
レンタカー業を始めるには?~「自家用自動車有償貸渡業許可」の取得が必要です~
自家用自動車を有償で貸し渡すレンタカー事業を行う場合、道路運送法第80条第1項に基づき、「自家用自動車有償貸渡業」の許可を取得する必要があります。この許可は、国土交通省の地方運輸局(九州運輸局傘下の熊本運輸支局など)が、事業者の設備、管理体制、車両の適正性を審査する制度です。
例えば、「使っていない自家用車を有償で貸し出したい」「観光地でレンタカーサービスを展開したい」といったケースでこの許可が必須です。許可なく有償貸渡しを行うと、道路運送法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金などの罰則が適用される可能性があります。許可取得のための主な要件レンタカー業許可は、道路運送法施行規則第52条および審査基準(国土交通省公示第234号など)に基づき、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 営業所、車両保管場所(車庫)、貸渡場所の確保
用途制限のない土地・建物を使用し、使用権原を証明する書類(賃貸借契約書、所有権証明など)を添付。カーシェアリングの場合、保管場所の配置図も必要です。 - 事業用車両の適正性
車両は適切に整備され、ナンバー登録が可能であること。初回申請は1台から可能ですが、複数台保有で事業の信頼性が高まります。マイクロバス(乗車定員11人以上)の新規貸渡しは、2年間の実績が必要で不可です。 - 貸渡業務の適正管理体制
「貸渡管理者」を選任し、運輸支局主催の講習(定期開催、約1日)を受講した証明を提出。車両10両以上(一定条件)では整備管理者も必要です。 - 欠格事由の不存在
代表者・役員に懲役・禁錮以上の刑の執行猶予終了後5年以内、許可取消し後2年以内などの違反歴がないこと。反社会的勢力排除の誓約書を提出。
申請に必要な書類と流れ申請は主たる営業所を管轄する地方運輸局(熊本県内は熊本運輸支局輸送・監査部門:〒862-0901 熊本市東区東町4-14-35、TEL: 096-369-3155)へ提出します。書類は2部作成(1部はコピー可)。
主な書類(抜粋):
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書類名
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内容・備考
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自家用自動車有償貸渡許可申請書(所定様式)
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事業者情報、貸渡計画、必要理由を記載。国土交通省サイトからダウンロード可。
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営業所・車庫・貸渡場所の位置図および使用権限証明書
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登記簿謄本や契約書を添付。
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貸渡管理者選任届・講習修了証
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管理者の氏名・資格証明。
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使用予定車両の車検証コピー
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車種別配置車両数一覧表も併せて。
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貸渡約款および料金表
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利用規約と料金の詳細を明記(標準様式なし、自社作成)。
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法人の登記事項証明書・定款(法人の場合)
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個人は住民票や身分証明。
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履歴書・宣誓書(欠格事由不存在)
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代表者・役員全員分。
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貸渡実施計画書
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研修計画、保険加入計画、類似行為防止策を記載。
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登録免許税として9,800円分の収入印紙を申請書に貼付。審査期間は標準1ヶ月(不備時は補正で延長)。許可後、許可書・事業者証明書の交付を受けます。
許可取得後の流れと運用注意点許可取得後、事業開始には以下の手続きが必要です。
- 許可後10日以内に営業開始届出を提出。
- 車両ナンバーを「わ」ナンバーへ変更(運輸支局で登録)。
- 貸渡管理簿の作成・保存(貸渡実績記録、5年間保管)。
- 毎年5月31日までに貸渡実績報告書を提出(前年4月1日~3月31日分)。
また、すべての貸渡車両に対人・対物無制限の任意保険加入が義務付けられています。目安として、対人8,000万円以上、対物200万円以上(免責5万円以内)、搭乗者1,000万円以上を推奨。事故時の補償を十分に検討してください。よくあるご相談Q: 車両が1台でも申請可能ですか?
A: はい、1台から申請可能です。ただし、事業継続性を示す計画書が必要です。Q: 許可後、車両を追加できますか?
A: 可能です。追加ごとに「車両追加届出」を運輸支局へ提出(手数料なし)。Q: 新規法人設立直後でも申請できますか?
A: はい、可能です。営業所・車両体制が整っていればOKですが、登記完了後すぐに申請を。ご自身での手続きが複雑な場合、行政書士などの専門家に相談をおすすめします。熊本エリアでのレンタカー業許可申請サポートも承ります。お気軽にご連絡ください。TEL: 096-385-9002 / E-mail: info@shionagaoffice.jp
