■緑ナンバー(営業ナンバー)取得について
今回は緑ナンバーの取得に必要な条件と、おおまかな流れについて説明したいと思います。
- 緑ナンバーの取得条件
緑ナンバーには、大きく8つの取得条件があります。
①車両台数
②立地
③車庫
④資金力
⑤経営者
⑥運行管理者
⑦整備管理者
⑧運転者
それでは、ひとつずつ見てみましょう。
①車両台数
1事業所に5台以上の車両を所持していることが条件となります。この5台に軽自動車は含めることはできませんが、4ナンバーのバンなどは含めることができます。
また、許可後に車両が故障などして5台以下となった場合は、すぐに運輸支局へ報告しなければなりません。一定期間以内に5台以上に戻すことができるようなら緑ナンバーをはく奪されることはありません。
②立地
事業所が適切な営業立地であることが条件となります。適切とは、建築基準法・都市計画法・農地法等関係法令・消防法に準じていること、ある程度の規模(広さ)が求められます。
このある程度に的確な基準はありませんが、10㎡以上を目安としていれば問題ないでしょう。
③車庫
トラックを格納し、毎日点検を実施するための車庫が必要です。車庫の要件には以下の4つがあります。
【車庫の要件】
・農地でないこと
・全面道路の幅員が十分広いこと
・営業所から書く運輸局ルールの範囲内の距離にあること
・トラックの前後左右に50cmの余裕をもつこと
④資金力
事業資金が潤沢であること、自己資金額が事業開始に必要な金額以上あることが必要です。具体的に事業開始に必要な資金は以下のとおりです。
【事業開始に必要な資金】
・従業員の給与や車両の燃料費、修繕費の2か月分
・半年分(6か月)の車両費、賃料
・1年分の税金、保険料
これらの資金以上に銀行口座の残高があることが求められています。おおよその目安で1500万円~2000万円ほどになります。(規模によって変動はあります)
⑤経営者
経営者は以下の条件に非該当であることが条件となります。
【経営者「非」該当要件】
・1年以上の懲役または禁錮を受けてから5年以上経過していない
・緑ナンバーの許可の取り消しを受けてから5年経過していない
・未成年または成年被後見人の場合、代理人が前2項目に該当しない
⑥運行管理者
運行管理者は輸送の安全を確保するために、毎日始業前に運転手対して対面での点呼、運行可否の判断、運転手への教育を行う責任者です。
毎日何台ものトラックを稼働させるわけですから、毎日従業員の健康状態を確認し、定期的に運転手の指導教育をする必要があります。
【運行管理者要件】
1営業所に必要な運行管理者の人数は、車両の台数が一定数増えるごとに増えます。
・車両台数 1~29台:最低1名
・車両台数30~59台:最低2名
・車両台数60~89台:最低3名
以降は、車両台数が30台増えるごとに運行管理者を1名追加する必要があります。
⑦整備管理者
整備管理者は、道路運送車両法でトラックの日常点検や3か月点検の管理、車庫の管理の責任者です。
日常の点検を運転手に実施させて、その結果から運行可否を判断します。
【整備管理者に選任できる条件】
・2年の整備実務経験があり整備管理者選任前研修を受けている
or
・国家資格の整備士をもっている
⑧運転者(常時選任運転者)
実際にトラックを運転する大切な人ですが、単に運転免許を持っていれば良いというわけではありません。以下の雇用形態の人は運転者になることができません。
【運転者「非」該当条件】
・日雇いの人
・2か月以内の期間契約社員
・試用期間中の人(14日を超えた人は大丈夫です)
また、個人事業主を外注として使用することはできませんし、免許がない人に運転させることはダメです(普通免許しか持っていないのに、中型・大型のトラックを運転することがないように免許区分を確認する必要があります)。
そのほかにも、トラックの台数+1人を雇わなければいけません。(運転者5名+運行管理者1名)
- 緑ナンバー取得の流れ
申請以降の流れを見てみましょう。
①許可要件の確認
→上記8つの条件を満たしているか
②一般貨物自動車運送事業許可申請書の作成
→賃貸借契約書、見積書、残高証明書、幅員証明書、図面など…
③営業所を管轄する運輸支局へ申請書類の提出
→申請書と添付書類
④審査
→おおよそ5か月ほどかかります
⑤役員法令試験の受験および合格
→登記されている常勤役員の1人が合格する必要があります
⑥許可取得
→交付式にて許可証が交付されます
⑦登録免許税の納付
→国土交通省に12万円を納付します
⑧社会保険・労働保険の加入と36協定の締結
⑨運行管理者と整備管理者の選任届を提出
→選任届を運輸支局に提出します
⑩運輸開始前届の提出
→以下を運輸開始前届に添付して提出します
・運輸支局受付印のある運行管理者と正義管理者の選任届の写し
・従業員や役員が健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険に加入したことを証明する書類の写し
・労働基準監督署の受付印のある36協定書の写し
⑪事業用自動車等連絡書の取得
→運輸開始前届けを提出すると、運輸支局から「事業用自動車等連絡書」が発行されます。これは、自家用車でいう車庫証明のようなものです。
⑫緑ナンバーの取得
→事業用のトラックを緑ナンバーに変更し、新しい車検証を取得します。
⑬運輸開始届けの提出
→新しい車検証の写しと営業用ナンバー対応の自動車任意保険の保険証券の写しを添付し提出します。
⑭運輸開始
行政書士塩永健太郎事務所では、緑ナンバー取得のサポートをいたします。まずは、お気軽にご相談ください。