
2025年6月4日、参議院本会議において「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」および関連法案が可決・成立しました。これにより、トラック運送業の許可制度に5年ごとの更新制が導入されることとなり、業界の健全化と労働環境の改善が期待されています。
改正法の主なポイント
1. 許可の5年ごとの更新制導入
トラック運送事業者は、5年ごとに事業許可の更新申請が必要となります。更新には、法令遵守状況や経営の健全性、労働環境の整備状況などが審査されます。これにより、法令違反や不適切な運営を行う事業者の排除が図られます。
2. 運送委託の次数制限
元請け事業者が荷主から受託した運送業務を再委託する場合、その回数を2次請けまでに制限する努力義務が課されます。これにより、多重下請け構造の是正と、運送業務の適正化が進められます。
3. 適正原価を下回る運賃・料金の制限
国土交通大臣が告示する「適正原価」を継続的に下回る運賃や料金での運送を禁止する規定が設けられます。これにより、過度な価格競争の抑制と、ドライバーの適切な処遇の確保が期待されます。
4. 無許可事業者(白トラ)への運送委託の禁止強化
無許可で営業する「白トラ」業者への運送委託を禁止し、違反した荷主に対しては是正指導や勧告、公表などの措置が講じられます。これにより、違法な運送業務の排除と、業界の健全化が図られます。
施行時期と今後の対応
改正法の施行は、公布日から3年以内に政令で定める日とされています。事業者の皆様は、以下の点に留意し、早期の対応を進めることが重要です。
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法令遵守体制の強化:内部監査や教育体制の整備を行い、法令遵守を徹底しましょう。
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財務基盤の安定化:収支計画の見直しや資金調達の検討を行い、経営の健全性を確保しましょう。
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労働環境の改善:労働時間管理や安全対策の強化を行い、ドライバーの処遇改善を図りましょう。
また、行政書士などの専門家に相談し、制度変更への対応を早期に進めることが推奨されます。
お問い合わせ
当事務所では、改正法への対応に関するご相談を承っております。許可更新手続きや法令遵守体制の整備など、お気軽にお問い合わせください。
この改正により、トラック運送業界は大きな転換期を迎えます。事業者の皆様は、制度の趣旨を理解し、適切な対応を行うことで、持続可能な経営を目指すことが求められます。