
熊本で児童福祉・教育・スポーツ指導事業を営む皆様へ
― 日本版DBS(こども性暴力防止法)における「認定マーク」の適正な運用と法的リスクについて ―
はじめに
熊本県内で放課後等デイサービス、学習塾、保育・幼児教育、スポーツクラブ、各種習い事教室等、子どもと直接関わる事業を運営されている皆様にとって、こども性暴力防止法の施行は、経営・広報・人事管理に直結する重要な制度改正です。
なかでも認定マーク(認定事業者マーク)は、保護者に対する信頼性を視覚的に示す有力な手段である一方、その表示を誤ると法令違反となり、刑事罰や行政処分の対象となり得る、高いリスクを伴う要素でもあります。適正かつ厳格な管理が不可欠です。
行政書士法人塩永事務所では、熊本の事業者様が特に注意すべき「認定マーク」の正しい表示方法と、見落とされがちな法的リスクについて、実務に即して解説いたします。
1. 認定マークの法的性質と「虚偽表示」に伴う重大な罰則リスク
認定マークの位置付け
認定マークは、単なるロゴマークやイメージシンボルではなく、事業者が国の定める厳格な認定基準(性犯罪歴の確認体制、安全確保措置等)を満たしていることを公的に示す表示です。
こども性暴力防止法第23条では、認定マーク(またはこれと紛らわしい表示)の不正使用を禁止しており、これに違反した場合は刑事罰の対象となります。
違反となり得る主なケース
次のような表示は、法令違反に該当する可能性があります。
- 認定を受けていないにもかかわらず、認定マークを表示する
- 認定の対象となっていない事業・教室・サービスに認定マークを使用する
- 認定期間の満了・取消し後も認定マークの表示を継続する
これらの違反については、事業者(法人)にも両罰規定が適用されるおそれがあります。「担当者の単純ミス」「制度をよく知らなかった」といった事情では免責されず、事業者としての管理責任が厳しく問われます。
2. 認定マークの表示が認められる媒体の限定性
認定マークは、内閣府令・告示等で定められた限定された媒体にのみ表示が許容されています。それ以外の媒体での使用は、違法な表示と評価されるおそれがあります。
表示が認められる主な媒体区分(こども家庭庁公表資料に基づく例)
事業用物品
- 制服
- 指導員用ネームプレート
- 送迎バス・社用車
広告物
- パンフレット、入会案内チラシ
- 新聞・フリーペーパー等の広告
取引・通信書類
- 契約書、見積書
- 封筒、名刺
- メール署名
事業所建物
- 受付カウンター、玄関付近
- 屋外看板
- のぼり、タペストリー等
Web・SNS
- 公式ウェブサイト
- 公式LINEアカウント
- 公式Instagram等の公式SNSアカウント
求人関連
- 求人票
- 採用パンフレット
- 求人サイト上の募集ページ
運用上の重要ポイント
「目立つから」「イメージアップにつながりそうだから」といった事業者側の独自判断による媒体拡大は認められていません。必ず、法令・告示等で定められた範囲内での使用に厳格に限定してください。
3. 「回収が困難な物品」への表示は禁止
認定マークは、認定の取消し等の事態が生じた場合に、事業者が自ら確実に撤去・回収できる媒体に限り表示が認められるものとされています。
表示が禁止される代表的な物品
- ボールペン
- クリアファイル
- ステッカー
- ノート
- その他、不特定多数に配布されるノベルティグッズ全般
禁止とされる理由
これらの物品は、配布先が不特定多数に及び、第三者への譲渡・転売も容易です。そのため、認定が失効した後も認定マークが社会に流通し続け、誤認表示の状態が継続するリスクが極めて高いことから、原則として表示が禁止されています。
認定失効時の即時対応義務
認定期間の満了や認定の取消しが生じた場合、速やかに認定マークを撤去・修正する義務があります(看板の差し替え、Webサイト・SNSの更新等を含む)。迅速な対応が可能となるよう、平時から社内の体制整備を行っておくことが重要です。
4. 名刺への認定マーク表示に関する3つの留意点
名刺は個人に紐づく媒体であり、認定マークの表示に際しては、特に厳格な運用が求められます。
① 掲載対象者の限定
認定事業に直接従事する者(経営者、社員、指導員等) の名刺に限り、認定マークを表示することが原則です。総務・経理等、認定事業に関与しない職員の名刺には、原則として認定マークを掲載できません。
② 異動・退職時の名刺回収
担当業務から外れた場合や退職した場合には、事業者の責任において当該職員の名刺を回収・廃棄することが求められます。余剰在庫を含め、確実な管理が必要です。
③ デジタル名刺・プロフィール情報の更新
Sansan・Eight等の名刺管理アプリや、SNS上のプロフィール欄など、いわゆるデジタル名刺についても、役職変更や退職の際には、速やかに認定マークに関する表示を削除・更新する必要があります。
5. 複数事業展開・フランチャイズ展開時の留意点
認定対象外事業への利用禁止
例えば、同一法人が放課後等デイサービスで認定を受けている場合であっても、その法人が運営する未認定の学習塾・スポーツ教室等の広告物やWebサイトに認定マークを表示することはできません。認定マークの使用は、あくまで認定を受けた事業・事業所に厳格に限定されます。
フランチャイズチェーンにおける注意点
フランチャイズ本部が認定を受けている場合であっても、各加盟店が個別に認定を受けていない限り、加盟店において認定マークを表示することは認められません。各店舗単位での認定取得と、その認定範囲に応じた個別の表示管理が必要となります。
公表制度との関係
こども家庭庁のウェブサイト上では、認定事業者の名称・所在地・事業所名等が公表されます。保護者はインターネット上で容易に認定状況を確認できるため、虚偽表示や認定外事業でのマーク使用は、発覚リスクが高いことを十分認識しておく必要があります。
まとめ|信頼維持の鍵は「社内ルールと運用体制」の徹底
適切に運用すれば、認定マークは次のような効果をもたらします。
- 熊本県内における競合事業者との差別化
- 保護者からの高い信頼の獲得
- 事業の持続的・安定的な発展への寄与
一方で、管理不備による誤った使用は、次のような重大な結果を招きかねません。
- 刑事罰・行政処分の対象となるリスク
- 企業・法人としてのブランド価値の毀損
- 保護者や地域社会からの信頼喪失
「どの媒体に」「誰が」「どの範囲・期間について」認定マークを使用できるのかを明確に定めた社内規程(運用マニュアル)の整備と、定期的な運用状況の点検・見直しが不可欠です。
行政書士法人塩永事務所による熊本エリアでのサポート
熊本の事業者様が、こども性暴力防止法の趣旨を踏まえつつ、安心して制度を活用できるよう、当事務所では次のような支援を行っています。
提供サービス
- 広告物・名刺・Webサイト等の法令適合性チェック
- 認定マーク運用に関する社内規程(運用マニュアル)の策定支援
- 従業員向けコンプライアンス研修(認定マーク運用を含む)の実施
法令遵守とブランド価値の向上を両立させたい熊本の経営者・管理者の皆様は、ぜひ一度ご相談ください。
熊本の子どもたちの安全と、地域に根ざした事業の持続的な発展を、心より支援いたします。
行政書士法人塩永事務所 熊本県における児童福祉・教育関連事業者様の法務サポート TEL: 096-385-9002
