
外国人が日本で民泊事業を始めるには?
在留資格と住宅宿泊事業届出の手続きを行政書士が詳しく解説(2026年最新版)
訪日外国人観光客(インバウンド)の増加に伴い、日本国内での民泊事業(住宅宿泊事業)への関心が高まっています。外国人オーナーが日本で民泊ビジネスを始めるケースも増えていますが、日本人による開業とは異なり、「事業を行うための適切な在留資格(ビザ)」と「民泊制度に基づく許認可・届出手続き」の両面から慎重に準備を進める必要があります。
行政書士法人塩永事務所では、熊本県をはじめ九州全域で、外国人起業家・事業者様の各種許認可・在留資格申請を一貫してサポートしています。
本記事では、外国人が日本で民泊事業を立ち上げる際に必要な手続きや注意点について、実務のポイントを最新の制度に基づき詳しく解説します。
1. 外国人が民泊事業を始めるための2大要件外国人の方が日本で民泊事業を営む場合、大きく分けて2つの法律上の手続きをクリアしなければなりません。
- 在留資格(ビザ)の確保:日本で事業を営むための適切な在留資格を取得・保持すること
- 民泊の許認可(届出・許可):住宅宿泊事業法(民泊新法)等に基づく届出または旅館業法等の許可を完了させること
どちらか一方でも要件を満たしていない場合、事業を開始できないだけでなく、入管法違反(不法就労)や無許可営業として厳しく処罰されるおそれがあります。特に在留資格のない状態での経営活動は重大なリスクを伴います。
2. 必要となる在留資格(ビザ)について日本で民泊事業を経営・運営するためには、就労制限のない在留資格を保有しているか、ビジネス経営が認められた在留資格を保持している必要があります。就労制限のない在留資格(そのまま経営可能)以下の在留資格をお持ちの方は、事業内容の制限を受けないため、原則としてそのまま民泊事業を開始できます。
- 永住者
- 特別永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
経営活動が認められる在留資格(新規取得・変更が必要)上記の身分系在留資格をお持ちでない場合、一般的には「経営・管理」の在留資格を取得(または変更)する必要があります。
2025年10月16日施行の改正により、「経営・管理」ビザの要件は大幅に厳格化されています。 従来の「資本金500万円以上または常勤職員2名以上」という基準は廃止され、新規申請では以下の要件をすべて満たす必要があります(既存保持者には2028年10月頃までの経過措置がありますが、更新時に進捗が求められます)。
「経営・管理」ビザの主な要件(2025年10月16日以降の新規申請)
- 事業の用に供される財産の総額(資本金または出資総額など)が3,000万円以上
- 常勤職員1名以上の雇用(日本人、特別永住者、または別表第二の在留資格者(永住者・定住者・配偶者等)に限定。技人国や特定技能などでは不可)
- 申請者または常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力(CEFR B2相当、JLPT N2程度など)を有すること
- 経営・管理に関する3年以上の実務経験、または関連分野の修士以上相当の学位
- 具体的かつ実現可能性の高い事業計画書(公認会計士・中小企業診断士・税理士などの専門家による確認が必要)
- 日本国内に実態のある独立した事業所(オフィス)を確保していること(自宅兼用やバーチャルオフィスは原則認められない)
注意点
- 「短期滞在」や「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザのまま自身で民泊事業を営むことは認められません。
- 海外に在住したまま日本で民泊物件を保有・経営する場合は、日本国内に居住する共同経営者や代理人を確保するなどのスキーム検討が必要です。単に物件を保有して管理会社に丸投げするだけでは、「経営・管理」ビザの取得は極めて困難です。
- 民泊新法(年間180日制限)のみでは事業の安定性・継続性が認められにくい傾向があり、旅館業許可や特区民泊の方がビザ審査上有利な場合があります。
3. 民泊の制度(住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊)の選択日本で民泊を運営する方法には、主に3つの制度枠組みがあります。
事業形態・ターゲット・物件の立地に合わせて適切な選択を行います。
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制度区分
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年間営業日数
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主な特徴・注意点
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① 住宅宿泊事業(民泊新法)
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年間180日以内
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一般的な民泊の選択肢。都道府県・保健所への「届出」で開始可能。営業日数制限に注意。比較的手続きが簡易。
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② 旅館業(簡易宿所営業など)
