
【専門解説】酒類販売業の許可とは
〜小売・卸売・通信販売まで徹底解説〜
行政書士法人塩永事務所(熊本県内最大規模)
はじめに|酒類販売業の許可が必要な理由とは?
酒類(アルコール度数1%以上の飲料)を販売するためには、たとえ個人経営の店舗やネットショップであっても、**酒税法に基づく「酒類販売業免許」**が必要です。無許可での販売は、**酒税法違反(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)**に該当する重大な法令違反です。
とはいえ、酒類販売業免許の取得は簡単ではありません。要件の厳しさ、手続きの煩雑さ、許可の種類の多さなど、初めて申請される方にとってはハードルが高いのが実情です。
本記事では、酒類販売業免許の種類や要件、手続きの流れ、必要書類、許可取得後の義務などを、行政書士法人塩永事務所の専門的知見をもとに詳しく解説します。
1. 酒類販売業の「免許区分」とその違い
酒類販売業免許にはいくつかの区分があり、販売先(一般消費者・業者)や販売方法(店舗・通信販売)によって免許の種類が異なります。
1-1. 一般酒類小売業免許
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対象:店舗で一般消費者に対して酒類を販売する場合
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例:酒屋、スーパーマーケット、コンビニなど
1-2. 通信販売酒類小売業免許
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対象:インターネット・電話・FAX・郵送などによる非対面販売
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注意:販売できる酒類の種類や販売対象者が限定されており、制限が多い
1-3. 酒類卸売業免許(3種類)
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全酒類卸売業免許
→ 全種類の酒類を小売業者や製造業者に販売できる -
ビール卸売業免許
→ ビールのみを対象とする業者向けの免許 -
輸出入酒類卸売業免許
→ 輸出・輸入された酒類の取扱いに限定される免許
1-4. 酒類製造業免許(参考)
酒類を製造する場合には、別途「酒類製造業免許」が必要で、これは販売免許よりさらに取得要件が厳しいです。
2. 免許取得に必要な「人的・物的・経営的要件」
酒類販売業免許は、要件を満たしていないと絶対に取得できません。以下の3つの観点が重要です。
2-1. 人的要件(欠格事由)
以下に該当する場合、免許は原則として認められません。
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過去2年以内に酒税法等に違反した者
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暴力団関係者
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成年被後見人、被保佐人など
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税務署に対して虚偽申告や滞納がある場合
また、申請者本人だけでなく、法人の場合は役員全員が審査対象になります。
2-2. 物的要件(販売所の実体)
申請時点で、酒類を販売するための事務所・倉庫・施設が整っている必要があります。
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賃貸の場合、契約書に「酒類販売用途」が含まれていること
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通信販売の場合、受注・発送・顧客対応体制の詳細な説明
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看板・陳列棚・在庫管理体制の整備
2-3. 経営的要件(安定性)
安定した継続的な営業が見込まれることが求められます。
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過去の経営実績または将来性のある事業計画
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財務内容の健全性(自己資本・借入状況)
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税務申告状況の明瞭さ
3. 申請から免許取得までの流れ
【STEP1】事前相談(必須)
税務署(酒類指導官)への事前相談は必須です。ヒアリング内容に基づき、申請内容を精査・調整します。
【STEP2】必要書類の準備
代表的な提出書類は以下の通りです:
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申請書一式(所定様式)
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事業の概要書
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酒類販売業に関する経歴書
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履歴事項全部証明書(法人の場合)
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賃貸借契約書(店舗)
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所得税や法人税の納税証明書
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申請者の身分証明書
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酒類取扱設備の配置図・写真
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売上・仕入見込み表、資金計画表など
※管轄税務署の指導により書類の種類・量が変動することがあります。
【STEP3】申請書の提出
申請書類を提出後、税務署による実地調査(販売所確認)やヒアリングが行われることがあります。
【STEP4】審査・許可
標準処理期間は概ね2ヶ月〜3ヶ月程度。審査が通れば、免許通知書が発行され、正式に酒類販売が可能となります。
4. 許可取得後に注意すべき「義務と制限」
4-1. 酒類販売管理者の選任・研修
すべての酒類販売業者は、「酒類販売管理者」を選任し、指定の研修を受講させる必要があります。更新は3年に1回。
4-2. 酒類販売報告書の提出
毎年、販売数量や仕入れの状況をまとめた報告書を提出しなければなりません。
4-3. 名義貸しの禁止
他人に免許を「貸して」酒類販売をさせる行為は禁止されており、違反すると免許取消・罰則の対象となります。
4-4. 許可の範囲を逸脱しない
例えば、通信販売免許で取得したのに、店舗販売を行うと違反になります。免許の種別ごとに厳密な運用が求められます。
5. よくある申請上のトラブル・相談事例
ケース1:個人事業から法人化したが、免許は個人名義のまま
→ 法人が酒類を販売するには、法人名義での再申請が必要です。
ケース2:ネットショップを開きたいが、実店舗はない
→ 通信販売免許の取得は可能ですが、販売管理体制・業務フローなどの詳細説明が必要です。
ケース3:業務委託で商品を発送してもらうが倉庫は自社でない
→ 倉庫の使用権限証明(賃貸契約や委託契約)を準備すれば問題ありませんが、名義貸しとみなされないよう注意が必要です。
6. 行政書士法人塩永事務所のサポート内容
酒類販売業免許は、要件が厳しく、審査も細かいため、初めて申請される方にとっては非常にハードルの高い手続きです。
私たち行政書士法人塩永事務所では、以下のようなサポートを提供しています。
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事前相談への同席・戦略的助言
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書類一式の作成・添削・収集代行
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設備図面や事業計画書の作成支援
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免許取得後の継続的サポート(研修案内・報告書提出など)
特に熊本県内での許認可手続きに関しては、地元税務署との連携実績も豊富で、地域に即したノウハウを蓄積しています。
まとめ|酒類販売は「許可」が命綱。早めの準備と専門家支援が鍵
酒類販売業は、許可を取得するだけでなく、取得後も適切な管理体制・報告義務・ルール順守が必要不可欠です。「うっかり」で免許が取り消されてしまうこともあります。
「最初の一歩から最後のフォローまで」
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