
「TinderやBumbleのようなスワイプ型サービスを日本で展開したい」
「掲示板・プロフィール・メッセージ機能を備えた出会い系サイトを運営したい」このようなサービスを日本国内で運営する場合、サービスの仕組みによっては**「インターネット異性紹介事業」**に該当し、公安委員会への届出が必要となります。インターネット異性紹介事業は、単に「届出書を提出すればよい」というものではありません。届出に先立って、
- サービスの仕組みが法律上の「インターネット異性紹介事業」に該当するか
- 事業開始前に必要な届出・添付書類
- 18歳未満の児童を利用させないための年齢確認
- 禁止誘引行為への対応
- プロフィール・掲示板等の監視体制
- 違反投稿の削除体制
- サービスの利用規約・プライバシーポリシー
- 個人情報・本人確認情報の管理
- 届出後の変更・廃止手続
まで含めて準備する必要があります。行政書士法人塩永事務所では、熊本を拠点に、マッチングアプリ・Webサービス・オンラインプラットフォーム等の事業者について、インターネット異性紹介事業の該当性確認から届出書類の作成・警察署との事前協議・届出までサポートしています。
1.インターネット異性紹介事業とは?
インターネット異性紹介事業とは、一般に「出会い系サイト」と呼ばれるサービスを法律上定義したものです。根拠となる法律は、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(いわゆる出会い系サイト規制法)です。この法律の目的は、インターネット上の出会い系サービスを利用して児童が犯罪被害に遭うことを防止し、児童の健全な育成を図ることにあります。法律上の「児童」とは、18歳未満の者をいいます。警察庁の解釈基準等によれば、以下の4つの要件をすべて満たすサービスが、原則としてインターネット異性紹介事業に該当します。
① 面識のない異性との交際を希望する者を対象としている
サービスの利用者が、面識のない異性との交際を希望していることが前提です。
(例:恋人を探す、異性の交際相手を探す、デート相手を探す、婚活・恋活をするなどの目的のサービス)
② 異性交際に関する情報をインターネット上で公衆に閲覧させる
利用者のプロフィールや投稿など、異性交際に関する情報をインターネット上に掲載し、公衆が閲覧できる仕組みがあること。
③ 掲載された情報を見た利用者同士が相互に連絡できる
プロフィールや掲示板等を見た利用者が、メッセージ・電子メール・チャットその他の電気通信によって相互に連絡できる仕組みがあること。
④ 反復継続してサービスを提供する
一時的なサービスではなく、有償・無償を問わず反復継続して提供する事業であること。単純に「男女が交流できるWebサービス」というだけではなく、法律上の4要件を総合的に確認する必要があります。
2.マッチングアプリはインターネット異性紹介事業に該当する?結論として、マッチングアプリだから必ず届出が必要、あるいは不要ということではありません。
サービスの具体的な機能・利用目的・利用規約・広告内容・ユーザー間の連絡方法などを確認する必要があります。
該当する可能性が高い例
- 恋活アプリ、婚活アプリ、恋人探しアプリ
- 出会い系サイト、異性との交際を目的とするマッチングサイト
- プロフィールを公開して異性を検索できるサービス
- 掲示板から異性にメッセージを送れるサービス
- スワイプによって異性を選び、マッチング後にメッセージ交換できるサービス
一方、サービスの目的や仕組みによっては4要件を満たさないケースもあります。
「SNSだから届出不要」「マッチングアプリだから届出必要」と単純に判断するのは危険です。
3.Tinder・Bumble型のスワイプアプリは要注意近年増えている「左右にスワイプして相手を選択する」「双方がLIKEするとマッチングする」「マッチング後にチャットできる」形式のマッチングアプリについては、単に「SNS」と考えるのではなく、サービス全体の仕組みを確認する必要があります。
特に、プロフィール公開 → 異性検索 → マッチング → 相互メッセージ → 実際の交際という構造になっている場合には、該当する可能性が高まります。掲示板、プロフィール検索、スワイプ、マッチング、DM、チャット、位置情報による異性検索、年齢・性別による検索、「恋人募集」等の投稿などの機能が複数組み合わされている場合は、サービス全体を見て判断することが重要です。警察庁の解釈基準でも、事業者が複数の呼称・URLを利用していても、同一の主体が行うインターネット異性紹介事業については、全体として一つの事業として扱う考え方が示されています。
4.届出は「許可」ではなく「届出」インターネット異性紹介事業は、一般的な営業許可制度とは異なり、事業開始前の届出制度です。したがって、「公安委員会から営業許可を取得してから事業を開始する」という制度ではありません。ただし、届出をすれば自由に運営できるという意味でもありません。
届出後は、法律に基づき、
- 児童の利用防止
- 児童でないことの確認
- 禁止誘引行為の防止
- 禁止誘引行為に係る書込みの削除
- 利用者への必要な表示
- その他の法定義務
を遵守する必要があります。警察庁も、届出だけでなく、児童でないことの確認や禁止誘引行為に係る書き込みの削除等の義務があると説明しています。
5.インターネット異性紹介事業の届出先事業開始届出書は、事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する警察署長を経由して、都道府県公安委員会に届け出ることになります。事務所が複数ある場合でも、原則として事業活動の中枢となる「本拠」の所在地を基準にします。また、「事務所」といえる場所がない場合には、事業者の住居がこれに代わる場合があります。
6.事業開始届出はいつまでにする?
