
一般貨物自動車運送事業の許可申請手続き:2025年最新ガイド
行政書士法人塩永事務所
1. 一般貨物自動車運送事業の概要
一般貨物自動車運送事業とは、緑ナンバーの貨物自動車(トラック、冷蔵車、バンなど)を使用して、荷主からの依頼に基づき貨物を有償で運送し、運賃を受け取る事業です。物流業界の基盤を支える重要な業種であり、運送会社、引越し業者、宅配事業者などがこれに該当します。
この事業は、貨物自動車運送事業法に基づき、国土交通省の地方運輸局長の許可が必要です。許可取得には厳格な要件が課され、申請手続きは専門知識を要します。一方、軽自動車を使用する「貨物軽自動車運送事業」(黒ナンバー)とは異なり、事業規模が大きく、車両台数や資金面でのハードルが高いのが特徴です。
本記事では、2025年4月に施行された改正貨物自動車運送事業法を反映し、許可申請の全プロセスを詳細に解説します。行政書士法人塩永事務所の豊富な実務経験を基に、事業者様がスムーズに許可を取得できるよう、実践的な情報を提供します。
2. 許可申請の全体像と流れ
一般貨物自動車運送事業の許可を取得するには、営業所を管轄する地方運輸局(例:関東運輸局、近畿運輸局など)に申請書を提出し、審査を経て許可を受ける必要があります。以下は、申請から許可取得までの流れです。
2.1 事前準備
許可申請に先立ち、以下の準備が必要です:
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事業計画の策定:営業所、車庫、車両台数、運行管理体制、資金計画を具体化。
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物件の確保:営業所や車庫の立地条件を法令に基づき確認(都市計画法、建築基準法の適合性)。
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必要書類の収集:財務証明書、役員の履歴書、車両の登録書類、資格証明書など。
2.2 申請書類の提出
申請書類は、運輸局指定の様式に基づき作成します。主な書類は以下の通りです:
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一般貨物自動車運送事業経営許可申請書(様式1)
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事業計画書(営業所・車庫の配置図、運行計画、収支見込みなど)
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資金計画書(自己資金証明書、借入金契約書など)
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役員名簿および履歴書(法令遵守の証明)
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運行管理者・整備管理者の資格証明書(資格者証の写し)
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車両の登録証明書(車検証の写し)
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法令試験受験申込書(申請者または常勤役員が受験)
2.3 法令試験の受験
申請受理後、申請者(法人では常勤役員)が法令試験を受験します。この試験は、貨物自動車運送事業法、道路運送法、労働基準法、道路交通法などの知識を問うもので、合格率は約30~40%と低めです。事前学習や専門家の指導が不可欠です。
2.4 審査プロセス
申請書類提出後、運輸局による審査が行われます。審査期間は通常3~6か月で、以下を重点的にチェックされます:
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書類の完全性と正確性
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事業計画の実現可能性
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資金計画の妥当性
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法令遵守体制
不備がある場合、補正指示や追加資料の提出が求められます。
2.5 許可取得と運輸開始
許可が下りた後、以下の手続きが必要です:
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運輸開始届の提出
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運行管理者・整備管理者の選任届出
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事業用車両の登録(緑ナンバー取得)
許可取得後1年以内に事業を開始しない場合、許可が失効します。
3. 許可取得の5つの要件
許可を取得するには、以下の5つの要件を満たす必要があります。2025年時点の最新基準を基に解説します。
3.1 人的要件
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運行管理者:車両台数に応じた人数の運行管理者を配置(例:30台未満で1名)。運行管理者資格者証の保有が必須。
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整備管理者:自動車整備士資格(2級以上推奨)または実務経験(2年以上)を有する者を配置。
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役員の適格性:役員に破産者、犯罪歴(禁錮以上の刑を受けた者)、運送事業の許可取消歴(5年以内)がないこと。
3.2 施設要件
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営業所:事業運営の拠点として、事務所機能を持つ施設を確保。都市計画法(用途地域)、建築基準法に適合している必要があります。
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車庫:車両の保管場所として、営業所に隣接または近接(原則2km以内)。車庫の面積は車両の収容能力を満たし、前面道路の幅員(6m以上推奨)もチェックされます。
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休憩・睡眠施設:長距離運行の場合、ドライバーの休憩・睡眠施設を確保(営業所または外部契約)。
3.3 車両要件