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制限なし(365日)
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建築基準法・消防法・用途地域の要件が厳しいが、通年営業が可能。経営・管理ビザ取得には有利な場合が多い。
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③ 特区民泊(国家戦略特区)
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制限なし(最低滞在日数あり)
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特区に指定された自治体(例:一部地域)のみ適用。滞在日数制限(例:2泊3日以上)あり。
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多くの新規参入事業者は「① 住宅宿泊事業(民泊新法)」の届出を選択しますが、経営・管理ビザを前提とする場合は、通年営業が可能な②や③を検討するケースが増えています。
4. 住宅宿泊事業(民泊新法)の届出手続きの流れ住宅宿泊事業(民泊新法)の届出を行う場合の具体的なステップは以下の通りです。
- 物件・立地要件の確認
- 用途地域・自治体条例の確認:住居専用地域など、自治体の条例によって営業可能な期間やエリアが制限されている場合があります。
- マンション管理規約の確認:分譲マンション等の場合、管理規約で「民泊禁止」と規定されていないことが必須です(書面での確認を推奨)。
- 賃貸物件の場合:賃貸人(オーナー)から「民泊(転貸)利用の承諾書」を取得する必要があります。
- 住宅としての使用実態が求められます(新築直後の民泊専用利用などは不適格となる可能性)。
- 設備要件・消防設備等の整備
- 住宅要件の確認:「キッチン・バスルーム・トイレ・洗面設備」の4点設備が揃っている必要があります。
- 消防設備の設置:消火器、自動火災報知設備、誘導灯などの設置について、管轄の消防署と協議し「消防法令適合通知書」を取得します。
- 管理形態の決定(家主居住型 vs 家主不在型)
- オーナーが届出住宅に同居しない「家主不在型」、または居室数が5を超える場合などでは、国土交通省に登録された**「住宅宿泊管理業者」への管理委託**が法律上義務付けられています。
- 例外として、生活の本拠が同一建物・同一敷地・隣接で、居室5以下で生活環境の悪化を把握できる場合などは委託不要となる余地があります。
- 必要書類の収集・届出書の作成
- 誓約書、定款・登記事項証明書(法人の場合)、物件の平面図、消防法令適合通知書、欠格事由に該当しない旨の書類などを準備します。
- 外国籍の方の場合、本国の公的機関が発行した証明書類(身分証明書・欠格事由非該当の証明書等)の添付および正確な日本語訳が必要となる場合があります。書類は原則日本語または英語(英語の場合は日本語訳添付)。
- 民泊制度運営システムからの電子届出
- 原則として「民泊制度運営システム」を通じて都道府県(または保健所設置市)へ届出を行います。不備がなければ「届出番号」が発行され、標識を掲示して営業を開始できます。
5. 外国人事業者が特に注意すべき実務上のポイント
- 本国書類の取得と日本語訳:届出やビザ申請において、母国から取り寄せる公的書類が必要になるケースがあります。これらにはすべて正確な日本語訳を添付しなければなりません。
- 緊急時対応・多言語での標識・案内整備:宿泊客(特に外国人観光客)に対する避難経路の案内、設備使用方法、交通手段、災害時連絡先などの外国語による案内が義務付けられています。近隣住民からの苦情対応窓口の設置も必要です。
- 継続的な各種報告:民泊新法では、営業開始後も2か月ごとに「宿泊者数」「宿泊日数」などの定期報告が義務付けられています(偶数月の15日まで)。怠ると指導やペナルティの対象となります。
- 本人の実質的関与:経営・管理ビザの場合、清掃や鍵の受け渡しなどを完全に丸投げするだけでは「経営・管理に従事している」と認められにくい点に注意が必要です。
6. 行政書士法人塩永事務所の民泊立ち上げサポート外国人の方の民泊事業参入には、「ビザの手続き」と「許認可の手続き」を並行して進める専門知識が不可欠です。特に2025年改正後の経営・管理ビザはハードルが高くなっています。行政書士法人塩永事務所では、以下のようなトータルサポートを提供しております。
- 「経営・管理」ビザ等の取得・変更手続き(新要件対応)
- 物件の要件確認(用途地域・消防法・建築基準法の事前確認)
- 消防署との事前協議・消防法令適合通知書の交付申請
- 住宅宿泊事業(民泊新法)届出・旅館業許可申請の代行
- 信頼できる住宅宿泊管理業者様のご紹介・連携
熊本県内はもちろん、福岡・佐賀・長崎・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の九州全域の事業者様からのご相談に対応しております。オンライン面談にも全面対応しておりますので、遠方の方もお気軽にお問い合わせください。お問い合わせ・ご相談窓口日本での民泊事業立ち上げをご検討中の外国人オーナー様、法人様は、行政書士法人塩永事務所へご相談ください。
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