
太陽光発電の名義変更が必要なケースとは?
主な手続きの種類と方法
太陽光発電設備の売却・相続・贈与などがあった場合、旧所有者から新しい所有者への名
変更の手続きが必要となります。手順を知らずに放置すると、売電収入の権利を失うリスク
もあるため、正確な知識を持っておくことが大切です。
この記事では、名義変更が必要なケースや各機関での手続き、注意点について解説します。
h2:太陽光発電の名義変更が必要な5つのケース
h2:太陽光発電における必要な名義変更
h3:①国からの事業認定に関する名義変更
h3:②電気を買い取る電力会社との契約の名義変更
h3:③土地や建物の登記に関する名義変更
h2:太陽光発電における主な名義変更の手続き方法
h3:事業計画認定の手続き
h4:1.設備IDを準備する
h4:2.ログインID・パスワードを取得する
h4:3.名義変更申請を行う
h3:売電契約の手続き
h3:土地登記簿の手続き
h2:太陽光発電に関連してそのほかに名義変更が発生するもの
h3:メーカー保証
h3:損害保険
h3:メンテナンス契約
h3:償却資産
h3:補助金
h2:太陽光発電の名義変更に伴う注意点
h3:手続きには時間がかかる場合がある
h3:売電契約は新規ではなく継続契約にする
h2:まとめ
h2:太陽光発電の名義変更が必要な5つのケース
太陽光発電設備を手放す、あるいは新しく取得する場合、名義変更の手続きが必要です。
具体的には、以下の場面が該当します。
太陽光発電の名義変更が必要な5つのケース
● 中古住宅を太陽光発電設備付きで購入した
● 親族から設備を相続により受け継いだ
● 生前贈与によって所有権を譲り受けた
● 中古の太陽光発電設備のみを売買契約で取得した
● 離婚に伴う財産分与で所有者が変わった
これは、車を個人売買したときに名義変更を行わないと自分の車として認められないことと同じ構図です。太陽光発電の「売電収入」や「法的な権利」を新しい所有者のものにするためには、名義変更の手続きが必須となります。
なお、名義変更の手続きは、基本的に新しい所有者(あなた)となる方が中心となって動き、旧所有者が承諾や書類提供を行う形で進めます。
h2:太陽光発電における必要な名義変更
太陽光発電の名義変更と一口に言っても、「1. 国」「2. 電力会社」「3. 法務局」の3つに対して個別の手続きが必要です。それぞれの内容を正確に把握したうえで、漏れなく対応することが求められます。
h3:①国からの事業認定に関する名義変更
国への手続きとして、FIT制度(固定価格買取制度)に基づく「事業計画認定」の名義変更
が求められます。
FIT制度とは、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーで発電した電力を、一定期間一定
価格で電力会社に買い取ってもらえる制度です。この制度の適用を受けるために必要な認定
が、事業計画認定です。
事業計画認定の名義が旧所有者のままだと、売電の権利そのものが失効するリスクも生じま
す。所有者が変わった際は、名義変更の手続きを速やかに行いましょう。
h3:②電気を買い取る電力会社との契約の名義変更
発電した電気を買い取ってもらう電力会社との間で、契約者名と振込先口座情報を変更する手続きが必要です。これは「電力受給契約」の名義変更に当たります。
この手続きを失念すると、売電収入が以前の所有者の口座に振り込まれ続ける可能性があります。旧所有者との返金交渉をはじめとする金銭的なトラブルにも直結するため、優先度の高い手続きとして早めに対応することが欠かせません。
h3:③土地や建物の登記に関する名義変更
太陽光発電システムが設置された土地や建物の所有者名義を、法務局にて変更する手続きが発生します。設備の取得原因が売買・相続・贈与のいずれであっても、実態に合った登記への更新が必要です。
また、2024年4月からは不動産の相続登記が義務化されました。相続を原因とする名義変更
を怠ると、10万円以下の過料が科される場合もあるため、相続のケースでは特に迅速な対
応が求められます。
h2:太陽光発電における主な名義変更の手続き方法
前述した事業計画認定、売電契約、土地登記簿の名義変更には、それぞれ異なる窓口・書類・手順が定められています。
ここでは、各手続きの流れを順に解説します。
