
🇯🇵 事業継続計画(BCP)の重要性と策定のメリット
日本は、地震、津波、台風などの自然災害リスクが極めて高い国です。これまでに発生した阪神・淡路大震災、東日本大震災、そしてここ熊本でも発生した熊本地震など、大規模な災害では多くの企業が物的・人的に甚大な損害を被り、事業継続の困難化や、最悪の場合には倒産へと追い込まれるケースが多発しました。また、近年では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のようなパンデミックが世界的な脅威となり、サプライチェーンの途絶や従業員の出勤制限など、企業の存続を脅かす新たなリスクも顕在化しています。
自然災害、感染症の拡大、火災、テロなどの**緊急事態(リスク)**は、企業の経営基盤を一瞬にして揺るがします。しかし、こうしたリスクを想定し、平時から組織的に備えることこそが、現代の企業経営における責務です。
**事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)**とは、予期せぬ緊急事態が発生した場合においても、事業資産への損害を最小限に食い止め、中核となる事業を中断させないか、あるいは中断しても可能な限り短い期間で復旧・再開させることを目的として、あらかじめ策定しておく行動計画です。
BCPの策定においては、主に以下の要素を明確に定めます。
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⚡ 中核事業の特定と優先順位付け: 緊急時に継続・復旧を最優先すべき、企業収益や存続に直結する重要業務(コア事業)を特定します。
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⏰ 目標復旧時間(RTO)の設定: 中核事業の許容される最大中断時間、および目標とする復旧・再開時間を具体的に設定します。
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🤝 顧客との事前調整: 緊急時においても提供可能なサービスレベル(目標復旧レベル)について、事前に顧客と合意形成を図っておきます。
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🔄 代替策の確保: 事業拠点や生産設備、重要部品・原材料の調達先などについて、代替手段やバックアップ体制を整備します。
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📢 全従業員との情報共有: 緊急時における役割、行動手順、安否確認方法など、事業継続に関する体制を全従業員に周知徹底します。
緊急事態下では、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)は大きく制約されます。そのため、何を優先し、何を後回しにするかという判断基準が不可欠です。あらかじめ**「有事の際には中核事業を〇日(RTO)以内に復旧させる」**という目標を設定し、それに向けた具体的な計画と代替策を準備しておくことで、事業復旧の着手と進捗が迅速化し、顧客や取引先との信頼関係維持にもつながります。
📊 BCP策定による競争優位性の確保
BCPの有無は、緊急事態発生後の企業の明暗を分けます。
核となる事業にリソースを集中させ、いち早く事業を再開・継続させた企業と、計画なく全てを復旧させようと試みて初動が遅れた企業では、その後の事業存続と成長において圧倒的な差が生じます。迅速に中核事業を復旧させた企業は、市場からの信頼回復も早く、競合他社が機能不全に陥っている間に市場シェアを拡大し、**「ピンチをチャンスに変える」**ことも十分に可能です。
💰 BCP策定による公的支援と税制優遇
国や自治体も、災害に強い企業づくりを支援しています。
策定したBCPを**「事業継続力強化計画」として申請し、経済産業大臣の認定を受けることで、以下のような法的・経済的なメリット**を享受できます。
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税制優遇(特別償却): 計画に記載された防災・減災に資する設備(自家発電装置、非常用通信設備など)を取得し事業に使用した場合、即時償却または特別償却の税制措置を受けることができます。
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低利融資: 日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などによる低金利での融資制度を活用できます。
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補助金審査での加点: 「ものづくり補助金」などの国の各種補助金申請において、審査時の加点対象となり、採択されやすくなるメリットがあります。
BCP策定は、企業経営における**「転ばぬ先の杖」**です。このプロセスを通じて、自社の真の中核事業や潜在的なリスクを深く理解することは、リスク管理能力の向上、経営の効率化にもつながります。
行政書士塩永健太郎事務所は、貴社の事業継続力強化を、認定申請を含め、戦略的にサポートいたします。
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