
外国人の就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」
在留期間更新申請で注意すべきポイントを行政書士法人塩永事務所が解説します
「更新だから問題ないだろう」と思われがちな在留期間更新申請ですが、実際の入管審査は初回申請と同様に厳格に行われています。特に、前回の許可後に勤務先・仕事内容・収入・生活状況などの変化がある場合、不許可となるケースが年々増加しています。
「業務内容に問題はないと思っていたのに不許可になった」「すべて書類を揃えたはずなのに更新が却下された」
このような相談は決して珍しくありません。
本記事では、実際に起こり得る不許可事例や考えられる原因を整理し、行政書士の視点から法律的根拠と注意点を分かりやすく解説します。
ご本人だけでなく、ご家族・企業担当者の方も、更新審査で失敗しないためのポイントをぜひご確認ください。
目次
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更新審査で重視されるポイント
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事例:更新不許可となったケース
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仕事内容の変更による在留資格とのミスマッチ
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在留カード記載内容との不整合
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勤務実績不足・雇用状況の不安定
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申請書類の不備や資格外活動
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行政書士法人塩永事務所のサポートについて
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更新申請で重視されるポイント
「技術・人文知識・国際業務」の更新審査では、
現在の活動が引き続き在留資格の要件を満たしているかどうかが重点的に確認されます。
入管では、次のような点を詳細に審査します。
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実際の職務内容が、在留資格で認められる活動に該当しているか
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前回の許可後に勤務先・収入・業務内容に大きな変更がないか
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法令遵守状況(納税状況、社会保険加入状況、届出義務の履行等)
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今後も安定的に在留・就労を継続できるか
特に勤務先や職務内容に変更があった場合は、専門性の裏付け・業務内容の正確な説明が求められ、十分な説明がないと不許可となることがあります。
以下では、更新が不許可となりやすい典型的な原因を取り上げ、その背景にある法律・審査基準を解説します。
事例
(※以下は架空の事例ですが、実際に起こり得る典型ケースです)
〈Aさんのケース
Aさんは日本の大学で情報工学を専攻し、IT企業にエンジニアとして就職して在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得しました。
しかしその後、次のような問題が生じました。
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転職に伴い、業務内容が「営業・事務補助中心」に変更
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専攻・職歴との関連性が薄い業務内容に従事
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退職後の無収入期間が長期化
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転職届(所属機関変更届出)の未提出
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無許可のアルバイト(資格外活動)が発覚
更新申請では、
①現在の業務が在留資格の活動内容に該当しないこと、
②届出義務違反や資格外活動があること
が決定的な理由となり、不許可という結果になりました。
Aさんは専門家の助言を受けて不許可理由書を確認し、事情説明書・補足資料を整えて再申請を行うことになりました。
仕事内容の変更による在留資格とのミスマッチ
「技術・人文知識・国際業務」は、専門知識を必要とするホワイトカラー業務に限定されています。
次のような場合、更新が認められない可能性が非常に高くなります。
■在留資格の範囲外の業務に従事している場合
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接客・販売・工場作業・倉庫作業などの単純労働
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専門性を要しない一般的な事務補助
■転職後の職務が専攻・職歴と関連しない場合
入管は「専門性の裏付けがない」と判断し、不許可となる傾向があります。
■法律上の根拠
入管法別表第一に、在留資格別に認められる活動が明確に規定されています。
許可された資格の活動と実際の業務内容が一致しない場合、更新拒否の対象となります。
対策:
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職務内容が資格範囲内か専門家に確認する
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範囲外となる場合は「在留資格変更申請」を検討する
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転職時は業務内容の詳細説明書を適切に準備する
在留カード記載内容との不整合
在留カードおよび入管へ提出された情報と、現在の状況が一致していない場合、更新審査で必ず問題となります。
特に多いのが以下のケースです。
■転職したのに届出をしていない
就労系ビザの外国人は、
転職後14日以内に「所属機関に関する届出」を行う義務
があります。
届出漏れは入管法違反としてマイナス評価となり、
「公式記録と実態が異なる=不正の疑いがある」
と判断され、不許可の原因となります。
■在留カードの記載事項変更を怠った場合
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氏名変更
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国籍変更
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住所変更(市区町村)
これらも届出義務違反の対象となり、審査評価を下げる要因になります。
勤務実績不足・雇用状況の不安定
入管は「今後の安定した在留・就労の見込み」を重視しています。
以下のような状況があると不許可となることがあります。
■無収入期間・離職期間が長い
理由の説明が不十分だと、「実態として働いていない」と判断されます。
■勤務実態が不十分
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給与水準が極端に低い
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出勤日数が少なすぎる
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給与明細や在職証明の不提出
■勤務先の経営不安
連続赤字や倒産リスクがある企業に勤務している場合、
「継続就労の見込みが低い」と判断されることがあります。
対策:
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給与明細・雇用契約書・在職証明書を必ず提出
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離職期間がある場合は事情説明書を作成
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会社側には決算書や事業計画書の提出を依頼する
申請書類の不備や資格外活動
更新が不許可となる典型的な理由であり、次のような場合は特に注意が必要です。
■書類の不備・記載内容の矛盾
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会社が作成した書類同士の整合性が取れていない
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雇用理由書・業務内容説明書の内容が現実と異なる
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提出漏れ・期限切れの書類
■虚偽申請(重大違反)
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経歴詐称
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実態のない雇用
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二重就労
これは発覚した時点で厳しい処分となり、更新はほぼ不許可となります。
■資格外活動(許可なくアルバイト等)
本来認められない業務を行っていた場合、
更新で重大なマイナス評価となり、不許可につながります。
行政書士法人塩永事務所のサポート
当事務所では、以下のようなサポートを提供しております。
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更新申請に必要な書類の作成・チェック
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業務内容の専門性の説明方法の整理
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転職後の業務内容が資格範囲に入るかの診断
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不許可理由書の分析および再申請サポート
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会社側への必要書類の指導
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法令遵守状況の整理(納税・社会保険など)
更新審査は年々厳しさが増しており、専門的な判断が必要な場面も多くあります。
少しでも不安がある方は、お気軽にご相談ください。
096-385-9002 info@shionagaoffice.jp