h3:事業計画認定の手続き
事業計画認定の名義変更は、「再生エネルギー電子申請ページ」を通じてオンラインで行います。手続きの大まかな流れとしては、設備IDの確認・ログイン情報の取得・申請の実施という3段階に分かれます。
h4:1.設備IDを準備する
まずは、太陽光発電の設備の設備IDを準備します。
設備IDとは、太陽光発電の設備を識別するためのIDで、システム一つひとつに割り当てられた「マイナンバー」のようなものです。事業計画認定を受ける際に各設備に付与されます。
契約中の電力会社へ連絡すると、設備IDが記載された「電力受給契約のお知らせ」を郵送してもらえます。また、設備の旧所有者が事業計画認定の「認定通知書」を保管している場合は、そちらを確認する方法もあります。
h4:2.ログインID・パスワードを取得する
次に、名義変更の手続きを行う「再生エネルギー電子申請ページ」へのログインID・パスワードを取得します。
同申請ページ内の「ログインID・パスワード照会手続」から設備IDを入力して手続きを進め
ましょう。
この際、照会情報として以下の書類が必要です。旧所有者との関係性や法人個人区分などによって、必要な書類は異なります。
ログインID・パスワードの照会手続における必要書類
画像引用元:再生エネルギー電子申請「操作マニュアル【ログインID・パスワード照会手続】」
出典:再生エネルギー電子申請「操作マニュアル【ログインID・パスワード照会手続】」
h4:3.名義変更申請を行う
最後に、再生エネルギー電子申請ページにログインして名義変更申請を行います。
この際、どのような理由で名義変更を行うかによって、必要な手続きの種類と添付書類が異なります。
必要な手続きと添付書類の例
名義変更の理由 手続きの種類 添付書類
事業譲渡 変更認定 1.譲渡契約書 又は 譲渡証明書
※譲渡契約書において事業の譲渡に停止条件が設け
られている場合は、その成就が確認できる資料の提出も必要。
2.(法人の場合)双方の履歴事項全部証明書
(個人の場合)双方の住民票の写し、住民票記載事項証明書又は戸籍謄(抄)本のいずれか
3.契約当事者双方の印鑑証明書
4.土地の取得を証する書類等(土地登記簿謄本、不動産売買/賃貸借契約書等)
5.裁判所による破産管財人証明書(破産による譲渡の場合のみ)
6.事業実施体制図
7.関係法令手続状況報告書
相続 事後変更届出 1.被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本(附票
を含む、附票がない場合は住民票の除票でも可。)
2.法定相続人全員の戸籍謄本
3.法定相続人全員の印鑑証明書
4.遺産分割協議書又は相続人全員の同意書
5.土地の取得を証する書類等
なお、法定相続情報(法務局発行)がある場合は、戸除籍謄本・戸籍謄本の代用として利用
できます。
出典:再生エネルギー電子申請「【事後変更届出】太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス」
h3:売電契約の手続き
契約中の電力会社に対して、電力受給契約の名義変更を申し出ます。
手続きの流れや必要書類は電力会社によって異なるため、カスタマーセンターに電話で問い合わせましょう。一般的に必要となる書類の例は以下のとおりです。
必要書類の一例
● 口座振替依頼書
● 電力受給契約申込書(低圧)
● 太陽光発電システムの設置住所を確認できる書類 など
電力会社によっては郵送対応のみの場合もあります。手続き完了までのスケジュールを見越して早めに連絡を取ることが大切です。
h3:土地登記簿の手続き
土地登記簿の名義変更は、管轄の法務局で行います。手続きに必要な書類は名義変更の理由によって異なるため、以下の表を参考に準備しておきましょう。
変更理由ごとに必要な書類
変更理由 必要な書類
事業譲渡 贈与者 印鑑証明書、登記済権利証、固定資産評価証明書、登記簿謄本
受贈者 住民票
その他 登記識別情報、登記原因証明情報
相続 被相続人 戸籍謄本・除籍謄本、住民票の除票
相続人 戸籍謄本、住民票
その他 登記申請書
なお、土地登記簿の名義変更手続きは複雑になりやすいため、行政書士をはじめとする専門家への依頼がおすすめです。
h2:太陽光発電に関連してそのほかに名義変更が発生するもの
