
🏛️ 盛土規制法の基礎知識:適用と実務の最重要ポイントを解説
行政書士法人 塩永事務所
1. 盛土規制法の概要:制定背景と目的
盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害を契機に制定されました。この甚大な災害は、従来の宅地造成等規制法やその他の関連法規では、土地の用途にかかわらず全国的に盛土の安全性を包括的に確保するには限界があることを露呈しました。
📌 目的と基本的な規制内容
本法の主な目的は、盛土等による災害から国民の生命・身体を守ることにあります。土地の用途や目的を問わず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制することを目指しています。
| 規制内容 | 詳細 |
| 規制区域の指定 | 熊本県知事等が、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を**「宅地造成等工事規制区域」または「特定盛土等規制区域」**として指定します。宅地、農地、森林など用途は問いません。 |
| 許可制度 | 規制区域内で行われる盛土等は、原則として知事等の許可が必要です。許可基準は地形・地質等に応じ、技術的基準が適用されます。 |
| 責任の所在 | 土地所有者等が、盛土が行われた土地を安全な状態に維持する責務を負うことが明確化されました。原因行為者への是正措置命令も可能です。 |
| 罰則の強化 | 無許可行為や命令違反に対する罰則が強化され、最大で法人に3億円以下の罰金が科されることがあります。 |
2. 盛土の定義と具体的な規制内容
盛土規制法は、従来の法律と異なり、規制対象となる行為の範囲を大幅に拡大しています。
🔎 規制対象となる盛土等の定義
本法が規制するのは、以下の行為を指します。
-
宅地造成に伴う盛土:住宅地や商業地の開発など、宅地造成工事の一環として行われる盛土。
-
特定盛土等:宅地造成以外の目的で行われる盛土(農地や森林などでの盛土、地盤改良等)も規制対象となります。
-
土石の堆積:建設工事などで一時的に土砂を堆積させる行為も、規制区域内であれば安全性が求められます。
📋 許可基準と工事監督
許可を得るためには、以下の安全対策が講じられていることが求められます。
-
擁壁(ようへき)の設置
-
適切な排水施設の設置
-
地盤の締め固め
許可された工事については、施工状況の定期報告、施工中の中間検査、工事完了時の完了検査が義務付けられます。これにより、長期的な土地の安全性が確保されます。
3. 盛土規制法の実務ポイントと行政書士の役割
💡 実務上の重要ポイント
| 項目 | 実務上の注意点 |
| 区域の確認 | 工事計画地が「宅地造成等工事規制区域」または「特定盛土等規制区域」のどちらに指定されているかを必ず確認する必要があります。 |
| 他法令との関係 | 盛土規制法が適用される場合でも、都市計画法、建築基準法、森林法、農地法などの関連法規の規制も同時にクリアする必要があります。本法はこれらの法律の適用範囲外の安全性を確保する補完的な役割を果たします。 |
| 責任の所在 | 土地所有者や原因行為者には、是正措置命令や罰則が科されるリスクがあるため、工事計画の段階から安全基準の遵守を徹底する必要があります。 |
| 工期の長期化 | 許可申請に加え、中間検査・完了検査が義務付けられるため、従来の工事に比べ工期が大幅に増えることを見込む必要があります。 |
🤝 塩永事務所の強みとサポート体制
盛土規制法の運用は始まったばかりであり、地域(熊本県内)の自治体ごとの解釈や運用詳細がまだ流動的な部分もあります。複雑化・厳格化された本法の手続きを円滑に進めるためには、高度な専門知識と行政との適切な折衝が不可欠です。
-
煩雑な許可申請手続きの代行:膨大な申請書類の作成、技術基準への適合性確認、行政庁との事前協議を迅速かつ正確に行います。
-
多岐にわたる法令対応:都市計画法やその他の関連法規との整合性を確保し、お客様の事業が滞りなく進むよう包括的にサポートします。
💡 盛土規制法への適切な対応は、お客様の事業の成否、そしてコンプライアンス遵守の鍵となります。複雑な法制度への対応は、豊富な実務経験を持つ当事務所にお任せください。安全で確実な事業の実現をサポートいたします。
096-385-9002
