
最終更新日:2025年5月8日
「中小企業新事業進出補助金」は、中小企業や小規模事業者が既存事業とは異なる新たな事業分野に挑戦する際の設備投資や関連経費を支援する補助金制度です。本制度は、事業再構築補助金の後継として位置付けられ、総予算1,500億円規模で実施されます()。その主な目的は、以下の通りです:
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新市場・高付加価値事業への進出促進:既存事業の枠を超えた新たな挑戦を支援し、企業の生産性向上と収益力強化を図る。
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賃上げの推進:事業拡大を通じて従業員の給与水準を引き上げ、地域経済の活性化に寄与する。
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持続的成長の支援:中小企業の新たな成長エンジンを創出し、長期的な競争力強化を後押しする。
本補助金の特徴は、幅広い対象経費と柔軟な事業計画の策定が可能な点にあります。特に、賃上げを積極的に実施する事業者に対する「賃上げ特例」により、補助上限額の引き上げが設けられている点が注目されます()。
本補助金の申請には、以下の6つの基本要件を満たす3~5年間の事業計画を策定する必要があります。これらの要件は、事業の新規性、経済的効果、労働環境の改善を重視するものであり、申請書類の作成にあたっては慎重な検討が求められます()。
事業が「新事業進出指針」に定める「新事業進出」の定義に該当する必要があります。具体的には、新製品や新サービスを新たな顧客層に提供する事業、または既存の技術やノウハウを活用して異なる市場に参入する事業が対象です。例えば、機械加工業の技術を活かした半導体製造装置部品の製造や、医療機器製造の技術を応用したウイスキー蒸留事業などが典型例として挙げられます()。
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1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上。
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給与支給総額の年平均成長率が2.5%以上。
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給与支給総額の年平均成長率が6%以上。
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事業場内最低賃金が地域別最低賃金より50円以上高い水準。
この特例を満たす場合、補助上限額が大幅に引き上げられ、最大9,500万円の補助が可能です()。
補助額は事業者の従業員数に応じて設定されており、賃上げ特例の適用により上限が引き上げられます。補助率は一律1/2で固定されています()。以下は詳細です:
従業員数
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補助上限額(通常)
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補助上限額(賃上げ特例適用時)
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補助下限額
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20人以下
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2,500万円
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3,000万円
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750万円
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21~50人
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4,000万円
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5,000万円
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750万円
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51~100人
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5,500万円
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7,000万円
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750万円
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101人以上
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7,000万円
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9,000万円
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750万円
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補助下限額が750万円であるため、総投資額は税抜きで1,500万円以上である必要があります。
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小規模事業者は、補助率が2/3である「ものづくり補助金」との比較検討が重要です()。
本補助金の対象経費は、新事業進出に必要な幅広い費用をカバーしており、以下の項目が含まれます():
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建物費:新事業のための施設建設や改修費用。
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機械装置・システム構築費:生産設備やITシステムの導入費用。
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技術導入費:特許やノウハウの取得費用。
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専門家経費:コンサルタントや技術者への報酬。
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運搬費:設備や資材の運搬にかかる費用。
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クラウドサービス利用費:クラウドベースのソフトウェア利用料。
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外注費:検査、加工、設計などの委託費用。
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知的財産権関連経費:特許出願や商標登録費用。
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広告宣伝・販売促進費:新事業のマーケティング費用。
これらの経費は、新事業の立ち上げや拡大に直接関連するものでなければならず、補助金の交付決定後に発生した費用のみが対象となります。なお、対象外経費(例:人件費、汎用性の高い車両購入費など)については、公募要領で詳細に規定されています()。
2025年度の第1回公募スケジュールは以下の通りです():
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公募期間:2025年4月22日(火)~7月10日(木)
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申請受付期間:2025年6月頃~7月10日(木)18:00
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採択結果発表:2025年10月頃
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交付申請締切:採択結果発表日から2ヶ月以内
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補助事業実施期間:交付決定日から14ヶ月以内(採択結果発表日から16ヶ月以内)
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実績報告提出締切:補助事業完了期限日(交付決定通知書に記載)
第2回以降の公募スケジュールは2025年5月時点で未公表ですが、事業再構築補助金の傾向を参考に、年2~3回の公募が予想されます。早期の準備が採択率向上に繋がるため、事務局公募の動向を注視することが重要です()。
申請にあたっては、以下の手続きと書類が必要です():
電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントを事前に取得する必要があります。取得には数週間を要する場合があるため、早めの準備が推奨されます()。
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事業計画書:新事業の概要、市場分析、収益計画、賃上げ計画などを詳細に記載。
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財務諸表:直近2期分の貸借対照表、損益計算書。
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一般事業主行動計画:ワークライフバランス要件を満たすための計画書。
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その他:法人登記簿謄本、税務申告書、従業員数の証明書類など。
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事業計画の明確性:新事業の新規性や成長性を具体的なデータや根拠に基づいて示すことが重要です。
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賃上げ計画の現実性:賃上げ要件を満たす計画は、財務状況や市場環境を踏まえた実現可能な内容である必要があります。
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専門家の活用:複雑な要件や書類作成に対応するため、行政書士や中小企業診断士の支援を受けることが有効です。
中小企業新事業進出補助金の採択率は、類似の事業再構築補助金(採択率30~50%程度)を参考にすると、さほど高くないと予想されます()。採択率を高めるためには、以下のポイントを押さえる必要があります:
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事業計画の説得力:市場ニーズの分析、競合との差別化、収益モデルの具体性が審査の鍵となります。
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賃上げ要件の重視:政府は賃上げを強く推進しており、賃上げ特例の活用は採択において有利に働く可能性があります。
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専門家の関与:行政書士や中小企業診断士による書類作成支援は、要件の正確な理解と説得力のある計画策定に寄与します。
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早期準備:公募開始前に事業計画の骨子を固め、必要書類を整えておくことで、スムーズな申請が可能です。
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豊富な経験:事業再構築補助金やものづくり補助金など、類似の補助金申請で多数の成功実績を有しています。
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ワンストップサービス:事業計画の策定から書類作成、採択後のフォローアップまで一貫して対応。
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専門家ネットワーク:中小企業診断士や税理士との連携により、財務分析や事業計画の精度を高めます。
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電話:096-385-9002(受付時間:平日9:00~18:00)
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メール:info@shionagaoffice.jp
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LINE:
@shionaga_office
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中小企業庁「中小企業新事業進出補助金」公式サイト
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