
建設業許可申請に関する詳細解説
(行政書士法人塩永事務所)
令和の建設業界を取り巻く環境は、自然災害の復旧・復興、社会資本の老朽化対策、持続可能な開発(SDGs)の推進等を背景に多様化・高度化しており、これに伴い、建設業を営もうとする事業者に求められる法的・制度的要件も厳格化の一途を辿っております。そのような中、建設業許可制度は、一定規模以上の建設工事を請負う事業者に対し、法令遵守・施工能力の担保・健全経営体制の確保を目的として、厳密な基準に基づく許可制度が敷かれております。
本稿では、建設業許可取得の必要性、許可区分と業種分類、許可取得の各要件、申請手続の流れ、ならびに行政書士法人塩永事務所による申請支援の内容について、体系的かつ実務的観点から詳説いたします。
一.建設業許可制度の概要
建設業法(昭和24年法律第100号)に基づき、建設業を営む者が一定規模以上の建設工事(1件の請負代金が500万円以上、建築一式工事の場合は1,500万円以上又は延べ面積150㎡以上の木造住宅)を元請・下請問わず受注する場合には、原則として都道府県知事または国土交通大臣の許可を受けなければなりません。
許可を受けることにより、以下の効果が得られます:
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公共工事への入札参加資格の獲得
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民間企業からの信用向上
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元請企業からの指定受注の前提条件
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金融機関からの融資審査における信頼性の確保
二.許可の種類と業種分類
1. 許可の区分
区分 | 内容 |
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知事許可 | 一つの都道府県内にのみ営業所を設けて営業する場合に必要 |
大臣許可 | 複数の都道府県に営業所を設けて営業する場合に必要 |
一般建設業許可 | 下請負人に発注する1件あたりの工事代金が4,000万円未満(建築一式は6,000万円未満)の工事を請け負う場合に必要 |
特定建設業許可 | 下請負人に発注する1件あたりの工事代金が4,000万円以上(建築一式は6,000万円以上)の工事を元請として請け負う場合に必要 |
2. 許可対象業種(全29業種)
建設業は、以下のように29の専門工事業種に分類されています。
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土木一式工事、建築一式工事(総合工事)
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大工工事、左官工事、石工事、屋根工事、管工事、内装仕上工事、舗装工事、電気工事 等
申請者は、自社が行う工事の実態に応じ、当該業種の許可を受ける必要があります。
三.建設業許可取得に必要な5要件
建設業許可を取得するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
1. 経営業務の管理責任者(経管)の設置
法人の場合は常勤役員のうち1名が、個人事業主の場合は本人または支配人等が、過去5年以上(特定の場合は7年以上)建設業の経営経験を有していることが必要です。
2. 専任技術者の配置
営業所ごとに、下記のいずれかの要件を満たす技術者を常勤で配置することが必要です。
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該当業種に関する国家資格(例:1級建築士、1級施工管理技士等)の保有者
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10年以上の実務経験者(学歴により短縮可)
3. 財産的基礎(財務要件)
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一般建設業:500万円以上の自己資本または同等の資金調達能力
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特定建設業:資本金2,000万円以上、自己資本額4,000万円以上、適切な負債比率
4. 誠実性
不正または不誠実な行為により契約を履行しないおそれがあると認められないこと。
5. 欠格要件への非該当性
暴力団関係者、禁錮以上の刑の執行中、破産者で復権していない者等は許可を受けることができません。
四.許可申請の流れと期間
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事前相談・ヒアリング
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営業実態、役員・従業員の経歴、財務内容等の確認
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必要書類の収集・整備
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履歴事項全部証明書、納税証明書、決算報告書、資格証等
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申請書類の作成
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行政庁所定の申請書・添付書類の整備
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管轄行政庁への申請提出
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熊本県内の場合は熊本県土木部建築住宅局等へ提出
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審査期間
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おおむね3~4週間(知事許可・新規申請)
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許可証交付
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許可通知後、正式な許可証が発行され、営業活動が可能となる
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五.許可取得後の義務
建設業許可は取得後も以下の法定手続が必要です。
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決算変更届(事業年度終了届):毎事業年度末から4ヶ月以内
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各種変更届(役員変更、商号・本店所在地変更等):変更後30日以内
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更新申請:許可の有効期間は5年間。有効期限満了の30日前までに申請が必要
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社会保険加入義務の遵守:法定適用事業所は保険未加入の場合、指導・許可取消の対象となる
六.行政書士法人塩永事務所のサポート内容
当事務所では、熊本県内を中心に、下記の包括的なサポートを提供しております。
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建設業許可取得に関する無料相談
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必要書類の案内・収集代行
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申請書類一式の作成・点検
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管轄行政庁との折衝・事前相談
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更新・業種追加・変更届出の支援
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許可後のコンプライアンス維持支援(定期提出物の案内等)
七.結語
建設業許可制度は単なる行政上の手続きにとどまらず、許可業者としての社会的信用の証であり、事業継続・発展の基盤とも言えます。とりわけ公共工事への参入、民間建設取引における元請条件の遵守、金融機関との取引において、許可の有無は極めて重要な要素です。
行政書士法人塩永事務所は、豊富な実務経験と専門的知見を有する専門家として、熊本における建設業者様の法的支援を誠実かつ迅速にご提供いたします。
建設業許可申請をお考えの方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ】https://shionagaoffice.jp