
外国人経営者が日本でゲストハウス・山小屋・貸別荘を始めるには?
簡易宿所営業許可を行政書士が解説
【2026年最新版】外国人による日本の宿泊施設経営をサポート
日本でゲストハウス、山小屋、ホステル、貸別荘などの宿泊事業を始めたい外国人経営者の方から、
- 「外国人でも日本で宿泊施設を経営できるのか?」
- 「ゲストハウスを開業するには何の許可が必要なのか?」
- 「民泊と簡易宿所は何が違うのか?」
- 「在留資格『経営・管理』を取得するには、どの程度の事業規模が必要なのか?」
といったご相談が増えています。日本で宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う場合、事業形態によっては旅館業法上の営業許可または住宅宿泊事業法上の届出などが必要になります。
さらに、外国人が日本で宿泊事業を経営し、自ら経営者として活動する場合には、旅館業の許可だけでなく、**在留資格「経営・管理」**についても別途検討する必要があります。
つまり、
「宿泊施設の許可」と「外国人経営者の在留資格」は別々の制度
として考えることが重要です。行政書士法人塩永事務所では、外国人経営者の日本進出について、会社設立、旅館業・民泊関係の許認可、在留資格「経営・管理」などを横断してサポートしています。
1.簡易宿所営業とは?
旅館業法上、「旅館業」とは、原則として宿泊料を受けて人を宿泊させる営業をいいます。旅館業法では、旅館業は大きく次の3種類に分類されています。
- 旅館・ホテル営業
- 簡易宿所営業
- 下宿営業
このうち、ゲストハウスやホステルなどでよく利用されるのが簡易宿所営業です。
旅館業法上の簡易宿所営業は、
「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの」
とされています。ここでいう「多数人」は、国の通知上、2人以上を意味するものとされています。したがって、「簡易宿所=必ず大人数のドミトリー」という理解は正確ではありません。
2.どのような施設が簡易宿所になるのか?代表的なものとして、次のような施設があります。
- ゲストハウス
- ホステル
- ドミトリー型宿泊施設
- カプセル型宿泊施設
- 山小屋
- 一部の貸別荘・一棟貸し型の宿泊施設
- その他、施設の構造・営業形態から簡易宿所営業に該当する宿泊施設
ただし、
「貸別荘だから必ず簡易宿所」「一棟貸しだから必ず簡易宿所」というわけではありません。
建物の構造、客室の構成、宿泊者の利用形態、営業方法などによって、旅館・ホテル営業など別の区分となる場合があります。そのため、物件を購入・賃借する前に、保健所へ営業形態と施設計画を相談することが重要です。
3.簡易宿所営業を始めるには「営業許可」が必要宿泊料を受けて継続的に宿泊サービスを提供する場合、単に建物を購入しただけでは営業できません。
旅館業法上の旅館業に該当する場合、原則として、施設所在地を管轄する自治体から旅館業営業許可を受ける必要があります。旅館業の許可申請は、施設所在地の都道府県、保健所を設置する市、特別区などが窓口になります。
例えば熊本市内で簡易宿所を開業する場合は、熊本市の旅館業関係の手続きに従うことになります。
4.簡易宿所の主な構造設備基準簡易宿所営業には、旅館業法・旅館業法施行令のほか、自治体の条例等による構造設備基準があります。
国の基準では、主に次のような事項が定められています。
客室面積
原則として、客室の延床面積は33㎡以上です。
ただし、許可申請時に宿泊者数を10人未満とする場合には、「3.3㎡ × 宿泊者数」以上とすることができます。
(例:最大宿泊者数を8人として申請する場合、国の基準上は3.3㎡ × 8人=26.4㎡以上)実際の許可では、自治体条例やその他の構造設備基準も確認する必要があります。
階層式寝台・二段ベッド
二段ベッドなどの階層式寝台を設置する場合、上段と下段の間隔はおおむね1m以上とされています。転落防止など安全面からの適切な措置も求められます。換気・採光・照明・防湿・排水
施設には、適当な換気設備・採光・照明・防湿・排水設備などが必要です。
入浴設備
原則として、宿泊者の需要を満たすことができる規模の入浴設備が必要です。
ただし、近接する公衆浴場の存在などにより、宿泊者の入浴に支障がないと認められる場合には例外があります。実際の適用可否は自治体・保健所への確認が必要です。
洗面設備・便所
宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備や、適当な数の便所が必要です。具体的な必要数や男女別の取扱いなどは、自治体条例によって異なる場合があります。
5.フロント・玄関帳場は必ず必要なのか?ここは外国人経営者から特に質問が多いポイントです。
