
日本版DBS(こども性暴力防止法)における犯罪事実確認制度の実務ガイド
制度の概要
こども性暴力防止法(正式名称:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)は、子どもと継続的に接触する業務に従事する者について、特定の性犯罪歴の有無を確認することを対象事業者に義務付ける制度です。この仕組みは「日本版DBS」と呼ばれ、2026年12月25日の施行予定以降、以下の流れで運用されます。
- 事業者が従事者の本人情報とともに確認申請を行う
- こども家庭庁が法務省に犯罪歴を照会する
- 確認結果を記載した「犯罪事実確認書」が事業者に交付される
この制度により、性犯罪歴のある者が子どもと接する業務に就くことを防止し、再犯リスクを低減することを目的としています。戸籍電子証明書提供用識別符号について戸籍電子証明書提供用識別符号(以下「識別符号」)とは、戸籍または除籍の記録に紐付けられた16桁の数字コードです。この符号を活用することで、行政機関がオンラインで戸籍情報を直接取得可能となり、従来の紙ベースの戸籍謄本・除籍謄本の提出が不要になります。これにより、事業者が従事者から戸籍書類を収集・保管する負担が大幅に軽減されます。犯罪事実確認手続きでは、従事者本人が取得した識別符号を申請情報として活用し、こども家庭庁が戸籍情報を直接確認します。識別符号の取得方法識別符号の取得は、主に以下の2つの方法で行います。1. マイナポータルによるオンライン取得(推奨方法)
電算化された戸籍・除籍については、マイナポータル経由でオンライン申請が可能です(一部の除籍は電子化されていない場合あり)。
- 必要物品
- マイナンバーカード
- 署名用電子証明書の暗証番号
- 対応するスマートフォンまたはICカードリーダー付きパソコン
- 手数料:無料(予定)
申請は従事者本人に限定され、代理申請はできません。各従事者が自ら取得した識別符号を事業者に提供する必要があります。2. 市区町村窓口での申請
以下のケースでは、本籍地の市区町村窓口での申請が必要です。
- マイナンバーカードを保有していない場合
- 電子化されていない除籍が含まれる場合
特に非電子化除籍の場合、施行後も窓口または郵送対応となり、処理に時間を要します。早めの申請を推奨します。実務上の重要ポイント識別符号の取得だけでは手続きが進まない
識別符号は犯罪事実確認申請の前提情報に過ぎません。従事者が符号を取得しただけでは、照会手続きは開始されません。事業者によるシステム登録と申請が不可欠
手続きを進めるためには、事業者が以下の対応を完了する必要があります。
- こども家庭庁が運用する日本版DBS専用システムへの登録(法人認証としてGビズID等を活用予定)
- 従事者ごとの氏名・生年月日等の本人情報と識別符号の正確な入力
- 犯罪事実確認書の交付申請の実行
事業者の登録・申請が完了して初めて、こども家庭庁から法務省への照会が行われます。従事者と事業者の役割分担従事者の役割
- 識別符号の取得
- 氏名・生年月日等とともに識別符号を事業者に提供(またはシステム上で直接入力)
この段階では犯罪事実確認は完了していません。事業者の役割
- 提供された情報と識別符号をシステムに登録
- こども家庭庁への犯罪事実確認書の交付申請
申請を怠ると、確認結果は交付されません。実務上の注意点本籍地の確認
戸籍は住民票の住所ではなく本籍地で管理されます。本籍地が不明な場合、住民票の写し等で事前確認し、オンライン取得が可能かを早期に判断してください。スケジュール管理
識別符号取得から情報提供、事業者のシステム登録・申請、行政照会・結果交付まで、一定の期間を要します。特に窓口・郵送が必要な場合はさらに遅延が生じやすいため、採用・配置転換の全体フローを考慮した余裕のある計画立案が不可欠です。外国籍従事者への対応
日本の戸籍制度対象外の外国籍者については、在留カード・住民票・旅券等による本人確認を活用した代替方法が予定されています。具体的な書類・運用は今後のガイドラインで明示されるため、外国籍従事者を多く雇用する事業者は早期の体制整備をおすすめします。まとめ日本版DBSの犯罪事実確認制度は、従事者・事業者・行政機関の連携による多段階の手続きです。事業者としては、従事者にどこまでを委ねるか、社内での情報管理・確認体制をどう構築するか、採用・雇用フローとの連携をどのように設計するかが鍵となります。制度施行に向け、社内規程の整備や運用フローの確立を事前に進めることで、円滑な対応が可能となります。当事務所では、対象事業者様の制度対応支援(規程作成、フロー設計、従業員説明等)を行っております。お気軽にご相談ください。
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