
資格外活動許可のすべて:法的根拠から申請手続きまで徹底解説
行政書士法人塩永事務所
日本において外国人が就労や生活を行う上で、適切な在留資格の取得は不可欠です。しかし、現在の在留資格で認められている活動範囲を超えて、収入を伴う活動やその他の活動を行いたい場合には、原則として資格外活動許可が必要となります。
本記事では、資格外活動許可の概要、その法的根拠、具体的な申請手続き、申請上の注意点、そして実務上のポイントについて、行政書士法人塩永事務所が専門的な視点から詳細に解説します。
1. 資格外活動許可とは?
資格外活動許可とは、現在保有している在留資格で認められている活動以外の活動を、一定の範囲内で特別に許可する制度です。
例えば、「留学」の在留資格を持つ留学生がアルバイトを行う場合や、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が、現在の主な業務以外の職種で副業を行いたい場合などに必要となります。
この許可は出入国在留管理庁(以下、入管庁)によって付与されます。許可を得ずに資格外活動を行った場合、不法就労とみなされ、在留資格の取消しや退去強制の対象となる可能性があります(出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)第19条、第70条)。
法的根拠
資格外活動許可の法的根拠は、入管法第19条第2項に明確に規定されています。この条文では、在留資格を保有する外国人が、本来の在留資格の活動範囲外で収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行おうとする場合、事前に法務大臣の許可を受けなければならないと定めています。また、資格外活動許可の具体的な運用については、入管法施行規則や入管庁の告示に基づいて詳細が定められています。
2. 資格外活動許可が必要なケース
資格外活動許可が必要となる主なケースは以下の通りです。
- 留学生のアルバイト: 「留学」の在留資格を持つ外国人が、原則として週28時間以内のアルバイトを行う場合(在籍する教育機関の長期休暇中は週40時間まで認められます)。
- 家族滞在の就労: 「家族滞在」の在留資格を持つ方が、パートタイムやフルタイムでの就労を希望する場合。
- 就労系在留資格での副業: 「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格を持つ方が、現在の主な職務以外の副業やフリーランス活動を行いたい場合。
- その他の報酬を伴う活動: 現在の在留資格で認められていない講演活動や、報酬を伴うイベント参加など。
ただし、「永住者」や「日本人の配偶者等」、「定住者」などの身分・地位に基づく在留資格を持つ外国人には活動の制限がないため、資格外活動許可は不要です(入管法別表第二)。
3. 資格外活動許可の種類
資格外活動許可には、大きく分けて以下の2種類があります。
包括的許可
特定の活動内容や時間制限を定めて許可するものです。主に留学生のアルバイト(週28時間以内)や、家族滞在者のパートタイム就労などに適用されます。許可書には、許可された活動の範囲や労働時間の上限が明記されます。
個別的許可
特定の職務内容や雇用主を指定して許可するものです。例えば、就労系在留資格を持つ方が、現在の所属機関とは別の機関で特定の副業を行う場合に適用されます。この場合、申請時に具体的な活動内容や契約書類などを提出する必要があります。
4. 申請手続きの流れ
資格外活動許可の申請は、申請者の居住地を管轄する地方出入国在留管理局で行います。一般的な申請手続きの流れは以下の通りです。
(1) 必要書類の準備
以下の書類を準備します。
- 資格外活動許可申請書(入管庁ウェブサイトからダウンロード可能です)
- パスポートおよび在留カードの写し(原本提示が必要な場合もあります)
- 活動内容を証明する書類:
- 留学生の場合: 在籍証明書、アルバイト先の雇用契約書または労働条件通知書
- 就労系在留資格の場合: 副業の契約書、業務内容を説明する書類など
- 家族滞在の場合: 雇用主からの採用内定通知書、労働条件を証明する書類など
- 理由書(必要に応じて):なぜ資格外活動が必要なのかを具体的に説明します。