「簡易宿所だから必ずホテルのようなフロントを設置しなければならない」とは限りません。国の基準では、簡易宿所営業について玄関帳場等の設置を一律に義務付けていません。一定の要件を満たす小規模な簡易宿所では、設置を要しない取扱いが示されています。
一方で、自治体の条例や運用によって具体的な要件が異なるため、
無人チェックイン・ICTを利用した本人確認・遠隔対応・管理者の駆け付け体制・連絡体制
などを採用する場合には、計画段階で管轄自治体に確認することが重要です。
6.外国人経営者が特に注意すべき「物件選び」宿泊施設は、普通の店舗や事務所とは異なり、物件を契約してから「実は旅館業ができなかった」という問題が起こる可能性があります。
そのため、物件契約・購入前の事前調査が非常に重要です。
確認すべき主な事項は次のとおりです。
- 用途地域
- 建築基準法上の用途・用途変更の必要性
- 検査済証の有無
- 消防法令上の適合性
- 旅館業法・自治体条例
- 学校・児童福祉施設等との位置関係
- 接道・避難経路
- 客室面積・浴室・洗面・トイレ
- 周辺住民への説明・連絡体制
- 既存建物の違法改修の有無
特に中古物件・古民家・山間部の物件・空き家を宿泊施設へ転用する場合は注意が必要です。
7.用途地域だけを見て「営業できる」と判断しない宿泊施設を開業する場合、「この土地なら旅館業ができるはず」と用途地域だけで判断するのは危険です。
用途地域による建築制限に加えて、建築基準法、都市計画法、消防法、旅館業法、自治体条例などを総合的に確認する必要があります。また、施設の所在地や営業形態によっては、周辺の学校等との関係について旅館業法上の確認が必要になる場合があります。
旅館業法では、学校(大学を除く)、幼保連携型認定こども園、児童福祉施設等の敷地の周囲おおむね100メートル以内に施設を設置する場合、一定の要件のもとで関係機関への意見照会が行われる制度があります。
「100メートル以内なら絶対に許可されない」という意味ではありません。所在地と施設の状況を確認し、個別に判断する必要があります。
8.熊本市で簡易宿所を開業する場合熊本市で旅館・ホテル、簡易宿所等を開業する場合、旅館業法だけでなく、熊本市独自の手続きにも注意が必要です。熊本市では、旅館・ホテル営業や簡易宿所営業の施設について、一定の建築・大規模修繕・用途変更を行う場合、建築確認申請前に「熊本市ラブホテル建築規制に関する条例」に基づく事前届出・審査が必要となる場合があります。
また、熊本市の旅館業許可申請では、法人の場合、
定款等の写し、6か月以内に発行された履歴事項全部証明書、付近見取図(施設から200メートル範囲)、平面図等、建築確認申請の検査済証の写し
などが案内されています。 許可申請手数料は、同市の案内では22,000円とされています(2026年5月更新時点)。
ただし、全国一律ではありません。旅館業の申請書類・手数料・条例上の設備基準は自治体によって異なるため、開業予定地を基準に確認することが必要です。
9.消防法の確認も重要宿泊施設では、旅館業法だけでなく消防法上の対応も非常に重要です。
物件の規模・構造・用途等によって、消火器、自動火災報知設備、誘導灯、非常用照明、避難経路、防火管理、その他の消防設備などが必要になる場合があります。既存の住宅を宿泊施設へ用途変更する場合には、従来の住宅としての使用を前提とした消防設備では足りない可能性があります。工事を開始する前に消防署へ相談することが重要です。
10.建築基準法上の確認も必要古民家、空き家、住宅、店舗、倉庫などを宿泊施設に変更する場合、建築基準法上の用途変更や改修が問題になることがあります。
特に、検査済証がない、増築履歴がある、図面と現況が違う、違法改修の可能性がある、接道要件に問題がある、避難経路が確保できないといった物件は注意が必要です。「以前から旅館だった」「以前は民泊だった」から、そのまま営業できるとは限りません。中古物件を購入する場合には、契約前の法令調査をおすすめします。
11.民泊(住宅宿泊事業)との違い外国人経営者からは、「簡易宿所と民泊はどちらがいいですか?」という質問もよくあります。両者は制度そのものが異なります。
旅館業法による簡易宿所
原則として旅館業営業許可を取得して営業します。住宅宿泊事業法のような全国一律の年間180日という営業日数上限はありません。適法に旅館業として営業できる施設であれば、年間を通じた営業を事業計画に組み込むことができます。ただし、自治体の条例、建築・消防その他の法令上の制限は別途あります。住宅宿泊事業法による民泊
一定の要件のもとで年間180日を上限として営業する制度です。自治体条例によって営業日数や営業区域等について追加の制限が設けられている場合があります。