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最低車両台数:5台以上の事業用車両(緑ナンバー)を保有または確保。軽自動車(350kg以下)は対象外。
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車両の種類:貨物運送に適したトラック、冷蔵車、バンなど。車検証に「貨物」用途が記載されていること。
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使用権限:車両の所有権またはリース契約を証明。
3.4 資金要件
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自己資金:事業開始に必要な資金を自己資金で賄えること。2025年時点の目安は約2,000万円~3,000万円(車両台数や事業規模による)。以下の費用が含まれます:
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車両購入費またはリース料
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営業所・車庫の賃料(3か月分以上)
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人件費(運行管理者、ドライバーなど)
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燃料費、保険料、諸経費
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財務証明:直近の預金残高証明書、融資契約書、決算書で資金の健全性を証明。
3.5 法令遵守要件
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法令試験の合格:申請者または常勤役員が法令試験に合格。
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コンプライアンス体制:労働基準法、道路交通法、貨物自動車運送事業法の遵守。適切な運賃設定や労働環境の整備も求められます。
4. 2025年4月改正貨物自動車運送事業法のポイント
2025年4月に施行された改正貨物自動車運送事業法は、物流業界の持続可能性、労働環境の改善、公正な取引環境の確立を目的としており、許可申請にも影響を与えています。主な変更点は以下の通りです。
4.1 書面交付義務の強化
荷主との契約において、運賃、燃料サーチャージ、待機時間料、労働条件などを明記した書面の交付が義務化されました。許可申請の事業計画書には、以下の内容を反映する必要があります:
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運賃設定の根拠(標準運賃の参照)
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契約書ひな形の作成
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荷主との交渉記録の管理体制
4.2 軽貨物事業との連携規制
軽貨物事業者(黒ナンバー)に対する監視が強化され、一般貨物事業者が軽貨物事業者を下請けとして活用する場合、適正な契約管理が求められます。事業計画に軽貨物を組み込む場合、以下の点に留意:
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軽貨物事業者の法令遵守状況の確認
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下請け契約の書面化
4.3 労働環境の改善
ドライバーの長時間労働抑制や休憩時間の確保が厳格化されました。許可申請では、以下の項目を事業計画に盛り込む必要があります:
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労働基準法に基づく運行スケジュール(1日8時間、週40時間以内を原則)
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休憩・睡眠施設の確保計画
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点呼記録や運転日報の管理体制
4.4 環境対応の強化
CO2排出削減に向け、エコドライブの推進や低排出ガス車両の導入が推奨されています。事業計画に環境対策(例:電気トラックの導入計画)を記載すると、審査で好印象を与える可能性があります。
行政書士法人塩永事務所では、改正法に対応した事業計画の策定や書類作成をサポートし、最新の法令を踏まえた申請を確実に進めます。
5. 申請書類作成の実務ポイント
許可申請の成功は、正確で説得力のある書類作成にかかっています。以下は、実務上の重要ポイントです。
5.1 事業計画書の具体性
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運行計画:車両ごとの運行ルート、荷物の種類(一般貨物、冷蔵品、危険物など)、運行頻度を詳細に記載。現実的なスケジュールを設定。
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収支計画:初年度および3年間の売上・費用予測を具体的に算出。運賃単価や荷主との契約見込みを根拠として示す。
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施設図面:営業所・車庫の平面図、立面図、周辺地図を正確に作成。寸法や駐車スペース、進入路の幅員を明記。
5.2 資金計画書の透明性
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資金の出所:預金残高証明書(申請前3か月以内のもの)、融資契約書、自己資金の内訳を明確化。
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費用の内訳:車両購入費、賃料(3か月分以上)、人件費、保険料などの詳細な見積もりを提示。過少申告は不許可の原因となるため注意。
5.3 法令試験対策
法令試験は、択一式・記述式で構成され、以下のような内容が出題されます:
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貨物自動車運送事業法(運賃設定、事業報告義務)
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道路運送法(車両の安全基準)
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労働基準法(労働時間、休憩)
