
認定経営革新等支援機関が解説する中小企業の「認定・宣言・加点」制度15選
行政書士法人塩永事務所
補助金の加点、融資の優遇、取引先や求職者からの信頼。こうした力を持つ認定・宣言制度は数多くありますが、「どれから取り組むべきか」「自社に合うのはどれか」と迷われる経営者様は少なくありません。本記事では、主要15制度のポイントを整理し、認定経営革新等支援機関がどう関われるのかを併せて解説します。
認定経営革新等支援機関とは
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業等経営強化法に基づき、専門知識と実務経験を持つ者として国が認定した支援機関です。税理士、中小企業診断士、金融機関、行政書士法人などが認定を受けています。
認定支援機関は、経営革新計画や事業継続力強化計画の策定支援、補助金申請時の事業計画の確認、金融機関との橋渡しなど、「計画を立てて実行する」場面で中小企業の伴走役を担います。特に補助金では、認定支援機関の関与が申請要件や加点の前提となる枠もあります。制度の選び方、計画の作り方、取得後の活用まで、一貫してご相談いただけるのが大きな強みです。
※認定支援機関は、税務申告や労働・社会保険の手続きを独占的に行える資格ではありません。税務は税理士、助成金の労務手続きは社会保険労務士と連携して対応します。
1. パートナーシップ構築宣言
概要: 発注者と受注者が共存共栄できる取引関係を目指し、サプライチェーン全体での付加価値向上や取引適正化に取り組むことを宣言する制度です。内閣府・中小企業庁などが推進し、宣言企業はポータルサイトで公表されます。
メリット: 補助金の審査での加点、取引先からの信頼向上、価格転嫁に積極的な企業という対外的アピールにつながります。
認定支援機関の関わり: 宣言書の作成を支援するとともに、宣言内容に沿った価格交渉の考え方や、取引条件の整理をアドバイスします。
2. くるみん
概要: 次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定し、目標を達成した企業が厚生労働大臣の認定を受ける制度です。男性の育児休業取得率などが基準に含まれます。より高水準のプラチナくるみんもあります。
メリット: 認定マークを求人・名刺・商品に使えるため、採用力が高まります。公共調達や補助金で加点される場合もあります。
認定支援機関の関わり: 行動計画の策定、届出、実績整理を支援します。労務面の規程整備は社会保険労務士と連携します。
3. えるぼし
概要: 女性活躍推進法に基づく認定制度です。採用、継続就業、労働時間、管理職比率、多様なキャリアコースの5項目の実績に応じて、段階的に認定されます。最上位はプラチナえるぼしです。
メリット: 女性が働きやすい企業として採用に有利になり、補助金や入札で評価される場合があります。
認定支援機関の関わり: 自社の状況を5項目で診断し、どの段階を目指せるかを整理したうえで、行動計画の策定・届出と認定申請を支援します。
4. 健康経営優良法人2026
概要: 経済産業省と日本健康会議が、従業員の健康管理を経営的視点で実践する法人を顕彰する制度です。大規模法人部門と中小規模法人部門があり、2026年版の認定は同年春に公表されました。申請は例年、前年の秋ごろに受け付けられるため、次回の申請時期を確認しておくことが大切です。
メリット: 従業員の定着、採用力の向上、金融機関による金利優遇などにつながります。
認定支援機関の関わり: 申請の準備から、取組内容を経営計画に位置づけるところまで支援します。
5. 再生事業者
概要: 経営不振に陥っても、中小企業活性化協議会などの支援を受けて再生計画を策定し、再起を図る事業者を指します。補助金では、こうした事業者への配慮が加点や要件緩和として設けられることがあります。
メリット: 再生計画に基づく金融支援と、補助金における優遇の両方を活用できる可能性があります。
認定支援機関の関わり: 認定支援機関は、経営改善計画の策定支援を通じて再生の実現可能性を高めます。金融機関との調整や進捗のフォローも、重要な役割です。
6. 経営革新計画
概要: 中小企業等経営強化法に基づき、新商品・新サービスの開発や新たな提供方法の導入など「新たな事業活動」に取り組む計画を、都道府県知事等が承認する制度です。3〜5年で付加価値額や経常利益を一定程度伸ばす目標を立てます。
メリット: 低利融資、信用保証の特例、補助金審査での加点など、多面的な支援が受けられます。
認定支援機関の関わり: 経営革新計画は、認定支援機関が最も力を発揮できる分野の一つです。事業内容の整理、数値計画の作成、申請書のとりまとめまで一貫して支援します。
7. 事業継続力強化計画(連携事業継続力強化計画)
概要: 自然災害や感染症などの緊急事態に備え、事前の対策や発災時の対応を定める計画を、国が認定する制度です。複数の企業が連携して取り組む「連携事業継続力強化計画」もあります。
メリット: 認定を受けると、補助金の加点、低利融資、保険料の割引などが利用できます。防災・減災設備の導入では、税制上の措置を受けられる場合もあります。
認定支援機関の関わり: ハザードの確認、被害想定、対策の整理など、計画づくりを実務面から支援します。連携型の場合は、参加企業間の調整もお手伝いします。
8. DX認定