太陽光発電の本体以外にも、付随する契約や登録について名義変更が必要なものがあります。ここでは、メーカー保証・損害保険・メンテナンス契約・償却資産・補助金の名義変更について解説します。
h3:メーカー保証
太陽光パネルやパワーコンディショナのメーカーが提供する製品保証を、新所有者の名義へ
引き継ぐ必要があります。
多くのメーカーでは所有者が変わる際の手続きを独自に定めており、これを怠ると将来故障が発生した際に保証による修理を受けられないリスクが生じます。
各メーカーの公式サイトや問い合わせ窓口で手続き方法を確認し、速やかに名義変更を行うことが大切です。
h3:損害保険
火災保険や動産総合保険など、設備にかけられている損害保険がある場合、契約者の名義変更が必要です。名義が古いままだと、災害時に保険金が正しく支払われない可能性があります。
保険会社や代理店に連絡を取り、契約内容を確認したうえで名義変更の手続きを進めましょう。この際、現在の補償内容が設備の規模や設置環境に適しているかを併せて見直すことがおすすめです。
h3:メンテナンス契約
FIT制度では、太陽光発電システムの定期メンテナンスが義務として定められています。住宅用の低圧設備の場合、4年に1回以上の保守点検が求められており、点検記録の保管も必要です。
保守点検を依頼している専門業者がいる場合は、その業者に連絡して契約を引き継ぐ手続きを行いましょう。
メンテナンス業者への連絡を怠ると、点検スケジュールの空白が生じ、FIT制度の認定要件を満たせなくなる可能性があります。
h3:償却資産
太陽光発電システムは償却資産として固定資産税の対象となる場合があります。この場合、償却資産としての名義変更手続きが必要です。
太陽光発電システムが償却資産として扱われるケース
● 事業収益を目的として設置している場合
● 容量10kW以上の産業用太陽光発電の場合
申請の方法や必要書類は各自治体によって異なるため、設備所在地を管轄する市区町村の担当窓口に問い合わせましょう。
h3:補助金
太陽光発電システムの設置時に国や自治体の補助金を受けている場合、システムの名義変更に伴って所定の手続きが必要となります。
相続や親族への贈与の場合は、補助事業者の名義変更を申請することで継続を認めてもらえるケースが一般的です。
一方、第三者への売却や譲渡の場合には、補助金の一部またはすべての返還が伴うケースもあります。補助金の交付を受けた機関へと事前に確認しましょう。
h2:太陽光発電の名義変更に伴う注意点
名義変更の手続きを進める際には、手続き期間の長さと売電契約の方式という2点に特に気
を配ることが求められます。それぞれの注意点を押さえておくことで、予期せぬ損失を防げ
ます。
h3:手続きには時間がかかる場合がある
名義変更の手続きは、想定以上に時間を要する場合があります。
特に事業計画認定の名義変更は、書類の準備から審査完了まで半年近くかかるケースも見られます。申請後に国(経済産業省)による審査期間が生じるため、所有権の移転が決まった段階で早期に準備を始めることが大切です。
売電契約や登記手続きについても、必要書類の収集・郵送・審査などのプロセスがあるため、複数の手続きを並行して進めることで全体の期間を短縮できます。
h3:売電契約は新規ではなく継続契約にする
売電契約の名義変更の際に、誤って新規契約として手続きを進めると、売電単価が下がる可能性があります。売電単価はFIT制度の開始以降、年々下落しており、新規契約では現行の低い単価が適用されます。
継続契約として手続きを行うことで、旧所有者が受けていた売電単価をそのまま引き継げます。電力会社への問い合わせ時に「既存契約の名義変更」の旨を明確に伝えることが重要です。
h2:まとめ
太陽光発電の名義変更は、事業計画認定、売電契約、土地登記という3つの手続きを中心に、メーカー保証や損害保険なども含む幅広い対応が必要です。
手続きには時間がかかるケースもあるため、所有権の移転が決まった早い段階から準備を始めることが損失回避につながります。
手続きの複雑さや必要書類の多さに不安を感じる場合は、専門家への相談がおすすめです。
『行政書士法人塩永事務所』では、太陽光発電に関する名義変更手続きのサポートを承っております。出張相談にも対応しておりますので、どんなに小さなことでもまずはお気軽にお問い合わせ下さい。
