
外国人・外国法人による会社設立完全ガイド
日本銀行への届出・必要書類・申請手続きを徹底解説
【行政書士法人塩永事務所監修】
はじめに
近年、日本市場への進出を図る海外起業家や外国法人が急増しています。
「日本で革新的なビジネスを展開したい」「現地法人を設立して長期的に事業基盤を築きたい」との声が多く寄せられています。
日本は2025年現在、名目GDPで世界第5位を維持しており、少子高齢化とデジタル化の進展により、医薬品、IT、観光分野を中心に国際的なビジネスチャンスが広がっています。
外国人または外国法人であっても、会社法上は日本人と同様に法人を設立することが可能です。ただし、在留資格の取得、外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく日本銀行への届出、資本金払込方法など、外国投資特有の要件を満たす必要があります。
本ガイドでは、行政書士法人塩永事務所がこれまでの実務経験をもとに、日本での会社設立に関する法的要件、設立手続き、在留資格、外為法届出などを最新法令(2025年11月時点)に基づいて徹底解説します。
当事務所は熊本を拠点に全国対応で、会社設立登記・ビザ申請・外為法手続きをワンストップで支援しています。
1. 外国人・外国法人は日本で会社を設立できるか
会社法上、国籍や居住地による法人設立の制限はありません。事業内容も法令に違反しない限り自由に選択可能です。
ただし、以下の事項に注意が必要です。
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代表取締役の居住地要件
2015年3月以降、代表取締役が全員海外在住でも会社設立が可能です。
ただし、外為法に基づき「国内直接投資」として日本銀行への届出義務が生じます。 -
在留資格要件
設立自体は可能でも、報酬を伴う経営活動には「経営・管理」などの在留資格が必要です。
不法就労に該当すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。 -
外為法の適用
外国人または外国法人が1%以上出資する場合、「対内直接投資」の届出が必要です。
届出違反や虚偽報告は、株式処分命令や罰則(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)を受けるおそれがあります。
2. 株式会社設立の主な方法
| 区分 | 発起設立 | 募集設立 |
|---|---|---|
| 概要 | 発起人が全株式を引き受ける方式 | 外部からも出資を募る方式 |
| 発起人数 | 1名から可能 | 複数の投資家を募集 |
| 特徴 | 手続が簡単で小規模設立に最適 | 手続が複雑で大規模資本向き |
| 決定方法 | 発起人の協議による決定 | 創立総会で決定 |
非居住者による設立の場合は、発起設立が一般的であり、登記までの流れが簡潔です。
3. 非居住者代表による会社設立と外為法届出
2015年以降、代表取締役・出資者が全員非居住者でも日本で会社設立が可能です。
ただし、外為法に基づく「国内直接投資」の届出が必要となります。
この届出は、安全保障および公共秩序上の観点から、投資先事業が国内安全保障に影響を与えないかを審査するものです。
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事前届出:指定業種(例:安全保障関連)に該当する場合は、登記の6か月前までに提出。審査期間は30日。
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事後報告:通常は登記完了後45日以内に日本銀行へ提出。
提出書類は「株式・持分・議決権取得に関する届出書」3通です。違反した場合は刑事罰および行政処分の対象となります。
4. 設立の流れ(所要期間:約1〜3か月)
| 手続 | 内容 | 期間目安 | 非居住者の注意点 |
|---|---|---|---|
| 基本事項決定 | 商号・本店・資本金・役員構成 | 約1週間 | 外為法該当確認要 |
| 定款作成・認証 | 電子定款推奨(印紙代不要) | 約1〜2週間 | 翻訳文添付必須 |
| 実印作成 | 代表印・銀行印作成 | 数日 | サイン証明書可 |
| 資本金払込 | 国内口座または協力者口座利用 | 約1週間 | 海外口座不可 |
| 設立登記申請 | 法務局に申請 | 約1週間 | 宣誓供述書添付要 |
| 関係官庁届出 | 税務署・年金事務所等 | 約2週間 | 外為法報告45日以内 |
| 許認可取得 | 業種により異なる | 変動 | 事前確認必要 |
5. 経営者に必要な在留資格(経営・管理ほか)
外国人が日本で会社を経営する場合、「経営・管理」ビザまたは永住・定住等の資格が必要です。
2025年10月16日施行の改正後要件(経過措置2028年10月16日まで)は以下のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 事業所確保 | 独立した賃貸オフィスが必要(自宅・バーチャル不可) |
| 投資・人員 | 投資額3,000万円以上または常勤職員1名以上(日本人等) |
| 継続性 | 専門家(中小企業診断士・公認会計士等)による評価書添付 |
| 申請者要件 | 日本語B2レベル、学士以上または3年以上経営経験 |
6. 登記・ビザ申請に必要な主な書類
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登記関係:定款、公証書、払込証明書、印鑑証明書(またはサイン証明書)、宣誓供述書
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ビザ関係:事業計画書、登記事項証明書、株主名簿、オフィス契約書、税務署届出受理印控など
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外文書は3か月以内発行、日本語訳・公証必須
7. 設立費用の目安(2025年時点)
| 区分 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款認証費 | 約3〜5万円 | 不要 |
| 登録免許税 | 15万円〜 | 6万円〜 |
| その他法定費用合計 | 約25万円〜 | 約10万円〜 |
| 資本金(推奨) | 3,000万円以上 | 同左 |
8. 日本法人設立のメリット
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国内取引先・銀行からの信用度向上
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責任範囲が限定され、親会社のリスク分離可能
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日本市場でのブランド構築と安定環境の確立
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日本人従業員の採用・雇用による事業拡大
9. 注意点と専門家サポート
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外為法届出を怠ると行政処分または罰則対象
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海外口座からの払込は不可
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ビザ審査が厳格化(2025年改正後は専門評価書必須)
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許認可業種(飲食・古物商など)は事前確認が必要
行政書士法人塩永事務所では、会社設立・登記・外為法届出・ビザ申請までをトータルで対応します。
英文書類の翻訳や認証対応、不許可事例の再申請サポートも行っており、確実な日本進出を支援します。
行政書士法人塩永事務所
〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
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メール:info@shionagaoffice.jp
公式サイト:https://shionagaoffice.jp
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