
2025年の熊本県建設業界の最新動向と建設業許可申請のポイント・流れ
熊本県建設業界の最新動向
TSMC熊本工場の影響
2024年末に稼働を開始した台湾の半導体大手TSMCの熊本工場(菊陽町)は、地域経済に大きな影響を与えています。工場本体工事に加え、関連インフラ(道路、電力網、水道施設)、従業員向け住宅、商業施設、物流拠点の建設需要が急増しています。2025年第1四半期のTSMC関連工事の入札件数は前年比約35%増となり、特に土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業の受注が顕著です。
また、TSMCの第2工場建設計画も2025年に具体化し、総投資額は数兆円規模に達する見込みです。これにより、2026年以降も建設需要の持続的拡大が予想されます。さらに、ソニーやデンソーなど関連企業の進出に伴うサプライチェーン強化も、建設業界に新たなビジネスチャンスをもたらしています。
熊本地震復興事業の進展
2016年の熊本地震から約9年が経過した2025年も、復興事業は建設業界の基盤を支えています。公共施設の再建(学校、病院、庁舎等)、道路・橋梁の補修、耐震化工事は依然として需要が高く、民間施設のリニューアルも増加傾向にあります。熊本県の「復興まちづくりビジョン」に基づく都市再開発事業では、熊本市中心部の再整備や地域コミュニティの再生が進行しています。2025年度の県内公共工事発注額は、前年度比約10%増の約2,000億円に達する見通しです。
インフラ投資と地域経済の活性化
熊本県は、九州新幹線や阿蘇くまもと空港の拡張、都市間高速道路網の整備など、インフラ投資を積極的に推進しています。2025年には、熊本都市圏の交通網強化を目的とした「熊本環状道路」の一部区間開通や、阿蘇地域の観光インフラ整備が加速しています。これらのプロジェクトは、地元建設業者にとって安定した受注機会を提供しています。また、県内中小企業の事業拡大を支援する「熊本県中小企業振興条例」に基づく発注優先枠も、建設業者の参入を後押ししています。
建設業許可申請のポイントと流れ
建設業許可の必要性
建設業法では、以下の工事を請け負う場合、建設業許可が必要とされています。
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建築一式工事で、請負代金の額が1,500万円以上、または延べ面積が150平方メートル以上の木造住宅の工事
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建築一式工事以外の工事で、1件の請負代金の額が500万円以上の工事
許可を取得せずにこれらの工事を請け負った場合、建設業法違反として最大で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性があります。
許可取得の要件
建設業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
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経営業務の管理責任者がいること:建設業に関する経営経験を有する者が必要です。
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専任技術者がいること:各営業所ごとに、一定の資格や実務経験を有する技術者が必要です。
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財産的基礎または金銭的信用があること:一般建設業の場合、500万円以上の自己資本または500万円の資金調達能力が求められます。
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誠実性があること:過去に不正行為を行っていないことが求められます。
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欠格要件に該当しないこと:破産者で復権を得ていない者などは該当します。
許可申請の流れ
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申請先の確認:営業所の所在地により、申請先が異なります。大臣許可は国土交通省の各地方整備局へ、知事許可は各都道府県庁へ申請します。
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必要書類の準備:登記事項証明書、納税証明書、財務諸表、技術者の資格証明書などを準備します。
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申請書類の作成:許可申請書と添付書類を作成します。
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申請書類の提出:申請先に書類を提出します。事前予約や郵送申請の可否は申請先により異なります。
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審査と許可の取得:標準処理期間は都道府県により異なりますが、熊本県では約30日とされています。書類に不備があると審査が止まるため、注意が必要です。
まとめ
熊本県の建設業界は、TSMC熊本工場の影響や熊本地震からの復興事業、インフラ投資の推進により、今後も活況が続くと予想されます。これらの工事を受注するためには、建設業許可の取得が不可欠です。行政書士法人塩永事務所では、建設業許可申請のサポートを行っております。お気軽にご相談ください