「民泊なら簡単」と考えるのではなく、物件所在地の条例まで確認する必要があります。
12.外国人経営者の場合は「旅館業許可」と「経営・管理」を分けて考える外国人が日本で宿泊施設を経営する場合、非常に重要なのが在留資格です。
旅館業の営業許可を取得しただけで、外国人本人が日本で経営活動を行えるとは限りません。 外国人が日本で会社等を経営・管理する活動を行う場合には、在留資格「経営・管理」の該当性を検討する必要があります。ここは2025年10月16日から大きく制度が変わっています。
13.2025年10月16日から「経営・管理」の基準が大幅に変更2025年10月16日、在留資格「経営・管理」の許可基準が改正されました。
2026年現在、新規申請を検討する場合は、旧制度の「資本金500万円」という情報だけで事業計画を作成することはできません。現在の主な基準として、出入国在留管理庁は次の事項を示しています。
① 日本国内に事業所が存在すること
申請する事業を行うための事業所が日本国内に存在することが必要です。単にバーチャルオフィスを契約すればよいという考え方ではなく、実際の事業内容に応じた事業所の確保が重要です。
② 常勤職員を1人以上雇用すること
申請者が経営・管理する企業等において、原則として1人以上の常勤職員を雇用することが求められます。対象となる在留資格等について条件が定められています。
③ 事業に使用する財産の総額が3,000万円以上
改正後は、「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む)が3,000万円以上」という基準が設けられています。
法人の場合は払込済資本金の額または出資の総額、個人事業の場合は事業所の確保や雇用職員の給与(1年間分)、設備投資経費など事業を営むために投下されている総額で判断されます。
そのため、「会社を作って資本金500万円を入れれば経営・管理ビザを取得できる」という従来型の説明は、2026年現在の新規申請については適切ではありません。
宿泊施設を開業する場合は、物件取得費・建物賃借費・改修費・設備費・宿泊施設用備品・運転資金・人件費などを含め、事業全体の資金計画を慎重に検討する必要があります。
14.日本語能力についても新しい基準がある改正後の「経営・管理」では、経営者または常勤職員のいずれかが、**相当程度の日本語能力(日本語教育の参照枠B2相当)**を有することが基準の一つとされています。 「外国人本人が日本語を話せないから絶対に経営できない」という単純な制度ではありません。経営者本人または対象となる常勤職員の日本語能力について、制度上の要件を満たすかどうかを確認する必要があります。
15.経営・管理では「経営者としての経歴・学歴」も確認改正後の「経営・管理」では、申請人について、
経営・管理または経営する事業分野に関する修士相当以上の学位、
または経営管理に関する3年以上の実務経験
などが基準として示されています。 したがって、宿泊施設を開業する場合でも、「宿泊施設を作ればビザが取得できる」というものではありません。申請者本人の経歴、学歴、事業内容、資金、事業所、雇用、事業計画などを総合的に整理する必要があります。
16.旅館業許可と「経営・管理」は同時並行で準備する外国人による宿泊施設開業では、次の事項を並行して検討することが重要です。旅館業側
物件調査、用途地域等の確認、建築確認・用途変更、消防設備、保健所事前相談、旅館業営業許可、現地検査入管側
会社設立、資本金・事業財産、事業所、常勤職員、日本語能力、事業計画、申請人の学歴・職歴、事業の継続性・安定性片方だけを先に進めると、「旅館業の許可は取れたが、在留資格の要件を満たさない」あるいは「会社は設立したが、その物件では旅館業ができない」といった問題につながる可能性があります。
17.「経営・管理」と宿泊施設の相性だけで判断しないゲストハウスや山小屋などの宿泊事業は、外国人旅行者をターゲットにしやすい事業です。英語・中国語・韓国語などによる案内、海外OTAの活用、インバウンド向けSNS、地域観光との連携、体験型観光、長期滞在プラン、地方の古民家活用、温泉・自然・アウトドアとの組み合わせなど、さまざまな事業モデルが考えられます。ただし、「インバウンド需要があるから経営・管理が許可される」という制度ではありません。事業の実現可能性、資金計画、経営者の経歴、施設の適法性、雇用計画などを具体的に説明できる事業計画を作ることが重要です。
18.外国人経営者の宿泊事業でよくある失敗
失敗例1 先に物件を購入する
「安い古民家を見つけたので、とりあえず購入した」というケースです。旅館業ができるとは限らず、建築・消防・都市計画などで追加工事が必要になることがあります。→ 契約前に専門家へ相談することをおすすめします。
失敗例2 民泊なら簡単だと思っている
