
外国法人の建設業許可申請 — 行政書士法人 塩永事務所
外国法人であっても、日本国内で所定の要件を満たせば建設業許可を取得できます。本稿では、弊所がこれまで支援した実例を踏まえ、外国法人が日本で建設業許可を取得する流れと主要なポイントを分かりやすく解説します。
目次(概要)
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日本での拠点形態の選択
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許可取得に必要な主な要件と整備ポイント
2.1 常勤役員等(経営業務の管理責任者)
2.2 営業所の専任技術者
2.3 社会保険・雇用保険の加入
2.4 財産的基礎
2.5 誠実性・欠格要件の確認 -
大臣認定・個別認定・事前相談(必要時)
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建設業許可申請手続き
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弊所のサポート内容とご相談案内
1. 日本での拠点形態を決める
日本で事業を行う拠点形態は主に次の3種類です。建設工事の実施・請負を行うには、日本法人の設立または日本支店の設置が必要です(駐在事務所は営業活動不可)。
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日本法人(子会社等):登記が必要。銀行口座開設や雇用が可能。経営管理ビザが代表者に対応。
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日本支店(branch):本店(外国法人)に所属する拠点として登記が必要。営業・雇用は可能。企業内転勤ビザ等が代表者に対応するケースが多い。
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駐在事務所:主に情報収集や連絡窓口。営業活動不可のため建設工事の受注・施工はできません。
拠点形態の選択は、資金調達、ビザ、営業範囲、税務・会計の観点から事前に慎重に検討してください。弊所では最適な形態の検討から支援します。
2. 要件を整備する(共通のポイント)
外国法人に求められる許可要件自体は国内法人と同様ですが、必要書類や実務的手続きが複雑になりがちです。以下の各要件について、実態を示す書類を揃え、根拠を明確にしておくことが重要です。
2.1 常勤役員等(経営業務の管理責任者)
許可要件の中で特に問題になりやすいのが「経営業務の管理責任者(経管)」です。日本国内での経営経験がある人物がいれば手続きは比較的容易ですが、海外での建設業経営経験のみの場合は、事前に**大臣認定(個別認定)**を受ける必要がある場合があります。
大臣認定では、実務的実態(工事契約書、履行実績)と、当該者が経営に携わっていた事実を示す組織図や役職確認資料等を提出し、審査されます。書類は形式的な提出だけでは不十分で、**実態を裏付ける資料(5年分など)**が求められます。
2.2 営業所の専任技術者
各業種ごとに、専任技術者の配置が必要です。国家資格保持者を国内で採用して常勤させるのが一般的です。国外での実務経験等で要件を充足させる場合も、やはり大臣認定手続きが必要となるケースが多く、実態と証憑の整備が求められます。
営業所の実態確認も重視されます。バーチャルオフィスは認められない場合があり、電話・FAXの設置や事務所としての実態(面積・機器・名札等)が問われます。シェアオフィスの取扱いは管轄によって判断が分かれることがあるため、事前相談が有効です。
2.3 保険加入(社会保険・雇用保険)
原則として日本国内で事業を行う場合、従業員の健康保険・厚生年金保険・雇用保険等への加入が求められます。支店・法人の形態により加入手続きが必要ですので、労務・社会保険の整備も同時に進めてください。
2.4 財産的基礎
許可取得には財産的基礎(資金力)の要件があります。主な基準は次のとおりです(一般・特定で要件が異なります):
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一般建設業の場合:自己資本が500万円以上、または500万円以上の資金調達能力、あるいは過去5年間継続して営業した実績等。
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特定建設業の場合:欠損額が資本金の20%以下、流動比率75%以上、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上等の基準があります。
日本法人なら当該法人の決算数値で判断されますが、日本支店の場合は管轄の指導により取り扱いが異なるため、事前相談が必要です。実務上は日本の銀行口座に一定額の預金(例:500万円以上)を示すケースが多いため、資金の国内確保を検討してください。
2.5 誠実性要件・欠格要件
過去の法令違反や役員の破産等、欠格事由に該当しないことが確認されます。国内外の履歴・記録を整理し、必要書類を準備してください。
3. 個別認定(大臣認定)・事前相談(必要な場合)
経管や専任技術者が海外経歴で要件充足を主張する場合、**大臣認定(個別認定)**が必要です。大臣認定は実態・書類の両面での審査となり、形式的な書類提出だけでは認定されません。可能な限り事前に役所と相談し、必要書類の洗い出しと実態整理を行いましょう。
弊所では、認定に備えた実態整理・証憑収集の代行、役所との事前折衝を支援します。
4. 建設業許可申請
要件の整備と必要な個別認定が完了したら、許可申請へ進みます。申請のスムーズさは、上記の準備段階でどれだけ実態と証憑を整えているかに左右されます。要件の抜け・漏れがあると補正や再相談が発生し、申請期間が長引くことがあります。時間とコストの無駄を防ぐためにも、事前準備を確実に行ってください。
5. 弊所の支援内容
行政書士法人 塩永事務所は、外国法人の建設業許可取得を含む建設業関連手続を幅広くサポートしています。主な支援内容は以下の通りです。
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許可要件の事前診断・必要書類の洗い出し
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経営業務の管理責任者や専任技術者に係る大臣認定(個別認定)の支援・申請代行
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財務資料の整理・日本向けの財務説明資料の作成支援
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労務・社会保険整備の助言(外部専門家連携)
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建設業許可申請書類の作成・提出代行
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許可後の各種手続(更新申請、決算変更届、各種変更届、業種追加、経審等)の代行・相談
弊所はこれまで多数の建設業関連手続きを支援してきた実績があります。外国法人の特有の事情にも対応したワンストップ支援が可能です。
6. その他・関連手続(一例)
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許可更新申請
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各種変更届(代表者・取締役・使用人・専任技術者・営業所等)
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決算報告(決算変更届)
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業種追加申請(般・特の切替等)
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経営事項審査(経審)対策
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経営業務の管理責任者の個別認定・大臣認定申請
7. 最後に(ご相談のご案内)
外国法人の建設業許可取得は、実態整理と証拠書類の充実が成否を分けます。形式的な書類だけでなく「実態」を示せるよう、着実に準備を進めることが重要です。弊所は建設業に特化した専門チームで、要件整理から許可取得まで並走してサポートいたします。まずは状況をお聞かせください。
行政書士法人 塩永事務所
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