【合同会社設立のメリット・デメリット】
合同会社は平成17年制定の会社法によって導入された、比較的新しい企業形態です。合同会社のメリットは、何といっても設立・維持の手軽さにあります。
第1に設立の手軽さが挙げられます。設立時に国に払う登録免許税の額が6万円(または資本金の0.7%)で済みます。さらに、合同会社の定款を公証人に認証してもらう必要はなく、いきなり登記申請することが可能です。この点、株式会社設立の登録免許税が15万円、株式会社の定款の認証手数料が3~5万円であることを考えると、合同会社の設立費用の安さがわかると思います。
第2に維持の手軽さです。株式会社と違って、毎年の決算について官報で公告を行う必要がないので公告掲載費(74,331円~)が不要です。また、役員(株式会社での取締役等)の任期がないため、役員の任期が終わるたびにいちいち登録免許税1万円(または3万円)を払って重任登記を申請する必要もありません。
第3に経営の自由さが挙げられます。合同会社のオーナーは株主ではなく経営している社員自身です。株式会社では株主の意向に経営が左右されることが多々ありますが、合同会社では自分たちがやりたいように経営をして行けるのです。社員同士で機敏に意思決定をすることもできるし、定款で定めることで利益配分も社員自身の自由に決めることができます。
良いこと尽くしに見える合同会社ですが、デメリットも存在します。
まず、合同会社の資本金は社員の出資によるので、株式会社と異なり株式が存在しません(当然ですが…)。すなわち、資金を調達する場合に株式発行をすることができないというのが第1のデメリットです。株式がないのでもちろん上場することもできません。事業を拡大して会社の規模も拡大していこうと計画する場合は、合同会社は向いていないということになります。もっとも、資金調達に融資を用いることは可能です。また、社債や少人数私募債を募集することも可能です。
次に、合同会社という形態の認知度・信用度の低さが挙げられます。すなわち、『株式会社』の『代表取締役』に比べると、『合同会社』の『代表社員』はどうしても信用度が低く見られがちです。例えば、名刺の肩書に掲載して新たな顧客と取引を開始しようとする場合、求人広告を掲載して新たな人材を募る場合、合同会社を選択したことが響いてくるかもしれません。もっとも、株式会社だの合同会社だの、会社形態にこだわる顧客・人材の少ないような新しい業界であれば関係ないようにも思えます。
また、メリットとして経営の自由さを紹介しましたが、合同会社の意思決定は頭割りの多数決で行います。株主会社では基本的に多く出資するほど発言力が大きくなります。一方合同会社では、仮に出資金のほぼ全額を出している社員1名がいたとしても、他の2名の社員が反対すればどれだけ出資していようが負けてしまうのです。このことから、社員どうしのトラブルが起きてしまう危険性もデメリットとして挙げられます。もちろん、頭割りでの多数決は迅速な経営判断のためには重要といえますし、1人や2人で経営する場合には問題ないといえるでしょう。
以上、合同会社設立のメリット・デメリットを紹介しました。会社の規模を大きくする予定がない方、会社設立直後から経営が軌道に乗るまでの間でも資金の調達をこまめにする必要がない方、株式会社というブランドが必要ない業界でやっていく方、個人経営でやっていく方、…等には合同会社の設立が向いているといえるでしょう。合同会社設立は行政書士法人塩永事務所にお任せください。