概要: 情報処理促進法に基づき、経営ビジョンの策定やDX戦略の公表など、DXの準備が整った企業をIPA(情報処理推進機構)が認定する制度です。
メリット: 金融支援や補助金での評価につながるほか、デジタル対応に積極的な企業として取引先・求職者に伝わります。
認定支援機関の関わり: 経営ビジョンとDX戦略の言語化を支援し、申請書の整合性を確認します。補助金によるIT導入計画と一体で進めると効果的です。
9. J-Startup
概要: 経済産業省が中心となり、有望なスタートアップを選定し、官民で集中支援する制度です。選定は推薦者を通じて行われ、海外展開や大企業との連携の機会が提供されます。
メリット: 国内外での認知度と信用が高まり、資金調達や事業提携が進みやすくなります。
認定支援機関の関わり: 選定対象となるのは限られたスタートアップですが、その前段階として、法人設立、事業計画の策定、許認可の取得、補助金や融資の活用など、成長基盤づくりを伴走支援します。
10. 研究開発費の計上
概要: 新製品や新技術の研究開発にかかった費用を、会計・税務上適切に整理して計上することです。要件を満たせば、研究開発税制による税額控除を受けられる可能性があります。
メリット: 税負担の軽減に加え、研究開発に積極的な企業として補助金・融資・投資家に説明しやすくなります。
認定支援機関の関わり: 研究開発の内容や費用を整理し、事業計画と結びつけて説明できる形に整えます。税額控除の具体的な計算や申告は、税理士と連携して進めます。
11. 技術情報管理認証制度
概要: 自社の技術情報や営業秘密を守るための管理体制を整備し、第三者機関の審査を経て認証を受ける制度です。経済産業省が推進しています。
メリット: 情報漏えい対策を客観的に示せるため、大手企業や海外企業との取引、共同研究で信頼を得やすくなります。
認定支援機関の関わり: 保有する技術情報の洗い出し、管理規程の整備、認証取得に向けたロードマップ作成を支援します。
12. 成長加速マッチングサービス
概要: 成長意欲のある中小企業と、取引や連携を求める大企業等を結びつけるマッチングの仕組みです。補助金審査で、登録が評価される場合があります。
メリット: 新たな販路や共同開発のパートナーを開拓するきっかけになります。
認定支援機関の関わり: 自社の強みを整理して登録内容に反映し、商談に向けた事業計画や資料づくりを支援します。最新の登録要件や加点の扱いは、公募要領でご確認ください。
13. アトツギ甲子園
概要: 中小企業・小規模事業者の後継予定者(アトツギ)が、新規事業のアイデアを発表する全国規模のピッチ大会です。ファイナリストになると、全国的な注目や支援者とのつながりを得られます。
メリット: 事業承継をきっかけにした新規事業の創出を後押しされ、補助金の審査で評価される場合もあります。
認定支援機関の関わり: 事業承継を見据えた経営計画の策定、新規事業のビジネスプラン作成、資金計画の整理を支援します。
14. 地域別最低賃金引上げ
概要: 地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められる時給の下限で、毎年見直されます。令和8年度は、全国加重平均で前年度から56円引き上げられて1,177円となり、新しい額は令和8年10月1日から12月2日の間に順次発効する予定とされています。
影響: 最低賃金を下回る賃金は認められず、違反すると罰則の対象になります。パート・アルバイトの時給だけでなく、月給制の社員も時間換算で確認が必要です。賃上げは人件費の増加に直結するため、原価管理や価格転嫁の見直しが欠かせません。
認定支援機関の関わり: 賃上げ後の収支をシミュレーションし、価格転嫁の方針や、補助金・融資を活用した投資計画を一緒に検討します。
15. 事業場内最低賃金引上げ
概要: 事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げ、あわせて設備投資や生産性向上に取り組む中小企業を支援する仕組みとして、厚生労働省の業務改善助成金が代表的です。補助金でも、事業場内最低賃金の引上げが申請要件や加点とされる枠があります。
メリット: 賃上げと生産性向上を同時に進める際の負担を軽減できます。
認定支援機関の関わり: 賃上げ計画と設備投資計画の整合性を整え、補助金申請の事業計画を策定します。助成金の労務関係の申請手続きは社会保険労務士の業務のため、連携して進めます。制度の内容は毎年変わるため、最新の要領をご確認ください。
まとめ:優先順位をつけて、計画的に
これらの制度は、取得そのものが目的ではありません。経営課題を解決し、補助金・融資・採用・取引で成果を出すための手段です。おすすめの進め方は次のとおりです。
- まず経営革新計画や事業継続力強化計画など、事業の土台となる計画を整える
- 採用や信頼向上につながる認定(くるみん、えるぼし、健康経営など)を段階的に取得する
- 補助金の公募に合わせ、加点が見込める制度を逆算して準備する
行政書士法人塩永事務所は、認定経営革新等支援機関として、計画策定から申請、取得後の活用まで一貫してサポートします。「どの制度から始めればよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度の要件や加点の扱いは公募ごと・年度ごとに変更されるため、申請時には必ず最新の公募要領や公式情報をご確認ください。
