
【令和最新版】産業廃棄物収集運搬業許可の取得について
~制度の概要と最新動向を踏まえた実務対応~
近年、環境意識の高まりと法令遵守の重要性が再認識される中で、「産業廃棄物収集運搬業許可」の取得・更新に関する行政手続は、より厳格かつ精緻な対応が求められる傾向にあります。本稿では、令和時代における産業廃棄物収集運搬業許可制度の概要、取得要件、手続の流れ、さらに最新の法令改正や運用実務の傾向について、行政書士法人塩永事務所の専門的見地から解説いたします。
1.産業廃棄物収集運搬業許可とは
「産業廃棄物収集運搬業許可」とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃掃法」という。)に基づき、事業者が他人の産業廃棄物を収集・運搬する際に必要となる法定の許認可制度です。対象となるのは、工場・建設現場等から排出される廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず等の産業廃棄物であり、収集・運搬の事業を行うには、あらかじめ各都道府県知事または政令市長の許可を受けなければなりません(廃掃法第14条第1項)。
2.許可取得に必要な要件
(1) 施設及び車両の確保
許可の取得には、運搬に供する車両(ダンプ車・コンテナ車など)の保有が前提とされ、かつ、運搬物の飛散・流出を防止する構造であることが必要です。運搬車両の写真、車検証の写し等が添付資料として求められます。
(2) 人的要件(講習会修了)
申請者(法人の場合は役員)または業務に従事する常勤の者が、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)による講習会(「産業廃棄物収集運搬課程」)を受講・修了していることが必須です。修了証の有効期間は5年間であり、更新時にも最新の修了証が必要となります。
(3) 経理的基礎・欠格要件の非該当
過去5年間において法令違反による処分歴がないこと、及び申請者が確実かつ継続的に事業を遂行するに足る経理的基礎を有していることも審査の対象となります。直近の決算書、登記簿謄本、納税証明書などが必要書類となります。
3.申請手続の流れ
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事前相談(任意)
都道府県によっては事前相談が推奨されており、申請書類の不備防止のため有効です。 -
申請書類の準備・作成
申請書、事業計画書、登記事項証明書、修了証、車両関係書類、営業所・駐車場の使用権限証明など、提出書類は多岐にわたります。 -
提出・審査
提出先は事業を営もうとする各都道府県の環境部局。審査期間は通常1~2か月程度を要します。 -
許可証の交付
許可が下り次第、「産業廃棄物収集運搬業許可証」が交付され、以後は都道府県の許可番号と許可品目に従って事業が可能となります。
4.【令和の最新動向】制度運用上のポイント
(1) 電子マニフェスト制度の実質的義務化
排出事業者と収集運搬業者・処分業者の間の適正な情報伝達を目的として、電子マニフェスト制度(JWNET)の利用が事実上標準となりつつあります。特に一定規模以上の建設業者や製造業者からの業務受託においては、電子マニフェスト未対応業者は敬遠される傾向が強まっています。
(2) Gメン(環境監視員)による現場指導の強化
近年、環境省および地方自治体による無許可営業の摘発、飛散防止措置の不備、運搬先の不適正処理などへの取締が強化されています。許可業者であっても、適正処理義務違反等が認められた場合は許可取消しや営業停止処分の対象となるため、法令遵守体制の整備が不可欠です。
(3) 許可品目の厳格な区分管理
運搬する廃棄物の「品目」は、許可証上明記されるものであり、許可を受けていない品目の運搬は無許可営業として処罰対象となります。特に、石綿含有廃棄物等の取扱いについては、追加講習および車両設備の特別仕様が求められる場合があるため、注意が必要です。
5.行政書士法人塩永事務所のサポート体制
当法人では、産業廃棄物収集運搬業許可に関する以下の支援業務を提供しております:
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初回ヒアリングと取得要件の精査
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必要書類の作成・収集代行
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各自治体との事前協議・提出代行
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更新申請、変更届出のサポート
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許可品目追加・営業所・車両追加等の変更手続
また、建設業許可や一般貨物自動車運送事業許可との一体的手続も対応可能です。許可取得後も、電子マニフェスト登録やコンプライアンス体制構築のアドバイスまで、ワンストップでサポートいたします。
6.まとめ
産業廃棄物収集運搬業は、単なる許可取得にとどまらず、継続的な法令遵守と事業運営の透明性が問われる高度な分野です。行政書士法人塩永事務所では、許可取得から運用支援まで一貫したサポートを行い、貴社の健全な事業展開を法務面から力強く支援いたします。ご相談・ご依頼はお気軽にお問合せください。
※本記事は令和7年5月現在の法令及び実務に基づいて執筆しております。今後の法改正等により内容が変更となる場合がありますので、最新情報については随時ご確認ください。