原則として事業開始日の前日までです。
「アプリを公開してから届出をすればよい」という制度ではありません。開発完了後に慌てて届出を準備するのではなく、サービス設計段階で警察への事前相談・届出準備を進めることをおすすめします。特に新規アプリの場合、URL・ドメイン・事務所・サービス名称・利用規約・年齢確認方法・メッセージ機能・掲示板機能・禁止投稿の削除システムなどを早い段階から整理しておく必要があります。
7.主な必要書類(個人事業者の場合)個人事業者の場合、主な書類は以下のとおりです。
- 事業開始届出書
- 住民票の写し(本籍等の記載要件に注意)
- 市区町村発行の身分証明書
- 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
- ウェブサイトのURL(送信元識別符号)を使用する権限があることを疎明する資料
8.法人の場合の必要書類法人で運営する場合は、個人の場合より準備書類が増えます。
- 事業開始届出書
- 法人の定款の謄本
- 登記事項証明書
- 役員全員(監査役を含む)の住民票の写し
- 役員全員の身分証明書
- 役員全員の誓約書
- URLを使用する権限があることを疎明する資料
法人の場合、代表取締役だけではなく監査役を含む役員全員について書類が必要となる場合があるため、役員構成を確認した上で準備することが重要です。
9.「URLを使用する権限」の証明も重要単にURLを記載すればよいというものではなく、そのURLを事業者が使用する権限があることを証明する資料が必要です。
(例:ドメイン取得に関する資料、サーバー契約書、URLの割当てを受けたことが分かる資料、プロバイダ等からの通知書、レンタル掲示板等に関する契約資料など)
10.最重要ポイント「18歳未満を利用させない仕組み」単なる届出よりも、児童を利用させない仕組みの構築が重要です。サービス開始前に「利用者が18歳未満ではないことをどのように確認するのか」を設計しておく必要があります。11.年齢確認の方法警察庁の施行規則では、一定の場合について以下のような方法によって児童でないことを確認する仕組みが定められています。
代表的な方法として、
① 運転免許証等による確認
運転免許証その他の年齢・生年月日を証明する書面について、必要な部分の提示・写しの送付・画像送信を受ける方法。
② マイナンバーカードを利用した確認
マイナンバーカードを利用して、生年月日に関する情報の送信を受けて確認する方法。
③ クレジットカード等による方法
クレジットカードを使用する方法など、児童が通常利用できない方法によって料金を支払う旨の同意を受ける方法。ただし、サービスの機能によって適用できる年齢確認方法が異なるため、「クレジットカード決済を導入すればすべて解決する」と考えるのは危険です。
12.年齢確認を外部委託する場合年齢確認や識別符号の付与業務を外部事業者に委託する場合には、委託先についても一定の要件・書類確認が必要となります。
(個人の場合:住民票・身分証明書・誓約書・医師の診断書等。法人の場合:定款・登記事項証明書・役員等に関する書類・業務従事者に関する書類など)外部の本人確認サービスを利用する場合も、単にITシステムとして導入するだけではなく、法令上の年齢確認方法として適切かを確認することが重要です。
13.禁止誘引行為への対応児童を相手方とする性交等を求める書き込みや、児童を相手方とする金品を目的とした異性交際を求める書き込みなど、法律上禁止される「禁止誘引行為」が問題となります。事業者には適切に対応する義務があります。投稿監視・通報機能・禁止ワード対策・AI・自動検知・人による確認・投稿削除・アカウント停止・ログ保存・警察等への適切な対応などを含む運営体制を検討する必要があります。
14.利用規約だけ作ればよいわけではありません「利用規約を作ったから大丈夫」という考え方は危険です。重要なのは、利用規約と実際のシステム・運用が一致していることです。利用規約で「18歳未満は利用できません」と記載していても、実際のシステム上、生年月日を自己申告するだけ・年齢確認を回避できる・年齢確認前でもプロフィール検索やメッセージができるという構造になっていれば、法令上の問題が生じる可能性があります。
