
令和8年4月開始「一括登録」への実務対応
― 行政書士法人塩永事務所による実務解説 ―
1.はじめに ― 施行前に始まる「一括登録」準備
「こども性暴力防止法(日本版DBS)」は令和8年12月に施行予定ですが、対象者をシステムへ登録する「一括登録」は令和8年4月から開始される予定です。
認定こども園、保育所、幼稚園等の施設管理者においては、施行前の段階でどの職員が「犯罪事実確認」の対象となるかを正確に判定することが不可欠です。
重要なのは、
「肩書き」や「職種名」ではなく、業務の実態によって判断する
という点です。
2.対象者を定義する「3つの要件」
ガイドラインでは、対象業務従事者(教員等・教育保育等従事者)を、以下の3要件すべてを満たす者と定義しています。
① 支配性(優越的立場)
大人が子どもに対して優越的な立場にある関係。
教育・保育の現場では、原則として多くの職員が該当します。
② 継続性(反復・継続的関係)
単発ではなく、反復・継続する関係。
例:
-
週1回の習い事指導
-
季節講習
-
継続的な補助業務
「毎日であること」は要件ではありません。
③ 閉鎖性(第三者の目がない状況)
実務上、最も重要な判断要素です。
例:
-
送迎車内での1対1状況
-
トイレ介助
-
着替え補助
-
個室での個別指導
第三者の視認性が排除される環境があるかどうかが、対象該当性を大きく左右します。
3.職種別の具体的判断例(実態判断)
以下は、ガイドライン(図表6・図表9)に基づく代表的な整理です。
🚌 送迎バス運転手
-
対象となる場合
添乗員がおらず、園児と1対1になる可能性がある場合(閉鎖性あり) -
対象外となる場合
常時、保育士等が同乗し、単独接触が物理的に生じない体制
📝 事務職員
-
対象となる場合
預かり保育の補助等で園児と二人きりになる業務がある -
対象外となる場合
職員室・窓口業務のみで、園児との密室状況がない
🎹 外部講師
-
対象となる場合
個室でのピアノ指導等、第三者の目が届かない環境がある -
対象外となる場合
常に担任等が立ち会い、閉鎖性を排除している体制
4.「閉鎖性」を排除するリスク管理の視点
実務上は、業務設計や環境整備により「閉鎖性」を排除することが可能です。
例:
-
外部講師の指導時は常にドアを開放する
-
送迎時は必ず添乗員を配置する
-
個室利用を禁止し、常時視認可能な環境とする
これにより、
-
DBS対象者の限定
-
事務負担の軽減
-
性被害リスクの低減
を同時に図ることが可能になります。
※ただし、最終判断は必ず実態を踏まえて専門家にご相談ください。
5.施設が講ずべき具体的措置
(1)業務の棚卸しと区分整理
-
正規職員
-
非常勤職員
-
補助職員
-
外部委託先
-
実習生・ボランティア
すべての関係者について、
「3要件」該当性を実態ベースで整理する作業が必要です。
特に「閉鎖性」が発生する場面を明確化してください。
(2)GビズIDプライムの取得
一括登録手続きには、法人代表者のGビズIDプライムが必要です。
未取得の場合は、登録開始時期から逆算し、早期に取得を進める必要があります。
6.Q&A
Q.調理員や用務員は対象になりますか?
原則として「業務の実態」で判断します。
-
調理室や用務員室での作業のみ
-
園児との接触が挨拶程度
であれば通常は対象外です。
ただし、
-
配膳指導
-
清掃活動への継続的関与
-
1対1状況が生じ得る業務
がある場合は、対象となる可能性があります。
Q.実習生やボランティアは?
「従事者」に含まれ得ます。
通常は担任の監督下で活動するため、閉鎖性を満たさず対象外となるケースが多いと考えられます。
しかし、
-
単独で任せる業務がある
-
1対1状況が発生する
場合は対象となります。
Q.熊本市独自のルールはありますか?
現時点では国のガイドラインに準拠します。
ただし、熊本市から発出される通知や担当課の通達は必ず確認してください。
7.まとめ ― 日本版DBS対応は「安全管理体制の再構築」
日本版DBSへの対応は、単なる登録事務ではありません。
園のガバナンスと安全管理体制を見直す機会でもあります。
対象者の線引きは、
「職種」ではなく「業務の実態」
で判断することが最重要ポイントです。
熊本県内事業者様へのご案内
行政書士法人塩永事務所では、熊本県内の事業者様を対象に、
-
対象者該当性の整理支援
-
一括登録準備支援
-
GビズID取得サポート
-
就業規則・内部規程整備支援
を提供しております。
※労務環境整備が必要な場合は、適切な専門家をご紹介いたします。
🟢 日本版DBS対応
「ウチの園はどうなる?」と迷われたら
施設種別・運営形態に応じた最適な対応策をご提案いたします。
熊本の事業者様専用相談窓口
📞 096-385-9002
✉ info@shionagaoffice.jp
個別相談をご希望の場合は、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は、こども家庭庁が公表している「こども性暴力防止法施行ガイドライン」に基づき作成しています。
あわせて「こども性暴力防止法(いわゆる日本版DBS)」の概要もご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別具体的な事案については、必ず専門家へご相談のうえご判断ください。
