
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?熊本の中小企業が押さえるべき要件・補助額・返還リスク
認定経営革新等支援機関 行政書士法人塩永事務所
はじめに
新事業進出補助金は、第4回公募をもって終了しました。今後の新規申請は、ものづくり補助金と統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が対象です。本記事では、この新制度を公募要領(第1回)に基づいて整理します。
**【重要】第1回公募の締切は本日です。**公募期間は令和8年10月30日(金)18:00まで(厳守)で、申請は電子申請のみです。これから準備を始める方は、次回公募を見据えてください。
1. 制度の概要
中小企業等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発、新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化などの設備投資を支援する補助金です
補助対象事業は、次の3つの枠に分かれています。
- 革新的新製品・サービス枠(旧ものづくり補助金の高付加価値化枠に近い枠)
- 新事業進出枠(旧新事業進出補助金に相当する枠)
- グローバル枠(海外市場開拓に向けた国内体制強化)
2. 第1回公募のスケジュール
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募要領の公開 | 2026年6月29日 |
| 申請受付 | 2026年9月30日〜10月30日18:00 |
| 採択発表 | 2027年1月頃(予定) |
| 交付申請 | 採択発表日から原則2か月以内 |
公募要領は1.0版から改訂が重ねられており、当初は8月31日開始・9月30日締切だった日程が1か月後ろ倒しになりました。さらに令和8年9月28日に1.3版へ改訂されています。申請前には、必ず事務局サイトで最新版をご確認ください。
3. 補助上限額と補助率
新事業進出枠・グローバル枠
従業員数1〜20人は基本の補助上限額が2,500万円(賃上げ特例適用時3,000万円)、21〜50人は4,000万円(5,000万円)、51〜100人は5,500万円(7,000万円)、101人以上は7,000万円(9,000万円)です。補助下限額は750万円です。
革新的新製品・サービス枠
従業員1〜5人は750万円(特例850万円)、6〜20人は1,000万円(1,250万円)、21〜50人は1,500万円(2,500万円)、51人以上は2,500万円(3,500万円)で、補助下限額は100万円です。
補助率
| 枠 | 補助率 |
|---|---|
| 新事業進出枠 | 中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用で2/3) |
| 革新的新製品・サービス枠 | 中小企業者1/2(特例で2/3)、小規模企業・小規模事業者・再生事業者2/3 |
| グローバル枠 | 2/3(特例の適用なし) |
4. 補助事業の実施期間
革新的新製品・サービス枠は、交付決定日から10か月以内(ただし採択発表日から12か月以内)です。新事業進出枠・グローバル枠は、交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)です。
交付決定前に発注・契約・支払いをした経費は、補助対象になりません。
5. 補助対象経費
新事業進出枠では、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費が対象経費とされています。 smrj
機械装置・システム構築費か建物費のどちらかが対象経費に含まれていることが必要で、建物は補助事業のためだけに使うものに限られます。
経費ごとの上限は次のとおりです(当事務所の既存ガイドより)。
- 技術導入費・知的財産権等関連経費:補助対象経費総額の1/3まで
- 外注費:同1/4まで
- 専門家経費:同1/5まで(謝金は1日1人5万円まで)
機械装置は単価10万円(税抜)以上が対象で、建物の単なる購入や賃貸は対象外です。
6. 基本要件と返還リスク
中小企業等は、3〜5年の事業計画に取り組むことが必要です。主な要件は次のとおりです。
- 付加価値額:年平均成長率+4.0%以上
- 賃上げ:一人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上(目標未達の場合は補助金の返還義務あり)
- 事業場内最低賃金:事業実施都道府県の地域別最低賃金+30円以上
- ワークライフバランス:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表すること
- 子育て等に関する職場環境整備の取り組み
- 金融機関要件:借入で実施する場合に、金融機関の確認書が必要
賃上げ特例を使う場合は、給与支給総額の年平均+6.0%以上と、事業場内最低賃金の+50円以上が条件です。
旧制度のように「収益納付なし」という点は変わりませんが、未達成の場合は、未達成率に応じた返還が求められます。付加価値が増えず、かつ営業利益が赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない場合は、返還が免除されます。
7. 申請できない方・注意が必要な方
- 新事業進出枠は、創業・設立から1年未満の事業者が対象外です。最低1期分の決算書が必要です。
- 従業員0名の事業者は対象外です。
- みなし大企業は対象外です。
- 申請締切日を起点に16か月以内に、事業再構築・新事業進出・ものづくり・本補助金で採択された事業者は対象外です。
- 応募申請日を起点に過去3年間で、上記補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者は対象外です。
- 不動産賃貸業や駐車場経営など、資産運用的性格の強い事業は対象外です。
過去の補助金受給歴で申請可否が分かれるため、申請前に履歴の確認が欠かせません。
8. 申請までの流れ
- GビズIDプライムの取得(発行に約1週間)
- 一般事業主行動計画の公表(1〜2週間以上の余裕を見てください)
- 枠の選定と、補助金受給歴の確認
- 事業計画書の作成(作成は事業者自身が行います)
- 電子申請
- 口頭審査(該当者のみ。申請者本人のみ対応可で、支援者の同席は不可)
- 採択後、交付申請 → 交付決定 → 発注・事業実施 → 実績報告
GビズIDや行動計画の遅れによる締切延長は認められません。
9. 当事務所のサポート内容
認定経営革新等支援機関として、次の支援を行っています。
- 3つの枠の適格性判定、補助金受給歴の確認
- 新規性・市場性・収益性の論点整理
- 付加価値額・賃上げ計画の設計支援
- 経費区分の整理と相見積の段取り
- GビズID取得、電子申請入力、口頭審査の準備支援
事業計画書の作成自体は事業者が行う必要があり、当事務所は作成支援・確認の立場で関与します。事業計画書等の作成・提出に係る費用は補助対象外です。
10. よくある質問
Q. 新事業進出補助金は、もう申請できませんか?
A. 新事業進出補助金は終了しており、後継として「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が始まりました。旧制度の「新事業進出」に相当するのは、新事業進出枠です。
Q. 次回の公募はいつですか?
A. 第2回の日程は、現時点で確認できていません。決まり次第、事務局サイトで公表されますので、随時ご確認ください。
Q. 補助上限額はいくらですか?
A. 枠と従業員数によって異なります。新事業進出枠は最大7,000万円(賃上げ特例で9,000万円)です。
まとめ
- 新事業進出補助金は終了し、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に統合されました。
- 第1回の締切は2026年10月30日18:00で、公募要領は1.3版が最新です。
- 賃上げ・最低賃金の要件が未達の場合は、補助金の返還リスクがあります。
- 申請可否は、過去の補助金受給歴で決まる場合があります。
ご相談はお気軽にどうぞ。
行政書士法人塩永事務所 TEL 096-385-9002