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道路交通法(速度制限、積載基準)
合格には過去問の反復学習と実務知識の理解が必須です。当事務所では、専用テキストと模擬試験による対策講座を提供し、合格率の向上を支援します。
5.4 書類の整合性
申請書類全体の整合性が審査で重視されます。例:
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事業計画と資金計画の金額が一致しているか
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車両台数と運行管理者の人数が適切か
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営業所・車庫の所在地が法令に適合しているか
6. 許可取得後の手続きと継続義務
許可取得後も、事業運営には継続的な法令遵守と手続きが必要です。以下は主なポイントです。
6.1 運輸開始届と管理者の選任
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運輸開始届:許可取得後、速やかに提出。事業開始日や車両の詳細を報告。
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管理者選任:運行管理者・整備管理者の選任届出を提出。選任者の変更があった場合も速やかに届出。
6.2 事業報告書の提出
毎年、事業報告書(前年度の売上高、車両台数、事故件数など)を運輸局に提出。提出期限は事業年度終了後100日以内。
6.3 変更届出
以下の変更が生じた場合、変更届を提出:
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営業所、車庫の移転
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車両の増減
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役員、運行管理者、整備管理者の変更
6.4 巡回指導への対応
運輸局による巡回指導(監査)が定期的に実施されます。以下の項目がチェックされるため、記録管理を徹底:
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点呼記録、運転日報
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車両の整備記録
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労働時間管理(タイムカード、シフト表)
7. 行政書士に依頼するメリット
一般貨物自動車運送事業の許可申請は、専門知識と実務経験が求められる複雑なプロセスです。行政書士法人塩永事務所に依頼するメリットは以下の通りです。
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書類作成の正確性:法令に基づく正確な書類作成で、補正や不許可のリスクを最小化。
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スケジュール管理:申請から許可取得までの工程を効率的に管理し、期限遅延を防止。
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アフターサポート:許可後の事業報告、変更届、巡回指導対応を代行。
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最新情報への対応:改正法や運輸局の運用変更をリアルタイムで反映。
当事務所は、東京都と神奈川県に拠点を置き、運送業許可申請に特化した実績を有します。全国対応も可能で、オンライン相談にも対応しています。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 許可取得までどのくらいかかる?
申請から許可取得まで通常3~6か月。書類の不備や審査の混雑状況で延びる場合があります。
Q2. 最低車両台数は?
原則5台以上の事業用車両(緑ナンバー)。軽自動車は対象外です。
Q3. 自己資金の目安は?
事業規模によりますが、2,000万円~3,000万円以上が一般的。車両や施設の規模で変動します。
Q4. 法令試験の難易度は?
合格率は30~40%程度。過去問や専門テキストを活用した準備が必須です。
Q5. 個人事業主でも申請可能?
可能です。ただし、法人と同等の要件(資金、施設、車両など)を満たす必要があります。
9. 行政書士法人塩永事務所のサポート内容
当事務所では、以下のような包括的サポートを提供しています:
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無料初期相談:事業計画や要件に関する相談(対面・オンライン対応)。
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書類作成代行:申請書類の作成から運輸局への提出まで一括対応。
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許可後の支援:運輸開始届、事業報告、変更届の代行、巡回指導対策。
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改正法対応:2025年改正法に基づく事業計画の最適化。
お問い合わせ先:
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電話:096-385-9002(平日9:00~18:00)
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メール:info@shionagaoffice.jp
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X公式アカウント:
@shionagaoffice(最新情報発信中)
10. まとめ
一般貨物自動車運送事業の許可申請は、厳格な要件と複雑な手続きを伴いますが、適切な準備と専門家の支援により、確実に許可を取得することが可能です。2025年4月の改正貨物自動車運送事業法により、書面交付義務や労働環境の改善が強化され、事業計画の策定には一層の注意が求められます。
行政書士法人塩永事務所は、運送業許可申請のプロフェッショナルとして、事業者様のニーズに応じたカスタマイズされたサポートを提供します。緑ナンバーのトラックで新たなビジネスをスタートさせる第一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか? まずは無料相談で、貴社の事業計画をお聞かせください!