
📘 無店舗型性風俗特殊営業(デリバリーヘルス等)の届出手続きガイド
〜 行政書士法人 塩永事務所による実務解説 〜
はじめに
無店舗型性風俗特殊営業(一般に「デリヘル」と呼ばれる形態)は、**風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)**に基づく届出の対象です。事業形態や社会情勢の変化、法令改正により、届出に必要な資料や審査の着眼点は近年強化されています。届出は単なる書類提出ではなく、事業の適法性と社会的信頼性を示す重要なプロセスです。
無店舗型性風俗特殊営業とは(要点)
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店舗を持たず、利用者の場所へ従業者を派遣する営業形態(例:デリバリーヘルス)。
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風営法上は「届出」制度が原則で、都道府県警察(管轄の警察署)を経て公安委員会の審査が行われます。手続きの不備や欠格事項があると受理されないため、事前準備が重要です。
届出手続きの流れ(実務的なステップ)
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事前相談(任意) — 管轄の警察署へ事前相談を行うことで、必要書類や物件の適否を早期に確認できます。
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物件(事務所・待機所)の確保 — 居住専用物件や用途制限のある物件は使えない場合があります。物件に対する所有権・使用権を示す書類(賃貸借契約書、使用承諾書等)が必要です。
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必要書類の準備 — 届出書類一式(営業の方法書、事務所平面図、役員・管理者の身分関係書類、従業者名簿、広告媒体一覧など)。
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管轄警察署へ提出 → 公安委員会での審査 — 審査には一定の期間がかかり、内容確認や追加資料の要求が入ることがあります。
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受理後、営業開始 — 受理証明等を確認してから事業を開始します。開始後も構造設備や広告表現の遵守が求められます。
届出で特に注意すべき主な書類(実務チェックリスト)
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無店舗型性風俗特殊営業開始届出書(所定様式)・営業の方法書(サービス内容、料金体系、運用フロー等)。
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事務所関連書類:賃貸借契約書、使用承諾書、事務所・待機所の平面図。オーナーの同意や用途確認は必須。
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役員・管理者の身元確認:住民票、身分証明書、登記簿(法人の場合)。欠格事由の有無は厳格にチェックされます。
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従業者名簿・契約関係書類:氏名・年齢・契約形態(業務委託/雇用等)・本人同意等の記録。近年は契約の透明性が重視されます。
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広告媒体一覧・広告サンプル:ウェブ・SNSを含む全媒体の表示方法を明示。広告表現は法令に抵触しないか事前チェックが必要。
2024〜2025年の最新留意点(実務上の影響)
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フリーランス(個人事業主)保護法の施行(取引条件の明示等)
2024年11月に施行されたフリーランス向けの新法により、個人で働く従業者(いわゆるキャスト)との取引条件の明示や報酬支払ルールが求められるようになりました。事業者側は業務委託契約の内容を明確化し、支払期日や取引条件を文書で整備する必要があります。従って、従業者との契約書・支払記録は届出時および運営時に重要な整備項目です。 -
広告規制の強化(オンライン含む)
風営法運用の下で、誇大広告や未成年誘引に該当する表現、過度に歓楽的な表現は問題視され、警察からの行政指導や指示処分の対象となります。特にSNSやウェブサイト、キャスト個人のSNSも監督対象となる点に注意してください。広告内容は届出書で明示し、掲載実態を整えておく必要があります。 -
物件オーナーの同意・使用承諾書の明確化
近年、物件オーナーの意向・用途制限を巡るトラブルが増えており、使用承諾書に「無店舗型性風俗特殊営業に使用可」と明記しておくことを実務上求められるケースが増えています。契約書や承諾書の文言は事前に弁護士・行政書士と精査してください。
行政書士法人塩永事務所がご提供する支援(実務パッケージ)
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物件適合性の事前調査とオーナー交渉サポート(使用承諾書作成)
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届出書類の作成・提出代行(書式チェック〜提出までワンストップ)
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営業方法書の作成(運用フロー、顧客対応、トラブル対処の整備)
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広告表現チェック(ウェブ・SNS含む)と是正指導対応の支援
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キャスト向け契約書・支払ルール整備(フリーランス関連法への対応)
よくある質問(Q&A・短答)
Q. 「届出」と「許可」の違いは?
A. 無店舗型性風俗特殊営業は原則届出制ですが、審査は厳格で、欠格事由や不備があると受理されません。手続き後も広告や設備の運用で法令順守が求められます
Q. オンライン広告で注意すべき表現は?
A. 未成年を連想させる表現、誇大な売上・順位の強調、過度に歓楽的な表現などは規制対象となり得ます。公開前に専門家によるチェックを推奨します。
Q. キャストを「業務委託」で運用したいが、何を整えればよい?
A. 業務委託契約書で業務内容・報酬・支払期日・労働環境配慮(ハラスメント対策)などを明確にし、支払記録を残すことが重要です(フリーランス関連法対応)。
おわりに(当事務所からの一言)
無店舗型性風俗特殊営業の届出・運営は、法令順守だけでなく、利用者・従業者・地域社会に対する説明責任が伴います。届出の準備段階で専門家が関与することで、受理率の向上・運営リスクの低減・広告トラブル回避につながります。当事務所は熊本を拠点に全国対応で実務支援を行っております。まずは物件・運用計画をお知らせください。
📞 ご相談・お問い合わせ:096-385-9002(行政書士法人 塩永事務所)
(初回の簡易相談は、届出書類のチェックポイントをご案内できます。まずはお電話またはメールで物件情報・想定運用をご連絡ください。)
