【熊本の行政書士が解説】日本版DBS（こども性暴力防止法）における「認定の基準・共同認定・認定手続き」とは

行政書士法人塩永事務所

2026年12月の本格運用開始に向け、日本版DBS（こども性暴力防止法）では、教育・保育事業者を対象とした「認定制度」が導入されます。
本制度は、児童への性暴力防止を目的に、事業者に対して安全管理体制の整備を求めるものです。以下では、行政書士の立場から、制度対応の実務ポイントを整理します。

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1. 認定要件における体制整備の実務

1.1 犯罪事実確認体制の法的要件

法第20条第1項第1号により、民間教育・保育等事業者は「犯罪事実確認」を適正に実施する体制構築が義務付けられます。
確認は次の4段階で行う必要があります。

• 新規雇用時（従事前確認）：採用前に必ず確認を実施し、採用手続きへ組み込みます。

• 緊急時対応（例外的措置）：「やむを得ない場合」に代替措置を講じ、事後確認を実施。

• 認定時現職者確認：既存従業員の一括確認および計画的な実施。

• 定期再確認（5年ごと）：確認スケジュールを管理し、継続的な運用体制を維持。

1.2 実務運営上の管理要件

内閣府令では、上記体制を運営する「責任者の選任」が義務付けられる予定です。併せて次の管理体制が求められます。

• 記録管理体制の整備

• 確認スケジュールおよび手続きの周知

• 申請フローの文書化

• 証明書類や誓約書の保管管理

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2. 児童対象性暴力等対処規程の策定

2.1 法的根拠と構成要件

法第20条第1項第4号により、以下3本柱を中心とする対処規程の整備が義務化されます。

• 防止措置：未然防止策・従業員研修・リスク管理体制

• 調査措置：発生時の初動対応・調査手続き・証拠保全

• 保護・支援措置：被害児童支援・関係機関との連携・継続的ケア体制

2.2 規程運用の留意点

• 変更手続き：法第24条第3項に基づき、規程変更時にはオンライン届出が必要。共同認定の場合、全関係者の合意が前提となります。

• ガイドライン準拠：内閣府が公表予定の規程例に基づき、適合性を確保することが推奨されます。

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3. 共同認定制度の運用実務

3.1 適用対象の明確化

ガイドラインにおいて、共同認定が適用される「事業運営者」の範囲が定義されます。

• 指定管理者・委託管理者など、事業運営全体を担う者が対象。

• 施設維持管理のみを担当する場合は対象外。

• 民間事業者と同等の公的基準を遵守する必要あり。

3.2 役割分担の明確化

法第21条第3項により、犯罪事実確認・安全確保措置・情報管理などについて、申請書類に「役割分担表」の添付が求められます。

3.3 責任の連帯性

認定取消等の処分は、関連するすべての認定者に及びます。責任分散は認められず、緊密な連携管理体制が不可欠です。

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4. 認定申請手続きの実務

4.1 申請方法と処理期間

• 申請方法：e-Govによる電子申請（法第19条）、こども家庭庁への提出。

• 処理期間：通常1〜2ヶ月（補正時は延長）。

4.2 添付書類の準備

必須書類には以下が含まれます。

• 定款・登記事項証明書

• 児童対象性暴力等対処規程

• 犯罪事実確認に関する誓約書

• 情報管理規程・欠格事由非該当誓約書

• 共同認定の場合：役割分担表・契約書・業務分担協定書

さらに、法第19条第4項第5号に基づく「事業証明資料」については、類型別基準がガイドラインで示される予定です。

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5. 制度対応における戦略的考察

5.1 認定取得の意義

• 法的義務としての要件：制度施行後は、認定取得が事業継続の前提。

• 社会的信頼性の確保：未取得の場合、「安全体制未整備」と見なされるリスクあり。

5.2 準備期間の活用

• 現行体制の点検・不足要素の補強

• 規程・マニュアル類の策定

• 従業員教育と研修実施

• 弁護士・社労士・行政書士等の専門家支援の活用

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結論

日本版DBS認定制度への対応は、「実効性ある確認体制」と「それを裏付ける記録・規程整備」の両輪で成り立ちます。
施行直前の混乱を回避するためにも、早期からの計画的準備が不可欠です。

行政書士法人塩永事務所では、各事業者様の実情に合わせた認定取得支援を通じ、児童の安全確保と事業継続の両立を実現するための専門的サポートを提供いたします。

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（本稿は、2025年12月時点の公表情報に基づいており、今後の制度改正により内容の更新が必要となる場合があります。）