
農振除外とは?
手続きの流れ・許可のポイント・注意点を熊本の行政書士が詳しく解説
行政書士法人塩永事務所(熊本市)
はじめに
「所有している農地に住宅を建築したい」
「農地を資材置場や駐車場として利用したい」
「事業用地として活用したい」
このようなご相談を受けた際、まず確認しなければならないのが、その農地が**農業振興地域内の農用地区域(いわゆる『青地』)**に指定されているかどうかです。
農用地区域に指定された農地については、原則として農地以外の用途に利用することができません。
そのため、住宅建築や事業用地への転用を行う場合には、まず「農業振興地域整備計画」の変更手続き、いわゆる**農振除外(農用地区域からの除外)**を行う必要があります。
農振除外は、単なる届出ではなく、市町村による厳格な審査を経る行政手続きであり、要件を満たさなければ認められません。
本稿では、農振除外の制度概要から手続きの流れ、許可のポイント、実務上の注意点まで詳しく解説いたします。
農振除外とは
農振除外とは、
農業振興地域内の農用地区域に指定されている土地を、その区域から除外する手続き
をいいます。
農業振興地域制度は、「農業振興地域の整備に関する法律(農振法)」に基づき、優良農地を確保し農業の振興を図ることを目的として設けられています。
そのため、農用地区域に指定された農地は、原則として農業以外の用途への利用が制限されています。
しかし、
- 自己用住宅の建築
- 分家住宅の建築
- 店舗・事務所建設
- 駐車場整備
- 資材置場設置
- 太陽光発電設備設置
- 工場建設
などの必要性が認められる場合には、農用地区域から除外されることがあります。
農振除外が必要となるケース
次のような場合には農振除外が必要となる可能性があります。
住宅建築
- 自己用住宅
- 分家住宅
- 農家住宅
事業用地
- 店舗
- 事務所
- 倉庫
- 工場
駐車場・資材置場
- 月極駐車場
- 従業員駐車場
- 建設業資材置場
再生可能エネルギー施設
- 太陽光発電設備
- 蓄電池設備
公共事業
- 道路
- 公園
- 公共施設
もっとも、単に「利用したい」という理由だけでは認められません。
法律上の要件を満たす必要があります。
農振除外の6要件
農振除外の審査において最も重要なのが、農振法第13条第2項に規定される要件です。
実務上は「6要件」と呼ばれています。
① 農用地区域以外に代替地がないこと
最も重要な要件です。
除外申請地以外に適当な土地がある場合は認められません。
行政庁は、
- 周辺土地の利用状況
- 所有状況
- 都市計画上の位置付け
などを確認します。
「自宅の隣だから便利」
という理由だけでは足りません。
なぜその土地でなければならないのかを合理的に説明する必要があります。
② 農業上の利用に支障を及ぼさないこと
周辺農地への悪影響がないことが求められます。
例えば、
- 日照阻害
- 排水障害
- 農道利用への支障
などがある場合には認められない可能性があります。
③ 農地の集団性を損なわないこと
優良農地がまとまって存在している区域の中心部を除外することは原則困難です。
一般的には、
- 農地の縁辺部
- 集落周辺部
の方が認められやすい傾向があります。
④ 土地改良施設の機能に支障を及ぼさないこと
用水路や排水路などの土地改良施設に悪影響がないことが必要です。
⑤ 土地改良事業完了後一定期間を経過していること
国や県の補助事業による土地改良事業が実施された農地については、一定期間除外できない場合があります。
⑥ 除外後の利用計画に確実性があること
利用計画が具体的であることが必要です。
例えば、
- 建築計画
- 事業計画
- 資金計画
などが不十分な場合には認められません。
農振除外手続きの流れ
第1段階 事前調査
まず対象農地について、
- 農振地域か
- 農用地区域か
- 農地区分
- 農地転用の見込み
などを調査します。
実務上、この事前調査が最も重要です。
農振除外ができても、農地転用許可が取得できなければ目的を達成できないためです。
第2段階 行政との事前協議
市町村担当課と事前協議を行います。
この段階で、
- 除外可能性
- 必要資料
- スケジュール
を確認します。
自治体によって運用が異なるため、事前相談は不可欠です。
第3段階 申請書類の作成
主な添付書類は、
- 申出書
- 位置図
- 公図
- 登記事項証明書
- 土地利用計画図
- 事業計画書
- 排水計画図
- 現況写真
などです。
案件によってはさらに追加資料が必要となります。
第4段階 農振除外申出
市町村へ申出を行います。
多くの自治体では受付期間が定められており、
年に1回から数回程度しか受付を行わないケースもあります。
そのため、早めの準備が重要です。
第5段階 関係機関との協議
市町村内部だけでなく、
- 農業委員会
- 土地改良区
- 県
などとの協議が行われます。
第6段階 農業振興地域整備計画変更
審査を経て農振除外が認められると、農業振興地域整備計画が変更されます。
この段階で初めて「青地」から除外されます。
農振除外後に必要な農地転用
実務上よくある誤解ですが、
農振除外が認められても直ちに建築や開発ができるわけではありません。
農振除外はあくまで第一段階です。
その後、
- 農地法第4条許可
- 農地法第5条許可
- 開発許可
- 建築確認
などの手続きが必要となります。
特に住宅建築や事業用施設建設の場合は、農振除外と農地転用を一体的に検討する必要があります。
農振除外でよくある不許可事例
実務上、次のようなケースは認められない可能性があります。
- 代替地の検討が不十分
- 利用計画が曖昧
- 資金計画が不明確
- 周辺農地への影響が大きい
- 農地転用許可の見込みがない
- 土地改良事業との関係で制限がある
事前調査不足が不許可の原因となるケースは少なくありません。
行政書士法人塩永事務所の農振除外サポート
農振除外は、単なる書類作成業務ではありません。
関係法令を理解した上で、
- 農振法
- 農地法
- 都市計画法
- 建築基準法
などを総合的に検討する必要があります。
行政書士法人塩永事務所では、
- 農振除外申請
- 農地転用許可申請
- 太陽光発電用地手続き
- 資材置場・駐車場整備
- 開発許可申請
- 法人による事業用地取得支援
など、土地利用に関する各種手続きに対応しております。
事前調査から行政協議、申請書作成まで一貫してサポートいたします。
まとめ
農振除外は、農用地区域内農地を住宅用地や事業用地として活用するための重要な手続きです。
しかし、農振除外には厳格な要件があり、農地転用や開発許可との関係も十分に検討しなければなりません。
特に熊本県内では、農地が広く農業振興地域に指定されているため、事前調査と行政との協議が極めて重要となります。
行政書士法人塩永事務所では、農振除外から農地転用、開発許可まで総合的にサポートしております。
農地活用や土地利用変更をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
〒862-0950
熊本市中央区水前寺一丁目9番6号
TEL:096-385-9002
農振除外、農地転用、開発許可、土地利用に関するご相談を承っております。
