
育成就労制度の外部監査人は、「監理支援機関がきちんと法令・指針どおりに運営されているか」を、具体的なチェック項目に沿って点検し、報告・是正提案を行う役割があります。 実務上は、技能実習制度の外部監査チェックリストをベースに、育成就労向けに拡張された項目になると想定されています。
1 組織・体制に関する項目
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監理支援機関の許可・届出の内容(定款目的、役員構成、事業所等)が最新で、要件を満たしているか。
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監理支援責任者・育成就労責任者・指導員・生活相談員など、必要な人員が配置され、職務分掌が明確か。
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内部規程(コンプライアンス規程、苦情処理規程、個人情報保護規程など)が整備され、実際に運用されているか。
2 監理・支援業務の運用状況
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育成就労計画の作成・変更・届出が適切に行われているか(内容、人数、期間、職務内容など)。
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育成就労実施者に対する定期的な巡回指導・監査が、規定された頻度・方法で実施されているか。
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外国人への事前ガイダンス、オリエンテーション、生活・労働条件の説明等が所定どおり行われているか。
3 労働条件・人権保護に関する項目
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雇用契約書・就業規則・賃金台帳等から、最低賃金・割増賃金・法定労働時間など労働関係法令が守られているか。
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長時間労働、不当な時間外・休日労働、違法な労働形態(名ばかり管理職など)がないか。
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暴行・脅迫・監禁、パスポート・在留カードの不正な預かり、保証金・違約金・罰金条項など、人権侵害につながる行為がないか。
4 生活環境・安全衛生に関する項目
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寄宿舎・社宅・寮が建築基準法・消防法等の基準を満たし、過密状態や著しく不衛生な状態になっていないか。
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水道光熱費・寮費等の控除額が合理的で、賃金からの天引きが適切に行われているか。
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安全衛生教育、防護具の支給、健康診断(雇入れ時・定期)の実施など、労働安全衛生上の措置が講じられているか。
5 相談対応・苦情処理に関する項目
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外国人が母語等で相談できる窓口(電話・メール・面談等)が設置され、周知されているか。
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苦情・相談受付の記録(相談票・対応履歴)が適切に作成・保管され、再発防止策まで含めた対応がなされているか。
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ハラスメント、いじめ、差別的取り扱いについて、調査・是正の体制が整っているか。
6 送出機関・手数料等に関する項目
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提携する海外送出機関の契約内容・手数料明細が、現地法令および日本側ガイドラインに適合しているか。
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外国人本人や家族から不当な手数料・保証金が徴収されていないか(聞き取りと資料で確認)。
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紹介料・送出手数料が、日本側の監理支援機関や受入企業に不透明な形で還流していないか。
7 書類管理・報告義務に関する項目
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監査報告書、実施状況報告書、監理費管理簿、相談記録など、法令で定められた帳票が作成・保存されているか。
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育成就労機構・入管庁等への定期報告・変更届・事故報告が、期限と内容の面で適切に行われているか。
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外部監査人自身の監査結果報告書が、様式や記載事項の要件を満たしているか(第4-12号様式等)。
8 外国人本人へのヒアリング項目
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実際の賃金・勤務時間・休日日数が、雇用契約書・説明内容と一致しているか(残業代の支払い状況を含む)。
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転籍希望や職場の悩みを自由に話せる環境があり、不利益取扱いの懸念がないか。
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生活・地域情報の案内、日本語教育・キャリア形成支援などのサポートが実際に提供されているか。
上記は、技能実習制度の外部監査チェックリストおよび育成就労制度向けの解説を踏まえた「実務上の典型項目」の整理です。 実際の育成就労制度の施行後は、主務省令・ガイドラインで示される公式チェックリストに沿って、同趣旨の項目をより詳細に確認していく形になると見込まれます。
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