
🏠 熊本で民泊を始めるには:住宅宿泊事業(民泊)届出ガイド
熊本において、既存の住宅を活用して宿泊事業を行う際、最も一般的なのが**住宅宿泊事業法(民泊新法)**に基づく事業です。この法律は、既存の「住宅」をそのまま利用し、年間最大180日まで宿泊サービスを提供することを可能にする「届出制」の制度です。
1. 住宅宿泊事業法(民泊新法)の基礎
住宅宿泊事業法では、事業の担い手として主に以下の3種類が定められています。
| 業種 | 役割 | 制度 |
| 住宅宿泊事業者 | 既存の住宅を提供し、宿泊サービスを行う者(届出が必要) | 届出制 |
| 住宅宿泊管理業者 | 届出住宅の管理業務を委託される者(登録制) | |
| 住宅宿泊仲介業者 | 宿泊者と事業者間の仲介(予約サイトなど)を行う者(登録制) |
届出の方法について
住宅宿泊事業の届出は、「民泊制度運営システム」を利用して行います。オンラインでの電子申請も可能ですが、行政書士が代行する場合は、作成した届出書と添付書類を物件所在地の自治体窓口に提出します。
2. 届出における重要ポイントと法的課題
住宅宿泊事業の届出には、建物の用途、設備、そして地方自治体の条例など、複数の法令遵守が求められます。特に以下の3点は重要なハードルとなります。
① 建物の登記事項証明書上の「種類」
届出の対象となる建物は、登記事項証明書上の種類が「居宅(住宅)」であることが原則です。実際に人が住んでいても、登記上の種類が「事務所」や「店舗」などとなっている場合、そのままでは届出が受理されません。この場合、建物の用途変更登記が必要となり、時間と費用を要します。
② 消防法への適合
宿泊事業を行う住宅は、消防法に基づき、適切な消火器、火災報知設備、そして特に避難経路の安全確保が求められます。届出の際には、管轄の消防署が発行する**「消防法令適合通知書」**の交付が必要です。
③ 建築基準法:非常用照明設備の設置(最大のハードル)
民泊を始める上で、多くの場合で最もハードルが高いのが、建築基準法上の非常用照明設備の設置です。
- 設置が不要なケース(例):
- 家主同居型で、かつ宿泊室の延べ床面積が50$\text{m}^2$未満の場合。
- 居室の床面積が30$\text{m}^2$未満で、外気に開放された避難通路に面している場合(アパートの1室などが該当しやすい)。
- 設置が必要なケース: 上記の例外に該当しない場合、基本的に宿泊室や避難経路に非常用照明設備の設置が義務付けられます。
非常用照明は、停電時に別系統の電源で点灯可能であり、避難経路を照らす重要な設備です。設置には有資格者による電気工事が必要となることが多く、電源の確保や配線工事が大きな課題となります。
3. 自治体ごとの独自ルールと運用上の注意点
住宅宿泊事業法は国の法律ですが、自治体(都道府県・市区町村)が定める条例によって、運用ルールが大きく異なります。
- 営業日数制限: 一部の自治体では、国が定める年間180日という上限とは別に、さらに厳しい営業日数の制限(例:特定の曜日は不可など)を設けている場合があります。
- 事業系ごみの処理: 宿泊料を得て営業している以上、排泄されるごみは事業系ごみとして適切に処理する必要があります。自治体のルールに従い、一般家庭ごみとは区別して処理しなければなりません。
- 周辺住民への事前周知: 騒音やごみ出しなどによるトラブルを避けるため、多くの自治体で周辺住民への説明会や事前周知を義務付けています。地域からの理解を得られる運営を心がけることが不可欠です。
4. 届出に必要な主な書類(法人の場合)
届出者の属性(法人・個人)や建物の権利形態によって必要書類は異なりますが、法人が届出を行う場合、主に以下の書類が必須となります。
- 届出書(民泊制度運営システムで作成)
- 定款または寄付行為(原本照合が必要)
- 登記事項証明書(法人・住宅ともに3ヶ月以内のもの)
- 役員全員の身分証明書(本籍地発行、3ヶ月以内のもの)
- 住宅の図面(設備配置が分かるもの)
- 誓約書(欠格事由に該当しない旨の誓約)
- 消防法令適合通知書
※上記のほか、賃貸物件の場合は賃貸借契約書や大家の承諾書など、個別の状況に応じて追加書類が必要です。
5. 熊本の民泊届出は行政書士法人塩永事務所へ
民泊事業は、住宅宿泊事業法だけでなく、消防法、建築基準法、自治体条例など、複数の法令が複雑に絡み合います。特に、既存建物の法的適合性(用途、消防設備、非常用照明など)の確認には専門知識が不可欠です。
行政書士法人塩永事務所は、熊本での民泊届出に関する事前調査から、煩雑な書類作成、消防署・自治体との調整まで、一貫してサポートいたします。
まずは、お気軽にご相談ください。
- 行政書士法人 塩永事務所
- 電話: 096-385-9002