住宅宿泊事業法による民泊でも、所在地によって条例による制限があります。また、年間180日の営業日数上限があります。→ 事業規模と営業日数を考えて制度を選択することが重要です。
失敗例3 「資本金500万円」で経営・管理ビザを考える
これは旧制度を前提とした情報です。2025年10月16日以降の改正後は、3,000万円以上の事業財産、常勤職員、日本語能力、学歴・実務経験など、新しい基準を確認する必要があります。
失敗例4 旅館業の許可だけを行政書士に依頼する
外国人経営者の場合、旅館業だけでなく、会社設立+宿泊施設の許認可+在留資格を一体的に考える必要があります。
19.行政書士法人塩永事務所の外国人宿泊事業支援
行政書士法人塩永事務所では、外国人経営者による日本での宿泊事業開始について、複数の行政手続きを横断してサポートします。
主なサポート
① 事業計画の整理(ゲストハウス、ホステル、山小屋、貸別荘、一棟貸し、古民家宿、インバウンド向け宿泊施設など)
② 開業予定物件の事前調査(旅館業法、自治体条例、用途地域、建築基準法、消防法、周辺施設、既存建物の状況など)
③ 簡易宿所営業許可申請(保健所等との事前相談から申請書類作成、施設図面の確認、必要書類の整理、行政機関との調整、現地検査への対応まで)
④ 外国人経営者の「経営・管理」サポート(2025年10月16日施行の改正後基準を踏まえ、事業計画書、資金計画、事業所、常勤職員、日本語能力、申請人の学歴・職歴、事業の継続性・安定性などを総合的に整理)
⑤ 会社設立・日本進出支援(会社設立+許認可+在留資格を一体的に検討。飲食店、古物商、不動産、貿易、IT、観光サービスなど複数事業を組み合わせた進出も対応)20.外国人が日本で宿泊施設を開業するなら「物件購入前」が重要外国人経営者による宿泊施設開業では、許可申請そのものよりも、「その物件で本当に事業ができるのか」を先に確認することが重要です。特に、
物件契約 → 建築・消防調査 → 保健所相談 → 旅館業許可 → 会社・資金・雇用計画 → 「経営・管理」申請
という流れを一つの事業計画として設計することをおすすめします。
旅館業の許可は、単に書類を提出すれば取得できるものではありません。建物、設備、用途、消防、周辺環境、自治体条例などを総合的に確認する必要があります。
また、外国人経営者の場合は、旅館業の許可取得だけでなく、2025年10月16日施行の新しい「経営・管理」基準への適合性を開業前から検討することが極めて重要です。
21.まとめ|外国人のゲストハウス・山小屋開業は「許認可×ビザ」を同時に設計
外国人が日本でゲストハウス、山小屋、ホステル、貸別荘などを経営する場合、
① 物件調査
② 旅館業・民泊の制度選択
③ 建築・消防確認
④ 保健所への事前相談
⑤ 旅館業営業許可
⑥ 会社・資金・雇用体制
⑦ 在留資格「経営・管理」 を、それぞれ別々に考えるのではなく、一つの事業計画として設計することが重要です。特に2025年10月16日以降、「経営・管理」の許可基準は大幅に変更されています。
「資本金500万円があればよい」という旧制度の情報だけで計画を立てるのではなく、現在の基準を前提として、物件・資金・雇用・日本語能力・経営者の学歴や職歴などを総合的に確認する必要があります。
行政書士法人塩永事務所|外国人の日本進出をワンストップサポート行政書士法人塩永事務所では、熊本を拠点に、外国人・外国企業の日本進出を全国対応でサポートしています。
「日本でゲストハウスを経営したい」
「外国人でも旅館業を始められるのか知りたい」
「購入予定の古民家で簡易宿所を開業できるか確認したい」
「旅館業許可と経営・管理ビザをまとめて相談したい」
「外国企業として日本で宿泊事業を始めたい」 このようなご相談に対応しています。主な対応業務
外国人の日本進出支援、会社設立サポート、在留資格「経営・管理」、簡易宿所営業許可、旅館業許可、住宅宿泊事業(民泊)関連手続、飲食店営業許可、古物商許可、その他各種許認可、事業計画・行政手続の総合サポート
熊本を拠点に全国オンライン対応。
外国人経営者の方には、英語・中国語等での相談にも対応しています(事前予約制)。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
TEL:096-385-9002
E-mail:info@shionagaoffice.jp
全国対応|オンライン相談可能宿泊施設の開業を検討されている場合は、物件を契約・購入する前の段階でご相談ください。
旅館業許可だけでなく、建築・消防・会社設立・在留資格「経営・管理」まで含め、開業計画全体を確認することで、後から「許可が取れない」「ビザの要件を満たさない」といったリスクを抑えることにつながります。