15.広告・宣伝の内容にも注意サービスの実態だけではなく、広告・宣伝の内容も重要です。
「恋人探し」「異性との出会い」「今夜会える相手を探そう」など、異性交際を強く打ち出すサービスでは、該当性が問題となりやすくなります。広告媒体、LP、SNS広告、アプリストアの説明文等も含めて確認することをおすすめします。
16.海外法人が日本向けマッチングアプリを運営する場合「会社が海外法人だから日本の届出は不要」とは限りません。日本国内を本拠として事業を行う場合には、事業拠点や運営主体、サービスの提供形態等を踏まえて、日本法上の規制を検討する必要があります。特に、海外法人・日本法人・日本国内の運営会社・開発会社・年齢確認会社・決済会社などが複数存在する場合は、誰が「事業者」なのかを明確にすることが重要です。1
7.届出後も継続的な管理が必要届出をして終わりではありません。事業開始後に会社名・代表者・役員・事務所・電話番号・メールアドレス・サービス名称・URL・年齢確認方法・外部委託先などを変更した場合、または事業を廃止した場合には、変更・廃止等に関する届出が必要となる場合があります(原則として変更・廃止の日から14日以内。登記事項証明書を添付する場合は20日以内)。届出内容を社内で管理し、変更が発生した場合には速やかに法務担当者が確認する体制を整えておくことが重要です。
18.無届で運営するとどうなる?「届出を忘れていた」「まずアプリを公開して、利用者が増えてから届出をすればよい」という対応は避けるべきです。インターネット異性紹介事業は、児童の犯罪被害防止を目的とする規制法の対象です。事業者には届出義務だけでなく、年齢確認、禁止誘引行為への対応等の法的義務があります。また、警察による指示や事業停止命令等の対象となる場合もあります。警察庁は2026年4月27日付で、インターネット異性紹介事業に関する最新の解釈基準を公表しています。また、2025年6月28日からは、関係法令の改正に伴い、一定の罪が事業停止事由に追加されています。
19.届出前に行政書士へ相談した方がよいケース次のようなサービスは、特に事前相談をおすすめします。
- マッチングアプリ(Tinder型・Bumble型・スワイプ型)
- 恋活アプリ・婚活アプリ・デートアプリ
- 出会い系サイト・異性交際掲示板・恋人募集サイト
- 異性交流サイト・プロフィール検索サイト
- SNS・コミュニティ(異性との交流を主要目的とするもの)
- 掲示板+DM機能を持つサービス
- 海外事業者が日本向けに運営するアプリ
20.行政書士法人塩永事務所のサポート内容単なる書類作成だけではなく、サービス設計段階から法令適合性を確認する支援を行っています。① サービス内容のヒアリング(目的・利用者・マッチング方法・プロフィール・掲示板・DM・チャット・課金・広告・年齢確認方法など)
② インターネット異性紹介事業への該当性確認
③ 必要書類のリストアップ
④ 事業開始届出書の作成
⑤ 誓約書等の作成
⑥ URL使用権限資料の確認
⑦ 年齢確認方法の法令適合性確認
⑧ 警察署との事前相談・届出サポート
21.マッチングアプリは「開発前」の相談が重要です特に新規アプリの場合、完成してから相談するのではなく、システム開発前または開発途中で相談することをおすすめします。「年齢確認機能を後から追加する」「掲示板機能を変更する」「メッセージ機能を作り直す」となると、開発費用やスケジュールに大きな影響が出るためです。サービス企画 → 法令確認 → 必要な機能の整理 → 書類準備 → 警察への届出 → 運営開始という流れでサポートします。
22.インターネット異性紹介事業の届出|手続の流れSTEP 1 サービス内容を確認
STEP 2 法律上の該当性を確認
STEP 3 運営主体・事務所を確認
STEP 4 年齢確認方法を決定
STEP 5 必要書類を収集
STEP 6 届出書類を作成
STEP 7 管轄警察署へ事前相談
STEP 8 事業開始届出書を提出(事業開始日の前日まで)
STEP 9 事業開始(法令上の義務を遵守して運営)
23.よくある質問
Q1.マッチングアプリを作るだけなら届出は不要ですか?
