
行政書士法人塩永事務所
近年、教育や保育現場での子どもの性被害防止が社会的な課題となる中、2024年6月に「こども性暴力防止法」が成立し、「日本版DBS」の導入が決定しました。この制度は、子どもと接する仕事に従事する人の性犯罪歴を確認する仕組みで、2026年度中の運用開始が予定されています。本記事では、日本版DBSの概要、最新の動向、そして事業者や外国人従事者が知っておくべきポイントを、行政書士の視点から解説します。
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対象者:学校(幼稚園、小中高校)、認可保育所、児童養護施設、障害児入所施設など、子ども(原則18歳未満)と継続的に接する事業所の従事者。新規採用者だけでなく現職者も対象。
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対象犯罪:不同意わいせつ罪、不同意性交罪、児童ポルノ禁止法違反、痴漢や盗撮などの条例違反など、特定の性犯罪(「特定性犯罪」)の前科。被害者が子ども以外の場合も含む。
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照会期間:
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禁錮刑以上:刑の執行終了後20年
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罰金刑:刑の執行終了後10年
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執行猶予:裁判確定日から10年
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運用主体:こども家庭庁が照会を管理し、法務省と連携して犯罪歴を確認。
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措置:性犯罪歴が確認された場合、事業者は子どもと接する業務への不採用、配置転換、または最終手段として解雇などの防止措置を講じる義務がある。
参照:こども家庭庁「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案の概要」
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有識者検討会の開始:2025年4月21日、こども家庭庁は日本版DBSの運用指針策定に向けた有識者検討会の初会合を開催しました。この検討会では、以下の論点が提示されています:
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対象業務の範囲(例:どの程度の「子どもとの接触」が対象か)
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子どもの安全確保措置(例:配置転換や解雇の具体的な基準)
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個人情報の保護と管理体制
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事業者向けガイドラインの策定
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指針は2025年内にまとめる方針です。
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ガイドライン策定の進展:制度の運用には、性犯罪歴の照会システム構築や事業者向けの研修体制整備が必要です。こども家庭庁は、事業者が適切に対応できるよう、詳細なガイドラインを策定中です。
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民間事業者の対応準備:認可保育所や学校では性犯罪歴確認が義務化されますが、民間事業者(学習塾やスポーツクラブなど)は認定申請の準備を進める必要があります。認定を受けた事業者は、保護者へのアピールポイントとして「安全な施設」であることを強調できます。
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就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務、教育など): 日本版DBSの対象事業所(学校や保育所など)で働く外国人は、性犯罪歴の確認が求められます。日本の犯罪歴だけでなく、母国の犯罪歴証明書(無犯罪証明書)の提出が必要となる場合があります。
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実務ポイント:犯罪歴証明書の取得は国によって手続きや期間が異なります。ビザ申請と並行して早めに準備することをおすすめします。また、翻訳証明が必要な場合も多く、行政書士のサポートが有効です。
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在留資格の更新: 現職の外国人従事者が性犯罪歴確認の対象となり、過去の犯罪歴が発覚した場合、配置転換や解雇の可能性があります。これが雇用契約の継続に影響し、在留資格更新の審査に影響するリスクも。
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実務ポイント:雇用主は、外国人従事者の在留資格状況を把握し、配置転換などの措置がビザに与える影響を事前に検討する必要があります。
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経営・管理ビザ: 学習塾やスポーツクラブを経営する外国人が日本版DBSの認定を申請する場合、事業所の管理体制(例:従業員の犯罪歴確認体制)が審査されます。適切な体制を構築することが認定取得の鍵です。
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実務ポイント:事業計画書に日本版DBS対応の体制を明記し、信頼性の高い事業所であることをアピールしましょう。
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個人情報の適切な管理: 性犯罪歴は「要配慮個人情報」に該当し、漏洩した場合、こども性暴力防止法に基づく罰則が適用されます。事業者は、情報管理体制の構築(例:セキュリティシステムの導入、従業員教育)が必須です。
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研修と相談体制の整備: 事業者は、性暴力防止のための従業員研修や、子どもが相談しやすい環境の整備を義務付けられています。これらの体制が不十分な場合、認定が受けられないリスクがあります。
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外国人従事者の対応: 外国人従事者の犯罪歴確認では、国際的な情報交換や証明書取得が課題となる場合があります。行政書士法人塩永事務所に相談することで、スムーズな手続きが可能です。
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日本版DBSの認定申請に必要な書類作成や体制構築のアドバイス
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外国人従事者の犯罪歴証明書取得やビザ申請手続きの代行
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性犯罪歴確認に伴う雇用契約変更や在留資格更新のコンサルティング
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専門知識:入管法や個人情報保護法に精通した行政書士が対応。
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多言語対応:日本語、英語、中国語での相談が可能(予約必須)
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全国対応:オンラインでのご相談も承ります。
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