【離婚協議書作成のポイント】
離婚協議書とは、離婚に際して慰謝料、財産分与、子供の親権・養育費などについての夫婦間での取り決めをまとめた重要な書面です。
早く面倒な離婚手続きから解放されたい、離婚のゴタゴタから目を背けたい…そういった一心から口約束だけで慰謝料や養育費の支払いを決めてしまって、実際離婚した後に約束が守られなかったというケースがよく見受けられます。婚姻中ですら夫婦の反りが合わなかったのに、婚姻を解消した後に口約束だけを頼りに養育費等の支払いを請求するのは、いささかリスクが高いように思われます。
したがって、離婚時の取り決めを離婚協議書として残しておくことは非常に大きな意味があるといえますし、離婚協議書の力をより一層強めるために公正証書として作成しておけば、協議書の約束を守らせるうえで非常に頼りになるでしょう。
以下、離婚協議書作成のポイントについて簡単にお知らせします。
1 親権
市区町村役所の窓口は、夫婦の間にある未成年の子すべてについて親権者が指定されていれば、基本的に離婚届を受理します。したがって、父母のいずれを親権者・監護権者にするか、すべての前提として重要です。
2 養育費
養育費は毎月の定期支払いが基本です。物価が上がって養育費が不相応になった場合の事項や、子供が突然の事故や病気に遭った場合の支出についての事項も盛り込む必要があります。また、養育費を子供が20歳になるまで払うのか、大学等を卒業するまで払うのか等の期限を決めておくのも重要です。
3 面会交流
子供と離れて暮らす一方の親が、もう片方の親に対して定期的に子供と会って交流することを求める条項です。何より大事なのは心身面での子供の福祉ですので、それを念頭に置いて月に何回会って、年に1回は外泊して、普段子供電話していいか…等を決めていきます。
4 慰謝料
相手から受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。円満離婚の場合は慰謝料を請求しない場合も多いでしょう。また、慰謝料請求の相手方に不倫相手がいる場合は、これら二人は連帯して慰謝料を支払うことになります。
5 財産分与
婚姻中に夫婦が協力して築き上げた財産は、離婚時に財産分与として分割・清算されます。この場合の分割方法は夫婦間で自由に決められます。慰謝料が発生している場合は財産分与に含めて多めに分与額を定めることもできます。また、住居ローンが残っている場合等は、ローンの残額をどちらが支払うかを決めておくのも重要です。
6 清算条項
離婚協議書をもって、離婚に関する話し合いはお互いにすべて解決済みとする条項です。後から五月雨式に「やっぱり慰謝料が…」「あの財産の分与は…」という事態にならないためにも、必ず入れておくべき条項といえます。
7 公正証書
裁判所で裁判手続を経ることなく、公証役場・裁判所で一定の手続をするだけで、養育費等の不支払いについて相手方の財産にいきなり強制執行をかけられるのが公正証書での離婚協議書です。実際に強制執行をかけなくても、「突然強制執行が来るのでは…」という心理的プレッシャーは不支払いに対して大きな抑止力となります。公正証書での離婚協議書の作成をお勧めします。
離婚協議書は手書きで書いたものでも、本人同士が定めたものでも有効ですが、特に未成年の子がいる場合など養育費の支払いが長く続くことを考えた場合、専門家に作成を依頼したほうが将来にわたって安心です。離婚協議書の相談や作成支援は行政書士法人塩永事務所にお任せください。