実際に事業として運営する場合には、サービス内容を確認する必要があります。
Q2.Tinderのようなスワイプ型アプリは対象になりますか?
サービスの具体的な仕組みによります。
異性のプロフィールを閲覧 → LIKE → 相互マッチング → メッセージという構造の場合は、慎重に検討する必要があります。
Q3.無料アプリでも届出は必要ですか?
はい。有償・無償を問わず、反復継続してサービスを提供することが要件の一つです。
Q4.海外法人が運営していても対象になりますか?
海外法人だから日本の規制が当然に適用されない、とはいえません。日本向けサービスについては、運営主体・事業拠点・サービス提供形態等を踏まえて検討する必要があります。
Q5.SNS機能があるだけでも届出が必要ですか?
SNSという名称だけでは判断できません。実際のサービスの目的・機能・利用方法が重要です。
Q6.届出に手数料はかかりますか?
法定の届出手数料はありません。行政書士に依頼する場合は、別途報酬が発生します。
Q7.法人設立と同時に届出できますか?
可能ですが、法人情報・事務所・URL・サービス内容・役員関係書類等を準備する必要があります。事業開始までのスケジュールを一体的に設計することをおすすめします。
24.2026年の重要ポイント2026年は、警察庁の解釈基準も更新されています(2026年4月27日付の通達)。また、児童の犯罪被害防止をめぐる警察の対応は、SNSやオンラインサービスを含めて継続的に強化されています。これからマッチングアプリを立ち上げる事業者は、「届出書を作る」だけではなく、「サービスそのものを法令に適合させる」という視点が重要です。
25.熊本・全国対応|インターネット異性紹介事業の届出なら行政書士法人塩永事務所へ行政書士法人塩永事務所は、熊本市中央区を拠点として、インターネット異性紹介事業の届出をはじめ、各種許認可・届出・法人設立・外国人関連手続等をサポートしています。
マッチングアプリ・出会い系サイト・恋活・婚活アプリ・Tinder・Bumble型アプリ・掲示板+DM型サービス・SNS型コミュニティ・海外発の日本向けアプリ・新規Webサービス・スタートアップ企業などについて、サービス設計段階からの法務確認に対応します。
「このアプリはインターネット異性紹介事業に該当する?」「届出は必要?」「18歳未満の利用をどう防止すればいい?」「海外法人でも届出が必要?」「警察に何を提出すればいい?」「すでにアプリを開発しているが、届出に問題はない?」といったご相談も可能です。
行政書士法人塩永事務所
認定経営革新等支援機関
熊本市中央区水前寺1-9-6
JR新水前寺駅 徒歩3分
電話:096-385-9002
メール:info@shionagaoffice.jp
平日 9:00~18:00(土日祝は事前予約制)
熊本を拠点に全国オンライン対応。
マッチングアプリを「作ってから」ではなく、「作る前」にご相談ください。
まとめ
インターネット異性紹介事業の届出は、単なる書類提出ではありません。特に現在のマッチングアプリは、プロフィール → 検索・スワイプ → マッチング → メッセージ → 実際の出会いという仕組みを採用しているため、サービス設計そのものが法令上の判断に関係します。
また、届出後も、18歳未満の利用防止・年齢確認・禁止誘引行為への対応・投稿監視・削除・利用規約・個人情報管理・変更届・廃止届など、継続的な法令遵守が必要です。
「自分のアプリは届出が必要なのか?」という段階から、行政書士法人塩永事務所へご相談ください。事業内容・アプリ仕様・運営会社・年齢確認方法等を確認したうえで、必要な手続を整理します。
【参考:警察庁公式情報】
- 警察庁「出会い系サイト規制法」関連ページ
- 警察庁「出会い系サイト規制法施行規則」
- 警察庁「インターネット異性紹介事業の届出等の様式」
