実なリーガルチェック: 賭博罪に抵触しない、クリーンな運営方法をご提案します。
- 煩雑な手続きの完全代行: 物件の事前調査、専門的な図面作成、警察署との折衝まで、全てお任せいただけます。
- 時間と労力の大幅な削減: お客様が役所や警察署に何度も足を運ぶ必要はありません。開業準備に専念できます。
- スムーズな許可取得: 豊富な経験とノウハウで、最短ルートでの許可取得を目指します。
まとめ
ポーカールームの開業は、多くの人々が集う魅力的なコミュニティを創出できる、やりがいのあるビジネスです。しかし、その成功は、法律を正しく理解し、遵守する姿勢が大前提となります。
「自分の計画は法的に問題ないだろうか?」「何から手をつければいいか分からない」。そんな時は、どうか一人で悩まず、私たち専門家にご相談ください。
行政書士法人塩永事務所では、ポーカールーム開業に関する初回無料相談を実施しております。熊本での開業はもちろん、近隣県での開業もサポートいたします。皆様の挑戦を、法的側面から全力でバックアップすることをお約束します。
本件に関するお問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
所在地: 〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6 電話番号: 096-385-9002