【熊本の相続人・財産調査について】
相続が開始すると、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐことになります。当然借金も引き継ぐことになります。どこにどんな財産があるのか、その価値はどのくらいなのかを調べることが必要になります。
★相続財産の調査をする理由
■財産を分けるために、財産がいくらあるのか調べるため。
■相続税のことや、いくらくらい支払うのかを調べるため。
【主な相続財産】
・不動産(土地、建物、借地権など)
・預貯金などの金融資産(株式、社債、投資信託など)
・動産(自動車、貴金属、書画・骨董品など)
・その他の財産(ゴルフ会員権、貸付金など)
・借金など
※受取人が指定されている生命保険の死亡保険金等は相続財産に入りません。
【不動産のこと】
相続財産の中で重要なものの一つが不動産です。
ご自宅のみということであれば、登記簿謄本から名義・持ち分を調べ、評価を確認します。
別荘・山林等の不動産を調べるには、まずは権利証(登記識別情報・登記済権利證書)を確認します。
不動産の売買契約書も確認します。重要なのは固定資産税課税明細書です。自治体ごと、毎年6月頃に納税通知書と郵送されます。見つからない場合は、不動産の所在地の各市町村で調べることができます。名寄帳を取得しましょう。
相続人が名寄帳の写しを申請する際の必要書類
・申請書
・窓口に行く相続人の本人確認書類(免許証、健康保険証等)
・所有者が亡くなったことを確認できる書類(除籍謄本)
・請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本等
・証明書発行手数料
固定資産評価証明書の最新のものは毎年4月1日から取ることができます。
法律が改正され、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。不動産を取得した方は3年以内に名義書換をする必要があります。手続きしない場合には罰則規定があるので注意してください。
預貯金の調べ方
銀行口座は通帳から探っていきます。通帳は見つからなくても、何か取引していた形跡や郵便物が出てきた場合には、それぞれ金融機関に口座があるかどうかの照会をしていきます。相続開始日となる『亡くなった日の残高』が遺産相続の基準になります。相続開始日の残高証明書を各金融機関に発行して貰うと良いでしょう。
残高証明書を請求するには、亡くなった方の戸籍謄本や相続人の戸籍と印鑑証明書、各金融機関所定の請求用紙、残高証明書発行手数料が必要となります。
証券会社のこと
次は証券会社です。株や投資信託を証券会社で保有していた場合、証券会社には通帳がありません。定期的に郵送されてくる『特定口座の年間取引報告書』『配当金のお知らせ』、株を発行している会社から『株主優待』の通知が郵送されて来ます。
証券会社と支店が分かったら取引支店に直接電話を掛けて手続き方法を聞いてください。証券会社の相続手続きでも銀行と同様、被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書等々の証明書類と、証券会社所定の相続手続きの届出用紙が必要です。
遺産分割の時に分かりにくいのが、生命保険の死亡保険金と死亡退職金です。
生命保険の死亡保険金
・受取人に特定の人を指定してある場合。
保険金は受取人と指定された人が保険契約に基づいて固有の権利として受け取るものなので、相続財産には含まれまず、遺産分割の対象にはなりません。
・受取人を「相続人」としている場合
単に「相続人」として特定の人を指定していない場合は、各相続人が固有の保険金請求権を法定相続分に応じて取得することになり、遺産分割の対象にはならないとされています。
ただし、生命保険約款で、相続人間で平等な割合で分けるという規定がある場合には、それに従うことになります。
・受取人を「被相続人」自身としている場合
保険金は、相続人が受取人としての地位を相続により承継するので、相続財産となるという説と、相続人の固有の財産となるという相続財産性を否定する説に分かれています。
・受取人を指定していない場合
誰が保険金を受け取るのかは、保険会社の定めたルールに従うことになり、通常、「法定相続人」とされる旨の規定があり、その場合は受取人を「相続人」と指定してある場合と同様に扱うこととなります。
死亡退職金
現役で会社勤めをしていた方が亡くなった場合、勤務先の就業規則や労働協約により死亡退職金や功労金が支払われる場合があります。
死亡退職金は、生命保険の保険金と同様、原則、相続財産には含まれないとされています。死亡退職金は、会社の規則で受取人が決められていて、遺族の生活が困らないようにという保障的な意味合いであると解され、受取人である遺族の固有の財産という考え方が一般的です。
●相続財産には含まれないため、遺産分割の対象にはなりません。
●相続放棄をしていても、死亡退職金を受け取ることはできます。
・内縁の妻に死亡退職金が支払われる?
死亡退職金の支給を定めた規定に、「死亡退職金を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であって、配偶者がいる場合、子は全く支給をうけないこと」など、受け取る人の範囲と順序が定められている場合、内縁の妻に死亡退職金を受け取る権利があるとされています。ただし、戸籍上の配偶者がいて、その妻とは別居していて、他の女性と暮らしているような状況の場合、裁判では個別の事情により判断が分かれています。
借金があるかを調べるには
銀行からの借り入れは通帳から引き落としがされていて、クレジットカード会社は一月でも支払が遅れると督促状が届くか電話が掛かってきます。
個人間の貸し借りについては、借用書の有無を確認しましょう。
借金の相続について
借金も相続財産である以上、相続人に引き継がれることになります。金銭債務のように分けることが出来るもの(可分債務)について、相続が開始すると当時に、法定相続分に応じて各相続人に承継されることになります。
借入金は遺産分割の対象にはならないので、相続人間で借入金の負担を法定相続分とは異なる割合で決めたとしても、債権者の側からは法定相続分通りにそれぞれの相続人に請求することができます。
熊本の相続手続きは行政書士法人塩永事務所にご相談ください。