- その他: 申請者の状況に応じて追加書類(例:源泉徴収票、納税証明書など)が求められる場合があります。
(2) 申請の提出
申請は、原則として申請者本人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局に直接提出するか、行政書士などの代理人を通じて提出します。郵送での申請は原則として認められていません。
(3) 審査期間
審査期間は通常2週間から1か月程度ですが、書類に不備がある場合や、より詳細な審査が必要な場合は、さらに時間を要することがあります。
(4) 許可通知と許可書の交付
許可が下りると、申請者に資格外活動許可書が交付され、在留カードに許可内容が記載されます。許可書には、活動の範囲や時間制限が明確に記載されており、これを厳守する必要があります。
5. 申請時の注意点
資格外活動許可の申請には、以下の点に特に留意が必要です。
- 活動内容の明確化: 申請書には、具体的な職務内容、雇用主、労働時間などを詳細かつ明確に記載する必要があります。記載が曖昧であると、不許可となる原因となり得ます。
- 本来の在留活動への影響: 申請する資格外活動が、現在の在留資格で認められている本来の活動(例:留学における学業、就労系在留資格における主たる業務)に悪影響を及ぼすと判断された場合、不許可となる可能性があります。
- 時間制限の厳守: 特に留学生の場合、原則として週28時間(長期休暇中は週40時間)の労働時間制限を厳守しなければなりません。この制限を超過して活動を行った場合、在留資格の更新や変更が認められなくなるなど、将来の在留に重大なリスクが生じます。
- 更新の必要性: 資格外活動許可は、現在保有する在留資格の有効期間に連動しています。在留資格を更新する際には、資格外活動許可も同時に更新申請が必要です。
6. 不許可となるケースとその対策
資格外活動許可が不許可となる主な理由は以下の通りです。
- 書類の不備: 必要書類が不足している、または記載内容が不十分である場合。
- 本来の活動への悪影響: 例えば、留学生が学業を疎かにする可能性が高いと判断された場合。
- 活動の違法性・不適切性の懸念: 申請された活動内容が風俗営業やその他の違法行為に関連すると疑われる場合。
- 過去の入管法違反歴: 申請者に過去の不法就労やオーバーステイなどの入管法違反の履歴がある場合。
万が一不許可となった場合は、その理由を詳細に確認し、不足書類の補充や、理由書によって状況を補足説明することで再申請が可能です。この際、行政書士に相談することで、適切な書類作成や効果的な対応策を講じることができます。
7. 行政書士法人塩永事務所のサポート
行政書士法人塩永事務所では、資格外活動許可の申請手続きを専門的にサポートしております。以下のようなサービスを提供し、お客様の円滑な申請を支援いたします。
- 書類作成の代行: 申請書、理由書、活動内容を証明する書類など、多岐にわたる必要書類の作成を丁寧に行います。
- 事前相談: 申請の可能性、必要書類、注意点など、お客様個別の状況に応じた具体的なアドバイスを提供します。
- 不許可時の対応: 不許可理由を詳細に分析し、再申請に向けた戦略立案とサポートを行います。
- 在留資格全体のサポート: 資格外活動許可だけでなく、在留資格の変更や更新など、関連する他の入管手続きについても一括で対応可能です。
当事務所には、入管法に精通した行政書士が在籍しており、迅速かつ正確な申請手続きを心がけております。留学生、就労系在留資格保持者、家族滞在の在留資格を持つ方など、様々なケースに対応いたしますのでご安心ください。
8. まとめ
資格外活動許可は、外国人が日本でより柔軟に活動するための重要な制度ですが、適切な手続きと法令遵守が不可欠です。許可を得ずに資格外活動を行った場合、在留資格の喪失や、将来の日本での在留に重大な影響を及ぼす可能性があります。
行政書士法人塩永事務所は、資格外活動許可の申請をスムーズに進めるための信頼できるパートナーとして、皆様を全力でサポートいたします。ご不明な点や申請に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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