
映像送信型性風俗特殊営業の届出とは|アダルト動画配信を始める前に知っておきたい風営法の手続き
行政書士法人塩永事務所
インターネットを利用してアダルト動画やアダルト画像を配信・販売する場合、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)上の「映像送信型性風俗特殊営業」に該当し、営業開始前の届出が必要となることがあります。
近年では、FC2コンテンツマーケット、Fantia(ファンティア)、MyFans、OnlyFansなどのプラットフォームを利用して個人がコンテンツ配信を行うケースも増えています。しかし、「プラットフォームを利用しているから届出は不要」「個人だから関係ない」と考えるのは危険です。
映像送信型性風俗特殊営業を営もうとする者は、営業開始予定日の10日前までに、事務所所在地を管轄する公安委員会へ届出をしなければなりません(風営法第31条の7)。実際の提出窓口は、管轄警察署の生活安全課となります。
本記事では、映像送信型性風俗特殊営業の概要、届出が必要となるケース、必要書類、手続きの流れ、注意点について分かりやすく解説します。
1.映像送信型性風俗特殊営業とは
風営法第2条第8項では、映像送信型性風俗特殊営業を次のように定義しています。
専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達することにより営むもの(放送又は有線放送を除く。)
簡単にいえば、インターネット等を利用して性的コンテンツを配信し、営業として継続的に収益を得る事業が対象となります。
該当する可能性がある例
- アダルト動画配信サイトの運営
- サブスクリプション型のアダルトコンテンツ配信
- FC2コンテンツマーケット、MyFans、OnlyFans、Fantia等での有料販売
- ライブチャットやライブ配信サービスにおける性的コンテンツの有料配信
- 個人によるアダルト画像・動画の継続的な有料販売
プラットフォームを利用している場合であっても、実質的に営業を行う主体であれば届出義務が生じる可能性があります。
また、サーバーの所在地が国外であっても、日本国内において営業を行っている場合は風営法の適用対象となると考えられています。
DVD通信販売との違い
映像送信型性風俗特殊営業は、動画や画像をインターネット経由で利用者に視聴させる営業です。
一方で、アダルトDVD等を販売・配送する営業は風営法上の「無店舗型性風俗特殊営業」に区分される場合があり、適用される制度が異なります。営業形態によって必要な届出も変わるため注意が必要です。
「専ら」の判断について
映像送信型性風俗特殊営業に該当するかどうかを判断する上で重要になるのが、「専ら」という要件です。
ただし、法令上「売上の何割以上であれば該当する」といった明確な数値基準は定められていません。
警察庁の解釈運用基準では、
- 営業者の目的
- 営業全体の実態
- コンテンツの構成
- 料金体系
などを総合的に考慮して判断されるとされています。
そのため、
- 一般向けサイトの一部にアダルトコンテンツがある場合
- 無料コンテンツと有料コンテンツが混在している場合
- 広告収入のみで運営している場合
などは、個別具体的な判断が必要です。
「無料だから届出不要」「有料だから必ず届出が必要」という単純な区分ではありません。営業実態によって判断されるため、事前に管轄警察署へ確認することをおすすめします。
2.届出が必要となる主なケース
次のような営業形態では、映像送信型性風俗特殊営業に該当する可能性があります。
- 月額課金制でアダルト動画を配信する場合
- 動画・画像を個別販売する場合
- 投げ銭やチップ機能を利用して性的ライブ配信を行う場合
- アダルトコンテンツにより継続的に収益を得ている場合
- プラットフォームを利用して性的映像を販売している場合
届出義務の有無は営業実態によって判断されるため、少しでも不安がある場合は事前相談を行うことが重要です。
3.届出に必要な書類
映像送信型性風俗特殊営業の届出には、一般的に次の書類が必要となります。
共通書類
- 映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書(様式第31号)
- 営業の方法を記載した書類(様式第32号)
- 住民票の写し
- 事務所の使用権原を証する書類
- URLや配信システムを確認できる資料
法人の場合
- 定款
- 履歴事項全部証明書
- 役員全員の住民票
なお、必要書類や部数は都道府県や管轄警察署によって異なることがあります。
そのため、提出前に必ず管轄警察署へ確認することが重要です。
5.特に注意したいポイント
届出は「営業の許可」ではない
映像送信型性風俗特殊営業は許可制ではなく届出制です。
しかし、届出が受理されたからといって、配信内容の適法性が保証されるわけではありません。
特に次の法令は別途遵守する必要があります。
- 刑法第175条(わいせつ物頒布等)
- 児童ポルノ禁止法
- 性的姿態撮影等処罰法
- AV出演被害防止・救済法
- 各都道府県の青少年保護育成条例
例えば、無修正映像の配信は届出の有無にかかわらず違法となる可能性があります。
18歳未満の利用防止義務
届出者は18歳未満の者を客として営業することができません。
そのため、
- クレジットカード認証
- 身分証確認
- 年齢確認システム
などの措置を講じる必要があります。
まとめ
映像送信型性風俗特殊営業は、個人でも比較的参入しやすい事業ですが、風営法に基づく届出義務や18歳未満利用防止措置など、多くの法的義務が伴います。
特に、FC2・Fantia・MyFans・OnlyFansなどの外部プラットフォームを利用する場合でも、営業の実態によっては届出が必要となる可能性があります。
また、「無料だから届出不要」「プラットフォーム運営者が届出しているから大丈夫」といった自己判断は危険です。
行政書士法人塩永事務所では、熊本県を中心に映像送信型性風俗特殊営業の届出サポートを行っています。認定経営革新等支援機関として培った事業支援の知見も活かし、開業前の法的整理から届出手続きまでワンストップでサポートいたします。ご不明な点はお気軽にご相談ください。
